2011年12月31日土曜日

年越し蕎麦

4回目の蕎麦打ち。体調を崩してしまったのであきらめようと思っていた年越し蕎麦、何とか間に合いました。妻のつくるそばつゆも益々美味しくなってきました。NYは年を越した模様。

2011年12月30日金曜日

MacPorts, GraphViz, Xcodeインストール

GraphVizというソフトウェアをインストールしたくて、その準備として、MacPortsのインストールを行いました。以下はメモ書きです。

The MacPorts Project Official Homepage

MacPortsはUnixのFinkと同様のコンセプトで、フリーソフトウェアのインストール支援のためのフリーソフトウェア。

Index of /MacPortsから自分のMacのバージョンLeopard(MacOSX 10.5)にあったMacPorts-1.8.0-10.5-Leopard.dmgをダウンロード。すなわちバージョンは1.8.0。そのままディスクイメージをダブルクリックして、インストール。

X11を立ち上げて、
$ sudo port -v selfupdate

MacPortsはコマンドプロンプトではportという名前。
マニュアルを見たければ、
$ man port

graphvizを検索。(検索はsearchオプションで。)
$ port search graphviz

見つかったgraphvizをインストール。(インストールはinstallオプション。sudoはsuperuser権限での実行。)
$ sudo port install graphviz

エラー発生。
Xcodeのバージョンが要3.1以降なのに3.0なのが原因の一つ。

無料で入手可能なXcode3.2をダウンロードしインストールしようとしたが、Snow Leopard移行にしか対応していないため、インストールできない。
つまり、LeopardでGraphVizを動かす方法は現時点では無いらしい。OSをアップグレードする必要があるということ。

Snow Leopard以降を持っている人には有用かもしれないのでとりあえず公開しておきます。

2011年12月29日木曜日

タルウマゴヤシのゲノム

マメ科の植物タルウマゴヤシ(学名Medicago truncatula、英名はBarrel Medic)のゲノムが報告されました。

The Medicago genome provides insight into the evolution of rhizobial symbioses
Young ND, Debellé F, Oldroyd GE, Geurts R, Cannon SB, Udvardi MK, Benedito VA, Mayer KF, Gouzy J, Schoof H, Van de Peer Y, Proost S, Cook DR, Meyers BC, Spannagl M, Cheung F, De Mita S, Krishnakumar V, Gundlach H, Zhou S, Mudge J, Bharti AK, Murray JD, Naoumkina MA, Rosen B, Silverstein KA, Tang H, Rombauts S, Zhao PX, Zhou P, Barbe V, Bardou P, Bechner M, Bellec A, Berger A, Bergès H, Bidwell S, Bisseling T, Choisne N, Couloux A, Denny R, Deshpande S, Dai X, Doyle JJ, Dudez AM, Farmer AD, Fouteau S, Franken C, Gibelin C, Gish J, Goldstein S, González AJ, Green PJ, Hallab A, Hartog M, Hua A, Humphray SJ, Jeong DH, Jing Y, Jöcker A, Kenton SM, Kim DJ, Klee K, Lai H, Lang C, Lin S, Macmil SL, Magdelenat G, Matthews L, McCorrison J, Monaghan EL, Mun JH, Najar FZ, Nicholson C, Noirot C, O'Bleness M, Paule CR, Poulain J, Prion F, Qin B, Qu C, Retzel EF, Riddle C, Sallet E, Samain S, Samson N, Sanders I, Saurat O, Scarpelli C, Schiex T, Segurens B, Severin AJ, Sherrier DJ, Shi R, Sims S, Singer SR, Sinharoy S, Sterck L, Viollet A, Wang BB, Wang K, Wang M, Wang X, Warfsmann J, Weissenbach J, White DD, White JD, Wiley GB, Wincker P, Xing Y, Yang L, Yao Z, Ying F, Zhai J, Zhou L, Zuber A, Dénarié J, Dixon RA, May GD, Schwartz DC, Rogers J, Quétier F, Town CD, Roe BA.
Nature. 2011 Nov 16;480(7378):520-4. doi: 10.1038/nature10625.


マメ科植物は根粒菌と共生し、窒素固定をすることができるため、肥料、飼料として有用です。同じマメ科では既に2種( ダイズGlycine maxとミヤコグサLotus japonicus)のゲノムが既に読まれています。

2011年12月28日水曜日

逆転写酵素阻害剤で癌細胞のL1が活性化する

少し古い論文ですが、最近論文検索をしていて見つけたので紹介します。

癌細胞では通常は抑制されているはずの転移因子が活性化していることがよくあります。ヒトではDNA型の転移因子は全て死滅しており、転移可能なものは、自身の逆転写酵素を利用して転移するレトロトランスポゾンのL1やHERV (human endogenous retrovirus)です。

The reverse transcription inhibitor abacavir shows anticancer activity in prostate cancer cell lines.
Carlini F, Ridolfi B, Molinari A, Parisi C, Bozzuto G, Toccacieli L, Formisano G, De Orsi D, Paradisi S, Grober OM, Ravo M, Weisz A, Arcieri R, Vella S, Gaudi S.
PLoS One. 2010 Dec 3;5(12):e14221.

この論文では、逆転写酵素阻害剤のAbacavir (ABC)が前立腺癌細胞の増殖を抑制し、癌の転移や浸潤を抑制することを示しています。ABCの投与によりL1のmRNA量は増加します。

残念ながら、L1の逆転写の阻害で転写量が増加するということに明瞭な答えは得られていませんので、今後の研究の進展を期待したいですね。

2011年12月27日火曜日

Seal Adventure Saturday

今年の正月にAno Nuevo State Parkにキタゾウアザラシを見に行きました。繁殖期の冬には、公園内は自由に入ることは出来ず、公園の主催する2.5時間のツアーに参加する必要があります。

Seal Adventure Saturday

来年1月28日のイベント"Seal Adventure Saturday"では、ツアーの時間制限無しにゾウアザラシを心ゆくまで観察することができるようです。午前(8:30-12:00)と午後(13:00-16:30)の2交代制で人数制限があります。

ツアーの参加は一人7ドルですから、このイベントの参加費一人50ドルはかなり高いです。が、写真撮影をしたい人などには魅力的でしょう。

2011 Photo Contest

去年もあったBay Area Open Spaceの写真コンテストが今年も開催されます。第4回だそうです。

2011 Photo Contest

2011年12月26日月曜日

レトロウイルスの翻訳調節

多くのレトロウイルスでは、2つの必須タンパク質GagとPolは異なるORFにコードされており、translational frameshiftingあるいはreadthroughにより、Gag単体のタンパク質とGag-Pol融合タンパク質の2種類が翻訳される。この2種類のタンパク質の量比はウイルスの効率的な複製に重要な役割を持つ。

An equilibrium-dependent retroviral mRNA switch regulates translational recoding
Houck-Loomis B, Durney MA, Salguero C, Shankar N, Nagle JM, Goff SP, D'Souza VM.
Nature. 2011 Nov 27;480(7378):561-4. doi: 10.1038/nature10657.

この論文では、核磁気共鳴法によりmurine leukaemia virusの翻訳調節領域のRNAの構造を解析し、水素イオンの結合の有無によってreadthroughの起こるRNAと起こらないRNAの構造が異なっており、生体内のpHではその量比が6%程度と、ちょうどreadthroughの起こる割合と一致している事を明らかにしている。また、frameshiftingでも同様の機構が観察された。

私もかつて、レトロウイルスの親戚であるnon-LTR retrotransposonの翻訳調節を解析した事があります。その場合には、やはりRNAの二次構造も重要でしたが、それ以上に前側のORFの終止コドンと後ろ側のORFの開始コドンがオーバーラップしていることが重要でした。これは翻訳共役と呼ばれる現象で上記の2つの機構とは異なりますが、もしかするとnon-LTR retrotransposonでも同様にpHによりRNAの二次構造の量比が変化するのが重要なのかもしれません。

Eukaryotic translational coupling in UAAUG stop-start codons for the bicistronic RNA translation of non-LTR retrotransposon SART1
Kojima KK, Matsumoto T, and Fujiwara H.
Molecular and Cellular Biology, 2005; 25 (17): 7675-7686

2011年12月25日日曜日

アノマロカリスの複眼

アノマロカリスはバージェス動物群の中でも最大級の生物で当時最強の捕食者だったと考えられています。グールドのWonderful Lifeでは所属不明な生物とされていましたが、最近の研究では、Lobopodと呼ばれるArthropod(節足動物)の姉妹群、あるいはArthropodの初期分岐群に位置づけられることが多くなっています。

Acute vision in the giant Cambrian predator Anomalocaris and the origin of compound eyes
Paterson JR, García-Bellido DC, Lee MS, Brock GA, Jago JB, Edgecombe GD.
Nature. 2011 Dec 7;480(7376):237-40. doi: 10.1038/nature10689.

この論文ではオーストラリアで見つかったアノマロカリス類から複眼の化石を報告しています。この複眼は現在の節足動物に見られるものと同じくらい精巧にできています。

ここから導かれることは、
(1)節足動物に見られる複眼は、これまで節足動物の冠動物群の共通祖先で既に獲得されていたことがわかっていましたが、それが節足動物とアノマロカリス類の共通祖先まで遡ることができる。
(2)堅い外骨格の獲得よりも複眼の獲得の方が前に起こった。
(3)当時としては巨大なアノマロカリスが精密な複眼を備えていたことは彼らが視覚を頼りにした強力な捕食者であった。

系統、生態、いろいろなことが示唆される興味深い報告です。

Happy Holidays!


こちらアメリカ合衆国では、最近ではキリスト教徒以外の人への配慮もあって、Merry Christmasではなく、Happy Holidaysと言ったり書いたりするのが普通になっています。とはいえ、クリスマスが祝日になっているのは明らかにキリスト教の習慣ですから、宗教色を廃しているとは言えないと思いますが...

GIRIのあるオフィスビルでも、11月のThanksGivingを過ぎるとすぐにクリスマスツリーが準備されます。写真はそれです。心なしか去年よりも立派なような...

2011年12月24日土曜日

新しい逆転写酵素"遺伝子"

我々も同じものを発見していたのですが、まとめる前に先を越されました。

A widespread class of reverse transcriptase-related cellular genes
Gladyshev EA, Arkhipova IR.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Aug 29. [Epub ahead of print]

ワムシを始め、多くの真核生物の系統で、新しい逆転写酵素配列を発見した。このrvtと名付けられた逆転写酵素配列は
・イントロンを持つ
・比較的遠い種間でもシンテニーを示す
・強い負の淘汰圧を受けている
・タンパク質産生の阻害で転写量が飛躍的に増加する
・ヌクレアーゼやインテグラーゼを持たない
などの理由から利己的遺伝因子ではなく、遺伝子である。
rvtは弱いながらもRNAとDNA双方を合成可能であることがin vitroの解析から示されている。
系統上は、non-LTRレトロトランスポゾンの逆転写酵素とPrp8に近縁である。面白いのは、1種の原核生物からもrvtが見つかっていること、強い淘汰圧を受けておりながら明らかに分布は断片的であり、rvtが失われた種が多数見つかることである。

2011年12月23日金曜日

KRAB−ZFタンパク質とレトロエレメントの抑制

脊椎動物のゲノム中には、zinc-finger(ZF)をタンデムに持つタンパク質が多数コードされている。しかもKRAB (Kruppel-associated box) domainをも含んでいるものが多い。これらKRAB-ZFPsはZFでDNAと、KRABでKAP1 (KRAB-associated protein 1。別名tripartite motif-containing protein 23, TRIM23)と結合する。 KAP1はヘテロクロマチン化を促すHP1やヒストンメチル化酵素ESET等を呼び込み、最終的にその領域の転写を抑制する。近年の研究で、レトロウイルスや内在性レトロウイルス、LTRレトロトランスポゾンの転写を抑制するのがKRAB−ZFタンパク質の機能の一つであることが示唆されている.

Coevolution of retroelements and tandem zinc finger genes.
Thomas JH, Schneider S.
Genome Res. 2011 Nov;21(11):1800-12. Epub 2011 Jul 22.

この研究では、LTRレトロトランスポゾンの数とKRAB−ZFタンパク質遺伝子の数との間に強い相関関係があることを明らかにしている。霊長類の解析では、新しいKRAB−ZFタンパク質遺伝子の誕生(遺伝子重複)と新しい内在性レトロウイルス(霊長類では転移可能なLTRレトロトランスポゾンは存在しない)の誕生との間に強い相関関係があること、重複した遺伝子は誕生後に急速にZFに変異を蓄積し、その後負の淘汰を受けること、が示された。ここから導かれるシナリオは、新しい内在性レトロウイルスが増殖することにより、これに対抗するためにKRAB−ZFタンパク質遺伝子が重複され新しい内在性レトロウイルスを抑制できるように進化する、というものである。

最近になって、転移因子を抑制する細胞の機構が明らかになって来ています。RNAiやエピジェネティクスを含むこれらの細胞内”免疫系”の研究は転移因子の研究をする我々にとっても興味深い話です。

2011年12月22日木曜日

成田ーサンノゼ便

ANAが成田サンノゼ便を就航
ANA、787をシアトル・サンノゼ線に投入
サンフランシスコ国際空港からだと東京に行くにはJALの羽田便が便利ですが、サンノゼ国際空港の方が我が家からは近いので、今後東京以外に行くときはANAという選択肢もできますね。歓迎です。

Google

我らがGIRIはGoogleのキャンパスに囲まれています。Googleは急拡大を続けていて次々と近くのビルを借りたり買ったりして規模を広げています。Highway 101の反対側のオフィスを借り上げたことが最近の新聞記事になっていたり。そして、


この9月にはGIRIのあるオフィスビルがGoogleに買収されました。Googleがこんな風に人生に関わってくるとは思いもしませんでした。

2011年12月21日水曜日

RNAiはRNA polymerase IIの放出によりヘテロクロマチンを維持する

RNAi promotes heterochromatic silencing through replication-coupled release of RNA Pol II
Zaratiegui M, Castel SE, Irvine DV, Kloc A, Ren J, Li F, de Castro E, Marín L, Chang AY, Goto D, Cande WZ, Antequera F, Arcangioli B, Martienssen RA.
Nature. 2011 Oct 16;479(7371):135-8. doi: 10.1038/nature10501.

ヘテロクロマチンを細胞分裂の前後で維持するにはRNAi系によりヒストンの修飾を制御する必要がある。この論文では、分裂酵母Schizosaccharomyces pombeのヘテロクロマチン内で、複製開始点とnon-coding RNAの位置を変えると転写と複製の間の競争が起こることを示している。転写と連動したRNAiではRNA polymerase IIが放出され、リーディング鎖でのDNA polymerase によるDNA複製が完了し、一方でヒストン修飾酵素が複製フォーク周辺のヘテロクロマチンを維持するよう機能する。一方、RNAiが無い場合には停止した複製フォークは相同組み換えにより修復され、ヒストン修飾は保持されない。

生物兵器への転用の危険性

鳥インフル論文で削除要請 米政府の科学諮問委

また捏造かと思いましたが、生物兵器への転用の危険性から、鳥インフルエンザの実験室内合成法の詳細を削除するようにお願いしているようです。
科学論文の信頼性は再現可能性ですから、たとえ危険があるといってもそれだけで詳細を載せないというのは間違っていると思います。

2011年12月20日火曜日

蕎麦

最近、初蕎麦打ちをしました。
蕎麦(ソバ)は学名Fagopyrum esculentum。タデ科ソバ属。英語だとBuckweatと呼ばれ、「鹿の麦」というような意味です。

初めてだったのでぼろぼろに崩れてしまいましたが、味の方は比較的まともでした。もちろん探せばシリコンバレーにもそば屋はあるのですが、自分で打ってみるのも面白い体験です。大晦日までにはもう少し挑戦して味も向上させたいところです。

2011年12月19日月曜日

カンガルーのゲノム

カンガルーの1種ダマヤブワラビー(Macropus eugenii)のゲノムが解読されました。
Genome sequence of an Australian kangaroo, Macropus eugenii, provides insight into the evolution of mammalian reproduction and development.
Renfree MB, Papenfuss AT, Deakin JE, Lindsay J, Heider T, Belov K, Rens W, Waters PD, Pharo EA, Shaw G, Wong ES, Lefèvre CM, Nicholas KR, Kuroki Y, Wakefield MJ, Zenger KR, Wang C, Ferguson-Smith M, Nicholas FW, Hickford D, Yu H, Short KR, Siddle HV, Frankenberg SR, Chew KY, Menzies BR, Stringer JM, Suzuki S, Hore TA, Delbridge ML, Mohammadi A, Schneider NY, Hu Y, O'Hara W, Al Nadaf S, Wu C, Feng ZP, Cocks BG, Wang J, Flicek P, Searle SM, Fairley S, Beal K, Herrero J, Carone DM, Suzuki Y, Sugano S, Toyoda A, Sakaki Y, Kondo S, Nishida Y, Tatsumoto S, Mandiou I, Hsu A, McColl KA, Lansdell B, Weinstock G, Kuczek E, McGrath A, Wilson P, Men A, Hazar-Rethinam M, Hall A, Davis J, Wood D, Williams S, Sundaravadanam Y, Muzny DM, Jhangiani SN, Lewis LR, Morgan MB, Okwuonu GO, Ruiz SJ, Santibanez J, Nazareth L, Cree A, Fowler G, Kovar CL, Dinh HH, Joshi V, Jing C, Lara F, Thornton R, Chen L, Deng J, Liu Y, Shen JY, Song XZ, Edson J, Troon C, Thomas D, Stephens A, Yapa L, Levchenko T, Gibbs RA, Cooper DW, Speed TP, Fujiyama A, M Graves JA, O'Neill RJ, Pask AJ, Forrest SM, Worley KC.
Genome Biol. 2011 Aug 29;12(8):R81.

2011年12月18日日曜日

細胞性粘菌2種のゲノム

細胞性粘菌の2種、Dictyostelium fasciculatumPolysphondylium pallidumのゲノムが解読されました。既にDictyostelium discoideumのゲノムは読まれていますから合計で3種のゲノムが読まれたことになります。

Phylogeny-wide analysis of social amoeba genomes highlights ancient origins for complex intercellular communication
Heidel AJ, Lawal HM, Felder M, Schilde C, Helps NR, Tunggal B, Rivero F, John U, Schleicher M, Eichinger L, Platzer M, Noegel AA, Schaap P, Glöckner G.
Genome Res. 2011 Nov;21(11):1882-91. Epub 2011 Jul 14.

論文では、この3種が共通祖先から分岐したのは6億年以上前と推定しています。また転移因子の数は、Dictyostelium fasciculatumPolysphondylium pallidumではDictyostelium discoideumに比べてかなり少ないそうです。

2011年12月17日土曜日

Introduction to Database感想

10月から始まったStanford UniversityのOnline courseの1つ「Introduction to Database」が最近終了したので感想を綴ってみたいと思います。

Introduction to Database

講義の期間は10月10日から12月12日まで。内容はデータベースの形式の解説とXML等も多少含まれていましたが、その大部分はSQLに割かれていました。

参考までに講義内容の一覧を記すと、
Introduction
Relational Databases
XML Data
Relational Algebra
SQL
Relational Design Theory
Querying XML
Unified Modeling Language
Indexes
Constraints and Triggers
Transactions
Views
Authorization
Recursion
On-Line Analytical Processing
NoSQL Systems


ストリーミング形式でのビデオレクチャーは聴き取りやすく快適でした。ダウンロードして視聴することもできますが、それだと途中に挟まれるクイズが出来ないという問題がありました。(私は気づかずに半分くらいのビデオをクイズなしでやっていました。)ただし、途中で長時間止めてしまうと不具合が出ることがありました。これが1週あたり1時間から2時間の間の長さがあり、毎週続けて聴くのはかなりの負担でした。

しかしそれ以上に大変だったのが、宿題です。毎週数問から10問程度のクイズ、またはプログラミングエクササイズが課題(宿題)として出され、多いときには、課題だけで1週間で5時間程度かけたこともありました。そして中間テストと期末テストがあり、どちらも20問ほどを2時間の制限時間で解きました。どちらのテストも週末3日間で終わらせねばならないのでそれに合わせて日程を調整する必要があります。

私の成績は、307/323。登録者は91734人でしたが、最終的に合格(スコアで160以上)はその7%程度の6513人だったそうです。

もっともStanford Universityの学生向けに作られている講義内容を聴講する形ですので、かなりハードなのは事実です。今の秋学期はMachine Learningと2つを聴講していたので正直な感想としてかなり他の生活を犠牲にした印象があります。時間をじっくりとかけられる学生以外には1つだけ聴講するのが妥当でしょう。

このOnlineの講義はこれから拡大して続けられるようですので、気になる人は是非試してみることをお勧めします。1-3月には16種類の講義が予定されています。詳細は上記のリンクから。

2011年12月16日金曜日

網斑病病原体のゲノム

1年以上前の話ですが、
大麦の網斑病を引き起こす真菌Pyrenophora teres f. teresのゲノムが解読されていました。
A first genome assembly of the barley fungal pathogen Pyrenophora teres f. teres.
Ellwood SR, Liu Z, Syme RA, Lai Z, Hane JK, Keiper F, Moffat CS, Oliver RP, Friesen TL.
Genome Biol. 2010;11(11):R109. Epub 2010 Nov 10.

共感

気になったのでリンクだけでも。

ネズミは仲間見捨てない…米大学チーム確認

2011年12月15日木曜日

ゲノム解読論文

研究の中心が真核生物の転移因子(反復配列)の解析なので、ゲノム解読の論文は全てフォローするようにしてきました。しかし、最近のいわゆる次世代シーケンサーの登場でゲノム解読の論文の数が爆発的に増殖してきて、フォロー出来なくなってきています。先日久しぶりにGenome Biologyの記事を見たら、大量にゲノム解読の論文が出ていて驚きました。
新規生物種の解読だけではなく、近縁種、近縁株など細かい分野に入ってきたり、次世代シーケンサーでの粗い解析、ゲノム解読の論文のインパクトも大きなばらつきがあり、特に近縁種の解読などは私の興味からは外れている場合も多い現状です。
これからは気になったものだけ記事にすることにしたいと思います。

2011年12月14日水曜日

A new horizon of retroposon research

Fujihara Seminar 2012 A new horizon of retroposon research
暫定ホームページが立ち上がっていたのに気づいたのでリンクを貼っておきます。私のかつての上司の岡田先生に今の上司のJerzy Jurkaが招待されています。

マリモ

阿寒湖のマリモ、アイスランドに分家…鳥が運ぶ

といっても鳥が阿寒湖からアイスランドまで1世代で運んでいったわけではなさそうです。

2011年12月13日火曜日

日本の科学行政

新薬開発「日本は無力」…国の推進役、米大学へ
中村祐輔・東京大学教授がシカゴ大学へ移籍するそうです。

日本はどうなってしまうのか、心配です。

水虫ゲノム

高温多湿の日本の風土病とも言うべき水虫、タムシの病原体の仲間、白癬菌2種(Arthroderma benhamiaeTrichophyton mentagrophytes)、Trichophyton verrucosum)のゲノムが解読されました。

Comparative and functional genomics provide insights into the pathogenicity of dermatophytic fungi.
Burmester A, Shelest E, Glöckner G, Heddergott C, Schindler S, Staib P, Heidel A, Felder M, Petzold A, Szafranski K, Feuermann M, Pedruzzi I, Priebe S, Groth M, Winkler R, Li W, Kniemeyer O, Schroeckh V, Hertweck C, Hube B, White TC, Platzer M, Guthke R, Heitman J, Wöstemeyer J, Zipfel PF, Monod M, Brakhage AA.
Genome Biol. 2011;12(1):R7. Epub 2011 Jan 19.

2011年12月12日月曜日

モノ湖

4月1日のブログで紹介したヒ素をリンの代わりにDNAに取り込む生物ですが、それ以降反論が相次いでいます。どちらが正しいのかは、専門外の実験手法なので私にはわかりませんが、その生物が見つかったモノ湖を、ニューヨークからの帰りに空撮した写真が以下です。

2011年12月11日日曜日

大腸癌のリスクと肉食

今の日本だと肉食女子の記事になってしまうのですね...

肉食女子、がんリスク1.5倍 8万人を10年調査

アメリカに住んでいると肉100グラムはあっという間なので、ほとんど実感がわかないのですが、本当に有意な差があるのでしょうか?実際のところは、アメリカの食生活は、肉の量よりも気にしなければいけないことがたくさんあります。そもそもエネルギー総量とか...

2011年12月10日土曜日

L1Tcのリボザイム

今年の頭にVingiというnon-LTR retrotransposonを報告しました。Vingiは睡眠病の病原体Trypanosoma bruceiのIngiというretrotransposonに近縁です。一方近縁種でシャガース病の病原体Trypanosoma cruziのL1Tcは名前こそL1とついているが実際にはIngiと非常に近縁です。L1Tcは比較的初期に見つかったnon-LTR retrotransposonで、当時知られているretrotransposonの中では哺乳類で見られるL1と近縁であったので、こう名付けられました。

Identification of an hepatitis delta virus-like ribozyme at the mRNA 5'-end of the L1Tc retrotransposon from Trypanosoma cruzi OPEN ACCESS
Sánchez-Luque FJ, López MC, Macias F, Alonso C, Thomas MC.
Nucleic Acids Res. 2011 Oct;39(18):8065-77. Epub 2011 Jun 30.

このグループは長らくL1Tcの研究を続けていて、逆転写酵素、エンドヌクレアーゼ、甚句フィンガー、転写制御など、それぞれのパーツの機能を解析した論文を連続的に発表しています。この論文は、L1Tcの5'末端近くにhepatitis delta virus-like ribozymeが存在する事を示した論文。hepatitis delta virus-like ribozymeはL1Tcの5'末端を切断する活性を持っていることが示されています。

2011年12月9日金曜日

ジオラマ

American Museum of Natural Historyはとても面白い博物館でしたが、残念ながら時間が全然足りず、あまり見て回れませんでした。なので写真もこれが最後です。
こちらはジオラマの展示。映画ナイトミュージアムでは走り回っていたゾウのジオラマです。かなり精巧に作られていて迫力がありました。

Wikipedia : Spaciation

Wikipediaの英語版のSpeciationの項に我々の論文が引用されているのを発見しました。引用33です。

Speciation

2011年12月8日木曜日

Monarch Genome

渡りをする蝶として有名なMonarch butterfly(Danaus plexippus)のゲノムが解読されました。私の住むシリコンバレーの周辺では、MontereyやSanta Cruzに大きな越冬地があります。10月から2月頃までそこで寒さをしのいだ後繁殖し、春から秋にかけて数世代をかけて北上してカナダにまで達するそうです。そして秋には1世代で南下し、カナダやアメリカ合衆国北部から南部まで一気に戻ってきます。
蝶そのものはよく見かけるマダラチョウの仲間とほとんど変わりませんが、そのダイナミックな行動が多くの人々の興味を惹き、これまでも生態学や生理学を中心に多くの研究がされてきました。
ゲノムはと言うと、やはり同じ鱗翅目に属すカイコ(Bombyx mori)と非常によく似ているようです。

The monarch butterfly genome yields insights into long-distance migration.
Zhan S, Merlin C, Boore JL, Reppert SM.
Cell. 2011 Nov 23;147(5):1171-85.

2011年12月7日水曜日

Geron

先日ニュースを見て知ったジェロンという会社ですが、本社がメンロパークにあることを無料日本語新聞のベイスポで知りました。

ES細胞の臨床試験、米社が撤退 経営上の問題で

Geron

医療系ベンチャー企業にとっては収益を得るまでの臨床試験の段階というのは財政的に非常に厳しい時期らしいですね。ベンチャーとしては撤退もやむなしということなのでしょうが、一方で患者側の不満も理解できます。

2011年12月5日月曜日

グリプトドン

恐竜はとっても魅力的ですが、我々ヒトは哺乳類ですから、やはり哺乳類のブースも気になります。
下の写真は絶滅したグリプトドン。アルマジロの仲間です。南米大陸は新生代に長期間「島大陸」(他の大陸との接続がない大陸)だったので、独特な哺乳類が進化しました。異節類と呼ばれるグループは現存する哺乳類の4大系統群の1つです。アルマジロ、アリクイ、ナマケモノを含むこのグループはかつては巨大なナマケモノ(オオナマケモノ)や巨大なアルマジロ(グリプトドン)を生み出しました。パナマ陸橋によって北米大陸と接続してからは北米産の哺乳類が進入した結果、多くが絶滅し、現存するものもほとんどが中南米に限られていますが、唯一ココノオビアルマジロ(Dasypus novemcinctus)は現在北米を北上中だそうです。このココノオビアルマジロは異節類の代表としてゲノムが読まれています。

2011年12月4日日曜日

第67回LSJセミナー

LSJの公式ページに情報が載っていないので紹介して良いのかどうかとは思ったのですが、手短に。

Life Science in Japanese / Research @ Stanford

今回の講演者はNASA・AMES研究所の藤島皓介博士。

演題:遺伝子の原型とはなにか? -RNA world仮説に挑む-
2011年12月7日(水)17 時 45 分からStanford University Clark Center S360にて。

最近忙しいので行けるかどうかわかりませんが、出来たら聴いてみたい話です。

2011年12月3日土曜日

ディアトリマ

久しぶりにAmerican Museum of Natural Historyの話です。
ここは竜盤類恐竜の部屋。

と言いつつ写真はディアトリマ(Diatryma gigantea)。恐鳥類と呼ばれる鳥類の一種です。恐竜絶滅後の新生代初期に栄えた巨大な鳥類で、翼は退化して飛べません。

2011年12月2日金曜日

好適環境水

アジとコイ、仲良く泳ぐ水槽完成…岡山理科大

以前からニュースで紹介されていて、気になっていました。少しググって調べたところでは、電解質の量を調整する事で海水でも無い淡水でも無い水を作り、海水魚と淡水魚が両方生育できるようにしているそうです。これを好適環境水と呼んでいるようです。詳細は特許申請中のため機密だとか。

2011年12月1日木曜日

豚回虫のゲノム

日本など先進国ではほとんど見られませんが、線虫類(回虫、蟯虫、フィラリア等)による感染症はいまだ発展途上国では非常に大きな健康問題となっています。また、家畜の線虫感染症は生産性の減少をもたらすため、これらの撲滅に関心が持たれています。これら線虫による感染症のモデルとして、豚回虫(Ascaris suum)のゲノムが解読されました。ゲノムにおける反復配列の比率は4.4%と少ないそうです。

Ascaris suum draft genome
Jex AR, Liu S, Li B, Young ND, Hall RS, Li Y, Yang L, Zeng N, Xu X, Xiong Z, Chen F, Wu X, Zhang G, Fang X, Kang Y, Anderson GA, Harris TW, Campbell BE, Vlaminck J, Wang T, Cantacessi C, Schwarz EM, Ranganathan S, Geldhof P, Nejsum P, Sternberg PW, Yang H, Wang J, Wang J, Gasser RB.
Nature. 2011 Oct 26;479(7374):529-33. doi: 10.1038/nature10553.

2011年11月30日水曜日

SCANドメインの起源

論文メモ。Gypsy and the birth of the SCAN domain.
Emerson RO, Thomas JH.
J Virol. 2011 Nov;85(22):12043-52. Epub 2011 Aug 24.

哺乳類のzinc-finger タンパク質に多く見つかるSCANドメインがGypsy/Ty3タイプのLTR retrotransposonの内、Gmr1-like familyのgagタンパク質C末端領域に由来することを示した論文。

2011年11月29日火曜日

Repbase Reports 11(11)

Repbase Reportsの今年第11号が公開されました。今号は果物のパパイヤCarica papaya、街路樹のポプラPopulus trichocarpa、高価なキノコの黒トリュフTuber melanosporumの転移因子を報告しています。私はパパイヤとトリュフの転移因子を報告しています。

Repbase Reports 2011, Volume 11, Issue 11

2011年11月28日月曜日

脳でのレトロトランスポゾンの転移

論文メモ。

Somatic retrotransposition alters the genetic landscape of the human brain
Baillie JK, Barnett MW, Upton KR, Gerhardt DJ, Richmond TA, De Sapio F, Brennan PM, Rizzu P, Smith S, Fell M, Talbot RT, Gustincich S, Freeman TC, Mattick JS, Hume DA, Heutink P, Carninci P, Jeddeloh JA, Faulkner GJ.
Nature. 2011 Oct 30;479(7374):534-7. doi: 10.1038/nature10531.

この論文では、ハイスループットの解析系を用いて、生殖細胞系列でのL1、Alu、SVAの挿入に加えて、3人の海馬と尾状核から7743座位のL1、13,692のAlu、と1,350のSVAの挿入を同定している。

2011年11月26日土曜日

ハダカデバネズミのゲノム

ハダカデバネズミ(Heterocephalus glaber)は哺乳類で知られている唯一の真社会性動物です。そして小型哺乳類としては非常に長寿であることでも有名です。長生きで癌にならない、ハダカデバネズミのゲノムがショットガンシーケンスにより解読されました。

長寿ネズミのゲノム解明 がん研究に貢献も

原著論文はこちら↓
Genome sequencing reveals insights into physiology and longevity of the naked mole ratOPEN ACCESS
Kim EB, Fang X, Fushan AA, Huang Z, Lobanov AV, Han L, Marino SM, Sun X, Turanov AA, Yang P, Yim SH, Zhao X, Kasaikina MV, Stoletzki N, Peng C, Polak P, Xiong Z, Kiezun A, Zhu Y, Chen Y, Kryukov GV, Zhang Q, Peshkin L, Yang L, Bronson RT, Buffenstein R, Wang B, Han C, Li Q, Chen L, Zhao W, Sunyaev SR, Park TJ, Zhang G, Wang J, Gladyshev VN.
Nature. 2011 Oct 12;479(7372):223-7. doi: 10.1038/nature10533.

2011年11月25日金曜日

エウロパの湖

木星衛星に巨大な湖か、生命の可能性高まる

エウロパは木星の衛星で、ガリレオ・ガリレイが発見したことからガリレオ衛星と呼ばれる衛星の一つです。(他のガリレオ衛星はイオ、ガニメデ、カリスト)。公転周期がイオの2倍、ガニメデの半分という軌道共鳴の状態にあるため、強い潮汐力の変動に晒されており、これがエネルギーとなって、液体の海、湖が存在するのではないかという話です。
もし生命が存在するとしても細菌のような非常に小さなものでしょうが、大変興味深い話です。

2011年11月24日木曜日

diversity-generating retroelement (DGR)

論文メモ。
Conservation of the C-type lectin fold for massive sequence variation in a Treponema diversity-generating retroelement
Le Coq J, Ghosh P.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Aug 30;108(35):14649-53. Epub 2011 Aug 22.

以前ホームページでも紹介したdiversity-generating retroelement (DGR)はタンパク質の多様性を生み出すメカニズムとして機能する。DGRによって多様化することが知られているタンパク質としてMtdの結晶構造が決定され、C-type lectin foldを持ち、変異が導入されるアミノ酸がタンパク質の表面に分布している事が示されている。しかし、C-type lectin foldは非常に保存性の低いタンパク質のフォールドなので、これがどの程度普遍的であるのかはまだ定かではなかった。この論文ではDGRによって多様化する別のタンパク質TvpAの構造を報告している。TvpAはMtdと16%しかアミノ酸が一致しないが、同様にC-type lectin foldを持ち、変異が導入される位置がタンパク質表面に分布していた。また、どちらもformylglycine-generating enzymeに構造が似ている事がわかり、少なくともformylglycine-generating enzyme型のC-type lectin foldを持つタンパク質はDGRによって多様化できることがわかった。

2011年11月23日水曜日

トリケラトプス

American Museum of Natural Historyの続きです。
ここは鳥盤類恐竜の展示室です。鳥盤目(Ornithischia)は恥骨が後ろを向く骨盤の特徴が鳥類と共通するため名付けられたものです。ただし、鳥類は竜盤類(Saurischia)から進化したので、並行進化の一種と言えるでしょう。

写真はトリケラトプス(Triceratops)。

2011年11月22日火曜日

共生細菌をコントロールするためのペプチド

昆虫には細胞内に共生細菌を持つものが多く見られる。栄養の異なった食生活を送るアブラムシの仲間の共生細菌は有名で、かつて所属していた石川統研究室で友人がエンドウヒゲナガアブラムシの細胞内共生細菌Buchneraの研究をしていたので、私も馴染みがある。これらの共生細菌は、昆虫自身が合成できない栄養源を供給する働きを持つ。共生細菌は菌細胞と呼ばれる特殊化した大きな細胞に局在することが知られているが、同時に体液中にも分布する事も知られている。

以下の論文では、ゾウムシの抗菌ペプチドcoleoptericin-A (ColA)が共生細菌の分裂を制御し、菌細胞から出ないようにコントロールしていることを示している。ColAをRNAiで抑制すると巨大だった共生細菌が小さくなり(これは分裂の抑制が解除されたため)、菌細胞から拡散して昆虫の組織全体に拡散した。抗菌ペプチドは通常有害な病原細菌を排除する役割を持っているが、同時に細胞内共生にも役立っていることになる。

Antimicrobial Peptides Keep Insect Endosymbionts Under Control
Login FH, Balmand S, Vallier A, Vincent-Monégat C, Vigneron A, Weiss-Gayet M, Rochat D, Heddi A.
Science. 2011 Oct 21;334(6054):362-5.

2011年11月20日日曜日

AbiKの活性

A reverse transcriptase-related protein mediates phage resistance and polymerizes untemplated DNA in vitro OPEN ACCESS
Wang C, Villion M, Semper C, Coros C, Moineau S, Zimmerly S.
Nucleic Acids Res. 2011 Sep 1;39(17):7620-9. Epub 2011 Jun 15.

Abortive infectionに関わる遺伝子AbiKのタンパク質の機能を調べた論文。AbiKは私の以前の論文でも紹介したように、バクテリアでファージの感染抑制に働く逆転写酵素である。この論文では、そのAbiKの機能は逆転写ではなく、ランダムなDNA配列をつなげるterminal transferasedeであること、DNAはAbiKタンパク質と結合していること、活性を担う逆転写酵素の保存アミノ酸を置換するとファージに対する耐性が失われることなどを明らかにしている。

2011年11月19日土曜日

Google Scholar Citations & Microsoft Academic Search

GoogleとMicrosoftが無料で使える科学論文の評価指標ツールを提供しているというNatureダイジェストを見て、原文を探してきました.

Computing giants launch free science metrics

まだベータ版のようで、誰もが使えるという状態にはなっていないようです。

2011年11月18日金曜日

Antisense RNAと制限修飾酵素系

論文メモ。

Antisense RNA associated with biological regulation of a restriction–modification system
Mruk I, Liu Y, Ge L, Kobayashi I.
Nucleic Acids Res. 2011 Jul;39(13):5622-32. Epub 2011 Mar 31.

著者らは以前、EcoRI制限修飾酵素系で制限酵素と修飾酵素の間から転写される逆向きRNAが遺伝子発現に寄与していることを示している。この研究では、制限酵素の3'末端に相当する逆向きRNAが制限酵素の転写を抑制することを示している。このRNAの転写が失われると外来DNAを分解する機能が向上し、post-segregational killingの程度が軽減される。従って、このRNAの転写は制限酵素の発現をコントロールして制限修飾酵素系が適度な活性を維持するのに役立っている。

2011年11月17日木曜日

IS608

比較的最近見つかった新しいタイプの転移酵素Y1-transposaseの活性の詳しい解析をした論文。内容が細かいのでタイトルのみ紹介。

Reconstitution of a functional IS608 single-strand transpososome: role of non-canonical base pairing
He S, Hickman AB, Dyda F, Johnson NP, Chandler M, Ton-Hoang B.
Nucleic Acids Res. 2011 Oct 1;39(19):8503-12. Epub 2011 Jul 10.

2011年11月16日水曜日

American Museum of Natural History

先日たまったマイルを利用してNew Yorkに旅行に行ってきました。美術館や歴史的建造物を多く巡ったのですが、ここでは省略して、American Museum of Natural History(アメリカ自然史博物館)の感想をいくつか記したいと思います。
時間が押していたので実際に見ることが出来たのは展示の内ほんの一部でした。ハロウィンパーティーのために仮装した親子(と職員)でごった返す中を、目玉の化石展示を中心に見てきました。
下はロビーのAllosaurusから我が子を守ろうとして後ろ足で立つBarosaurusの骨格標本。サイズが大きいので同じフレームには収まりませんでした。



2011年11月15日火曜日

DNA複製酵素とウイルスゲノムサイズ

Computational analysis of DNA replicases in double-stranded DNA viruses: relationship with the genome size
Kazlauskas D, Venclovas C.
Nucleic Acids Res. 2011 Oct 1;39(19):8291-305. Epub 2011 Jul 8.

DNA polymeraseと二本鎖DNAウイルスのゲノムサイズとの関係を調べた論文。ゲノムサイズが大きくなるほど自身でDNA polymeraseをコードしている確率が高まり、DNA sliding clampをコードする割合も上昇した。ゲノムサイズの大きいウイルスでclampを持たない場合にはDNA polymeraseに特殊な特徴が見られた。

2011年11月14日月曜日

L1 ORF1タンパク質の三量体の構造

論文メモ。

Trimeric structure and flexibility of the L1ORF1 protein in human L1 retrotransposition.
Khazina E, Truffault V, Büttner R, Schmidt S, Coles M, Weichenrieder O.
Nat Struct Mol Biol. 2011 Aug 7;18(9):1006-14. doi: 10.1038/nsmb.2097.

L1 ORF1タンパク質の三量体の構造を結晶構造解析とNMRで示した論文。三量体化はN末側のコイルドコイルドメインで維持され、中央部のRRMとC末側のCTDドメインが自由に動くことが出来る様になっている。この構造は1本鎖RNAとの特異的な結合を説明でき、変異解析からはこの可動性が転移に必須であることがわかった。

2011年11月13日日曜日

SVAによる筋ジストロフィー

論文メモ。

福山型筋ジストロフィーは日本では普遍的な型の疾患で、レトロトランスポゾンSVAの挿入が原因となっていることが最初に発見された病気です。患者では遺伝子fukutinの3'UTRにSVAが挿入されていることが知られていました。しかし3'UTRへの挿入はタンパク質コード領域を破壊するわけではないため、どのようにして症状に結びついているのかは不明でした。

Pathogenic exon-trapping by SVA retrotransposon and rescue in Fukuyama muscular dystrophy
Taniguchi-Ikeda M, Kobayashi K, Kanagawa M, Yu CC, Mori K, Oda T, Kuga A, Kurahashi H, Akman HO, DiMauro S, Kaji R, Yokota T, Takeda S, Toda T.
Nature. 2011 Oct 5;478(7367):127-31. doi: 10.1038/nature10456.

この研究ではこのSVAの挿入がスプライシングの異常を引き起こし、SVAを含むmRNAが形成されることを示しています。このスプライシングによりタンパク質の必須領域が失われます。この異常なスプライシングの阻害するオリゴヌクレオチドを導入することでこの異常なスプライシングを抑制し、症状も抑制できることが示されました。これはこれまで治療方法が無かった福山型筋ジストロフィーの治療に向けた重要な一歩です。

2011年11月12日土曜日

修士論文不要

大学院、来年度から修士論文不要に 試験などで審査

大学の自由度を上げるという意味では、法律で縛ることを廃止するのは良い傾向だと思います。ただ、個人的な意見としては、修士で就職する学生たちにこそ、修士論文を不要にすべきだと思います。修士卒の時点で求められる能力は与えられた研究を遂行する能力であって、立案からまとめまでする総合的な研究能力ではないでしょう。逆に博士まで進む学生には修士論文は研究をまとめる大切な練習です。博士課程は自立した研究者として即戦力になる人材を育てる場であるべきです。
記事には「専門分野には詳しいが応用が利かず、使いにくい」と評価されてきた、とありますがその理由は、知識偏重の詰め込み型の教育の結果であり、応用が利かないというのは、研究を自立的にできないということでしょう。

ただ、アメリカに来て感じたこととして、主専攻と違う分野もある程度学ぶという副専攻が非常に効率的に働いているということがあります。例えば、ここシリコンバレーでは医者がそこそこ(流ちょうに話せるわけではなく、本当にそこそこ)外国語を話せることが患者を獲得する上でのアドバンテージになっています。一つの分野で頂点を極めることはとても難しいが、複数の組み合わせであれば強みを活かすのはかなり容易になります。そういう点では、最初から専門を決めて自分の可能性を狭めてしまうのはもったいない選択ですし、そのような選択を強制するような教育システムにはすべきではないでしょう。

2011年11月11日金曜日

白亜紀の南米の哺乳類化石

論文メモ。

Highly specialized mammalian skulls from the Late Cretaceous of South America
Rougier GW, Apesteguía S, Gaetano LC.
Nature. 2011 Nov 2;479(7371):98-102. doi: 10.1038/nature10591.

Dryolestoidsは絶滅した哺乳類のグループで、現生の有胎盤類と有袋類の祖先と考えられている。Dryolestoidsはジュラ紀から北米とヨーロッパで化石が見つかっているが、南米では新生代初期まで生息していた。
この論文では、後期白亜紀の南米の地層から見つかったDryolestoidsの頭骨の一部と顎骨を報告している。この化石により中生代の哺乳類では初めて歯の特徴がわかった。この化石はDryolestoidsの派生的な特徴をジュラ紀のローラシア大陸の化石と共有する一方で白亜紀の南米に特異的な特徴も持っている。

2011年11月9日水曜日

CTCFとalternative splicing

論文メモ。

CTCF-promoted RNA polymerase II pausing links DNA methylation to splicing
Shukla S, Kavak E, Gregory M, Imashimizu M, Shutinoski B, Kashlev M, Oberdoerffer P, Sandberg R, Oberdoerffer S.
Nature. 2011 Oct 2;479(7371):74-79. doi: 10.1038/nature10442. [Epub ahead of print]

alternative splicingはtranscriptomeの多様化の一因である。スプライソソームの形成は転写と共役して起こり、DNA上の構造が影響することが示唆されている。最近ではエクソンはイントロンとは異なったヒストンメチル化パターンを持ち、ヌクレオソームの占める割合が多く、DNAメチル化の程度も多いことなどが観察されている。この論文では、CCCTC-binding factor (CTCF)がRNA polymerase IIを一時停止させることで上流側の弱いエクソンをmRNAに取り込むよう誘導することを報告している。

2011年11月8日火曜日

Cryptonの論文

Mobile DNAから出版されたCryptonの論文の印刷版PDFファイルが出来ました。以下からダウンロードして是非読んでみてください。もちろん無料です。

Crypton transposons: identification of new diverse families and ancient domestication events

2011年11月7日月曜日

Repbase Reports 11(10)

Repbase Reportsの今年第10号が公開されました。今号はジャガイモSolanum tuberosumのトランスポゾンを報告しています。

Repbase Reports 2011, Volume 11, Issue 10

2011年11月5日土曜日

制限修飾系の競争

論文メモ。

Evidence for an evolutionary antagonism between Mrr and Type III modification systems OPEN ACCESS
Tesfazgi Mebrhatu M, Wywial E, Ghosh A, Michiels CW, Lindner AB, Taddei F, Bujnicki JM, Van Melderen L, Aertsen A.
Nucleic Acids Res. 2011 Aug 1;39(14):5991-6001. Epub 2011 Apr 19.

Mrrは4型制限酵素でメチル化されたDNA配列を切断する。Mrrは高圧により誘導されるが自然宿主の大腸菌では有害ではない。しかし、Salmonella typhimurium LT2では有害となることがわかった。これは3型制限修飾系であるStyLTIの存在とリンクしていた。StyLTIの修飾酵素の発現はMrrの活性化を促す。また、Mrr遺伝子を導入するとStyLTIの修飾酵素の機能が失われ、Mrr遺伝子とStyLTIの修飾酵素遺伝子とは、近縁種内で排他的に分布していた。すなわち、MrrはStyLTIをゲノムから排除する。

2011年11月4日金曜日

L1 ORF1の役割

論文メモ。

Paired mutations abolish and restore the balanced annealing and melting activities of ORF1p that are required for LINE-1 retrotransposition
Evans JD, Peddigari S, Chaurasiya KR, Williams MC, Martin SL.
Nucleic Acids Res. 2011 Jul;39(13):5611-21. Epub 2011 Mar 26.

L1のORF1タンパク質の3つの保存アミノ酸R238, R284, Y318をアラニン置換してその影響を調べた論文。置換によりどれも転移できなくなった。この内、R238はリジンに置換しても活性を失う。R238を置換したものはRNAとの結合能が低下していた。他はDNA結合能が低下しているらしい。

2011年11月1日火曜日

シーラカンス

友人の研究成果なので紹介。リンクのみ.

シーラカンス繁殖域、タンザニア沖にも 遺伝子を解析

Genetically distinct coelacanth population off the northern Tanzanian coast
Nikaido M, Sasaki T, Emerson JJ, Aibara M, Mzighani SI, Budeba YL, Ngatunga BP, Iwata M, Abe Y, Li WH, Okada N.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Oct 24. [Epub ahead of print]

2011年10月28日金曜日

竜眼

こちらでは割と普通に街路樹にも見られるリュウガン(竜眼、Dimocarpus longan)を最近初めて買って食べてみました。ライチの小型版みたいな感じで味は少し薄めな印象。ライチ(Litchi chinensis)やランブータン(Nephelium lappaceum)と同じムクロジ科に属し、果実も似た感じです。
その上のムクロジ目までのぼると、ミカン科やウルシ科なども含むのでずいぶんと見た目も違ってきます。

2011年10月27日木曜日

DNA transposonがコピー数を増やす仕組み

一般にDNA transposonはcut-and-paste機構で転移します。すなわち、自身を切り出し、別の位置に挿入する。しかしこれだと決してコピー数は増えません。何らかの形でDNA transposonは自身の数を増やしているのですが、今のところ私はその機構を知りません。以下の論文ではその機構について何らかの示唆がされているようなのですが...

Drosophila P elements preferentially transpose to replication origins.
Spradling AC, Bellen HJ, Hoskins RA.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Sep 20;108(38):15948-53. Epub 2011 Sep 6.

今回紹介する論文では、その機構の一端を明らかにしています。P因子は非常に最近(数百年前)にキイロショウジョウバエに水平伝播したDNA transposonである。P因子はorigin recognition complexに結合し複製開始点となる配列を狙って転移していることが明らかになった。

ううむ、Abstractだけでは、なぜ増える事ができるのかわかりませんね。

2011年10月26日水曜日

d09077:R1-I-EN

BLAST検索をしていて発見しましたが、
Conserved Domain Databaseにd09077:R1-I-ENが追加されました。これはEEP (exonulcease/endonuclease/phosphatase) superfamilyに属するエンドヌクレアーゼですが、特にnon-LTR retrotransposonのR1 cladeとI cladeのものをまとめたものです。

NCBI CDD cd09077

他にも、L1 cladeとTx1 cladeのものをまとめた、
NCBI CDD cd09076
ができています.

2011年10月25日火曜日

延長された表現型

マイマイガの幼虫は夜の内に餌を食べ、昼間には敵から身を隠すために落ち葉の下や樹皮の内側に潜んでいるそうです。ところが、バキュロウイルスの1種に感染すると、木の頂上付近に上ったまま停止することが知られていました。このように寄生者によって行動が制御される現象は自然界にしばしば見られます。この行動制御を司る遺伝子が同定されたそうです。

この遺伝子はEGT(UDP-glycosyltransferase)という酵素をコードする遺伝子で、宿主の脱皮ホルモンを不活性化することで行動を制御している可能性があるそうです。

幼虫を操る“ゾンビウイルス”の遺伝子

原著論文はこちら↓
A Gene for an Extended Phenotype
Hoover K, Grove M, Gardner M, Hughes DP, McNeil J, Slavicek J.
Science. 2011 Sep 9;333(6048):1401.

2011年10月24日月曜日

ページビュー

このブログがついに小島生物学御研究室のアクセス数を抜いてしまいました.とはいっても、このブログのアクセスはページビューごとに集計しており、御研究室は訪問ごととなっているので、ブログの方が数が増えやすい状態なので実際のアクセスを反映している訳ではないのですが。

で、少しいい訳ですが、御研究室のサイト、自分のSafariから見ても文字化けします.文字コードをUnicode (UTF-8)に統一し、メタデータにその旨書いてあるつもりなのですが、どうやら自動で挿入される広告がSHIFT-JISで書かれているのと相性が悪いようです。私が普段使っているCaminoだと問題なく表示される(しかもファイルをチェックしている段階ではSafariでも文字化けしない)のでなかなか気づきませんでした。
対応を検討中ですが、しばらくの間は、文字化けするという方はエンコードをUnicode (UTF-8)に直してご覧ください。

2011年10月21日金曜日

Publish or Perishインストール

"Publish or Perish"を使うためいくつかソフトウェアをインストールした。覚え書き。
説明

<環境>
MacOSX v.10.6.8 (snow leopard最新版)
Xcode & Quartz X11インストール済み。

(1) MacPorts 2.0.3をインストール。Snow Leopard版のdmgを使用。パッケージなのでとても簡単。

(2) ターミナルから、
$ sudo port install wine

(2.5) 時間がかかるので同時進行で
Publish or Perish installer for Windowsをダウンロード。
ファイル(PopSetup.exe)を自分のホームディレクトリに移動。

(3) wineのインストールが終わったら、ターミナルで
$ wine PoPSetup.exe
汚いながらも読めるくらいの文字でインストールプログラムが立ち上がるので、適切に処理。

(4) 自分のホームディレクトリで、
$ wine /Users/${USER}/.wine/drive_c/Program\ Files/Harzing\'s\ Publish\ or\ Perish\ 3/Bin/PoP.exe &


2011年10月20日木曜日

デニソヴァ人の遺したもの

現代ユーラシア人やオセアニア人にはデニソヴァ人の持っていたMHC(HLA)アリールが受け継がれているらしい。HLA-B*73はデニソヴァ人と初期現代人との混血により現代人に伝えられた遺伝子型だそうです。

The Shaping of Modern Human Immune Systems by Multiregional Admixture with Archaic Humans
Abi-Rached L, Jobin MJ, Kulkarni S, McWhinnie A, Dalva K, Gragert L, Babrzadeh F, Gharizadeh B, Luo M, Plummer FA, Kimani J, Carrington M, Middleton D, Rajalingam R, Beksac M, Marsh SG, Maiers M, Guethlein LA, Tavoularis S, Little AM, Green RE, Norman PJ, Parham P.
Science. 2011 Oct 7;334(6052):89-94. Epub 2011 Aug 25.

2011年10月19日水曜日

Crypton

Mobile DNAから主著論文が出版されました。

Crypton transposons: identification of new diverse families and ancient domestication events
Kenji K Kojima and Jerzy Jurka
Mobile DNA 2011, 2:12 doi:10.1186/1759-8753-2-12
Published: 19 October 2011

最初にMolecular Biology and Evolutionに投稿したのが今年の1月末なので原稿を書き始めてからだと1年近くかかりました。その間に2度MBEにrejectされたりとかなり苦労した論文です。いずれもreviewerのコメントの過半は好意的なものだったので、editorの選び方の難しさを学習した論文投稿でした。MBEのインパクトファクターがあがって、編集部がかなり審査を厳しくしていたのが影響していたのは確かですが。
最終的には不本意ながら、Mobile DNAに掲載される事になりました。これは他の雑誌よりはこの分野の専門家が見る機会が多く、Genome Biology and Evolution, PLoS ONEやGeneに出すよりも、むしろ評価されやすいだろうと考えた結果です。

この論文は私の初めてのDNA transposonについての論文で、これまでretroelementの論文ばかりのところから分野を広げている事をアピールしたいとかなり気合いが入っています.無料なので是非ご一読ください。

2011年10月18日火曜日

Publish or Perish

控えめな日本人としては不本意ながら、とある事情で自分の研究成果を宣伝する必要がでてきました。ところが、私の所属は小研究所なのでWeb of Scienceが使えるような環境ではありません。Google Scholarは大変ありがたいツールですが、見やすくまとめるのはなかなか難しい。そこで、いろいろと検索して、Publish or Perishなるソフトウェアにたどり着きました。

Publish or Perish

Publish or Perishは、おおよそのイメージで言えば、Google ScholarのAdvanced searchを利用した結果を処理して見やすく出力してくれるソフトウェアです。まだ使い込んでないのでどの程度カスタマイズが効くのかどうかわかりませんが、なかなか使えそうな印象です。

2011年10月17日月曜日

Great Oxidation Event

生命史上の「大事件」23億年前に 酸素の濃度、急上昇

Osmium evidence for synchronicity between a rise in atmospheric oxygen and Palaeoproterozoic deglaciation
Sekine Y, Suzuki K, Senda R, Goto KT, Tajika E, Tada R, Goto K, Yamamoto S, Ohkouchi N, Ogawa NO, Maruoka T.
Nat Commun. 2011 Oct 11;2:502. doi: 10.1038/ncomms1507.

Abstractを読んだ限りでは、朝日新聞のニュースのように「時期を特定した」のがすごいのではなく、氷河期(glaciation)と酸素濃度上昇(Great Oxidation)の時期が一致することが確認されたのがすごい、ということのようです。
ちなみにこの氷河期は動物の生まれるより遙か昔、20-25億年前のもので、マンモスなどが栄えた最近の氷河期とは全く別物です。

2011年10月16日日曜日

有史以前の抗生物質耐性

Antibiotic resistance is ancient
D'Costa VM, King CE, Kalan L, Morar M, Sung WW, Schwarz C, Froese D, Zazula G, Calmels F, Debruyne R, Golding GB, Poinar HN, Wright GD.
Nature. 2011 Aug 31;477(7365):457-61. doi: 10.1038/nature10388.

3万年前の永久凍土層からDNAを抽出しメタゲノム解析を行ったところ、βラクタム系、テトラサイクリン、グリコペプチド系の抗生物質への耐性遺伝子が見つかった。バンコマイシン耐性遺伝子VanAは現代のものとほとんど同一だった。これらの結果は、抗生物質耐性が近代に生まれたものではなく、古代から自然界に存在していたことを示している。

2011年10月15日土曜日

シロイヌナズナに近縁な荒れ地植物のゲノム

The genome of the extremophile crucifer Thellungiella parvula.
Dassanayake M, Oh DH, Haas JS, Hernandez A, Hong H, Ali S, Yun DJ, Bressan RA, Zhu JK, Bohnert HJ, Cheeseman JM.
Nat Genet. 2011 Aug 7;43(9):913-8. doi: 10.1038/ng.889.

シロイヌナズナArabidopsis thalianaに近縁で、荒れ地で育つ植物Thellungiella parvulaのゲノムを次世代シーケンサーで解読した論文。この植物は別名Eutrema parvulum, Arabidopsis parvulaなどとも呼ばれています。

2011年10月14日金曜日

RNAi系を失った方が得なわけ

論文メモ。

Compatibility with Killer Explains the Rise of RNAi-Deficient Fungi
Drinnenberg IA, Fink GR, Bartel DP.
Science. 2011 Sep 16;333(6049):1592.

出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeはRdRPやDicer、Argonauteなどの遺伝子を欠失しており、RNAi系が動かない。これは生体防御系の不備を意味し、不利なはずである。しかし、この研究では、RNAi系を失った酵母は複数回出現しており、これらの多くがkiller virusというウイルスを持っていることを。このウイルスは細胞質中で自己複製するRNAとそれに依存して複製するM RNAの2つで構成される。このM RNAは近隣の酵母がM RNAを持っていない場合にはそれを殺す作用がある。一方でこれらの酵母にRNAi系の遺伝子を導入するとこのkiller virusが失われる。従って、RNAi系の欠失は、killer RNAの獲得により有利になる場合があり、これが複数のRNAi系を失った系統が維持されている理由と考えられる。

2011年10月13日木曜日

BASセミナー

10月8日に、UCSFで開催されたJapanese San Francisco Bay Area Seminar第10回年次合同セミナーに参加してきました。今回は口頭発表が多かったため〆切りが前倒しになり、最後まで参加を逡巡していた私はポスターで発表してきました。残念ながらポスター賞受賞は逃しました。

大学所属でないためなかなか日本人研究者と会う機会は多くありませんが、去年のBASセミナーや今年5月のCPPなどに参加していると次第に知り合いが増えてくるのがうれしいものです。

2011年10月12日水曜日

グリーンアノールのゲノム

グリーンアノール(Anolis carolinensis)のゲノムが解読されました。鳥類以外の爬虫類で初のゲノム報告です。

The genome of the green anole lizard and a comparative analysis with birds and mammals
Alföldi J, Di Palma F, Grabherr M, Williams C, Kong L, Mauceli E, Russell P, Lowe CB, Glor RE, Jaffe JD, Ray DA, Boissinot S, Shedlock AM, Botka C, Castoe TA, Colbourne JK, Fujita MK, Moreno RG, Ten Hallers BF, Haussler D, Heger A, Heiman D, Janes DE, Johnson J, de Jong PJ, Koriabine MY, Lara M, Novick PA, Organ CL, Peach SE, Poe S, Pollock DD, de Queiroz K, Sanger T, Searle S, Smith JD, Smith Z, Swofford R, Turner-Maier J, Wade J, Young S, Zadissa A, Edwards SV, Glenn TC, Schneider CJ, Losos JB, Lander ES, Breen M, Ponting CP, Lindblad-Toh K.
Nature. 2011 Aug 31;477(7366):587-91. doi: 10.1038/nature10390.

論文中では、アノールのLINEは5グループ(L1, L2, CR1, RTE, R4)とありますが、実際には、他にRTEXとVingiが存在します(いずれも報告済み)。原著は以下。

RTEX:
Non-LTR retrotransposons in tetrapods
Kojima K, Jurka J.
Repbase Reports 2010 Mar;10(3):488

Vingi:
Recent expansion of a new Ingi-related clade of Vingi non-LTR retrotransposons in hedgehogs
Kojima KK, Kapitonov VV, Jurka J.
Mol Biol Evol. 2011 Jan;28(1):17-20. Epub 2010 Aug 17.

2011年10月11日火曜日

軟体動物の系統樹

軟体動物はイカ、タコ、サザエなどを含む、無脊椎動物の大きなグループです。軟体動物は歴史的に8つの綱に分けられてきました。すなわち、
溝腹綱 Solenogastres:カセミミズなど。
尾腔綱 Caudofoveata:ケハダウミヒモなど。
多板綱 Polyplacophora:ヒザラガイ類。
単板綱 Monoplacophora:ネオピリナなど
二枚貝綱 Bivalvia:二枚貝。アサリ、ハマグリ、ホタテなど
掘足綱 Scaphopoda:ツノガイ類。
腹足綱 Gastropoda:巻き貝。アワビ、サザエ、ナメクジなど
頭足綱 Cephalopoda:イカ、タコ、オウムガイ、アンモナイトなど
の8綱です。

この論文では上記8綱の内、単板綱を除く7綱について系統解析を行っています。18系統のトランスクリプトームのデータと、公開されているEST、ゲノムのデータを合わせて、合計42種の軟体動物について系統関係を調べています。データは308遺伝子84614アミノ酸になりました。系統解析は最尤法とベイズ法。

結果をまとめると、
腹足綱と二枚貝綱が単系統:Pleistomollusca
腹足綱、二枚貝綱、掘足綱、頭足綱が単系統:Conchifera(貝殻類)
溝腹綱と尾腔綱が単系統:Aplacophora(無板類)
溝腹綱、尾腔綱、多板綱が単系統:Aculifera
が支持されました。

原著は以下。
Phylogenomics reveals deep molluscan relationships
Kocot KM, Cannon JT, Todt C, Citarella MR, Kohn AB, Meyer A, Santos SR, Schander C, Moroz LL, Lieb B, Halanych KM.
Nature. 2011 Sep 4;477(7365):452-6. doi: 10.1038/nature10382.

2011年10月10日月曜日

オポッサム

先日、車に轢かれて亡くなっている中型の哺乳類を発見しました。イヌのような顔つきですが、尻尾はネズミのよう。大きさもイヌかネコくらいなのでラットではありません。気になって調べてみるとキタオポッサムでした。しばしば交通事故の犠牲になっている姿がみられるそうです。
こんなところで有袋類が見られるとは思ってもみませんでしたが、北米では割と普通の光景のようです。

キタオポッサムDidelphis virginianaはアメリカ合衆国とカナダでは唯一の野生の有袋類です。英名Virginia opossumのとおり、東海岸にはもともと生息していましたが、西海岸のものは本来移入種だそうです。

でも実はこれが初めてではありませんでした。1年ほど前にも同じ場所でイヌのような哺乳類が死んでいました。そのときは隣家の飼い犬が車に轢かれたのだと思っていたのですが、今振り返ると、今回のものとよく似ています。おそらくオポッサムの通り道なのでしょう。

ゲノムが解読されたオポッサムはハイイロネズミオポッサム(Gray short-tailed opossum, Monodelphis domestica)。南米の小型のオポッサムですが、系統的には同科同亜科に属する、キタオポッサムと近縁のようです。

下は轢死体の写真ですので気をつけてください。



















2011年10月9日日曜日

Cascadeの構造

論文メモ。

Structures of the RNA-guided surveillance complex from a bacterial immune system
Wiedenheft B, Lander GC, Zhou K, Jore MM, Brouns SJ, van der Oost J, Doudna JA, Nogales E.
Nature. 2011 Sep 21;477(7365):486-9. doi: 10.1038/nature10402.

Cascadeの結晶構造をcryo-electron microscopyで決定した論文。Cascadeのタンパク質群は細長い構造をとり、それを取り巻くようにcrRNAが結合する。これによりタンパク質はcrRNAを保護しつつもcrRNAが標的RNAと対合できるようになっているらしい。

CRISPR-Cas systemの研究は飛躍的に進んできています。私がこれに絡んだ研究をしていたのは2007年前後なのでそれから5年弱でタンパク質の機能を含めて多くがわかってきました。しかし、CRISPR-Cas systemは非常に多様性の高い機構なのでまだまだ未知の部分が多く残っています。実際私の見つけた、CRISPR-Cas systemに含まれる逆転写酵素の機能は未知のままです。

2011年10月8日土曜日

フカヒレ禁止法

フカヒレ売買や所持禁止 米加州、サメ漁「残酷」

フカヒレ禁止法が通ってしまいました。これからはカリフォルニア州に住む限りはフカヒレを味わうことはできなくなるようです。
フカヒレ禁止運動を支援してきたモントレー水族館は大変自慢げなメールを会員に送ってきていました。

2011年10月7日金曜日

SINEとLTRの並行進化

論文メモ。

Convergent evolution of two mammalian neuronal enhancers by sequential exaptation of unrelated retroposons.
Franchini LF, López-Leal R, Nasif S, Beati P, Gelman DM, Low MJ, de Souza FJ, Rubinstein M.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Sep 13;108(37):15270-5. Epub 2011 Aug 29.

proopiomelanocortin gene (POMC)は海馬のニューロンで発現する遺伝子である。哺乳類のニューロン特異的なPOMCには2つの遠位エンハンサー(nPE1とnPE2)が関わっている。この内、nPE2については有胎盤類と有袋類に共通し、CORE-SINEに由来することが既に報告されている。今回、nPE1は有胎盤類特異的であり、LTRレトロトランスポゾンに由来することが明らかとなった。これはある種の並行進化と言える。

2011年10月6日木曜日

ES細胞のエンハンサーと転移因子

論文メモ。

Enhancers in embryonic stem cells are enriched for transposable elements and genetic variations associated with cancers OPEN ACCESS
Teng L, Firpi HA, Tan K.
Nucleic Acids Res. 2011 Sep 1;39(17):7371-9. Epub 2011 Jun 17.

ヒストン修飾の情報を基にエンハンサーを推測するプログラムを作成し、その予測結果を検証した論文。embryonic stem cell(ES細胞)では、T細胞やB細胞に比べて遙かに多くの転移因子由来配列が予測されたエンハンサーに含まれていることがわかった。ここでは転移因子由来配列としてBoreotheriaに共通に保存された配列を用いているので、それ以前に転移したMIR、L2などが多く見つかってきているがこれはデータセットによるバイアスの可能性が高い。著者らはこの結果をエピジェネティックな転写抑制がES細胞では解除されていることが転移因子由来配列がエンハンサーとして多く見つかる理由だと考えている。

2011年10月5日水曜日

1001系統のシロイヌナズナ

1001 Genome ProjectはシロイヌナズナArabidopsis thalianaの1001系統のゲノムを解読し、地理的多様性とそれぞれの環境への適応を調べるという壮大なプロジェクトです。その第1弾の論文がNature GeneticsとNatureから出版されました。

Whole-genome sequencing of multiple Arabidopsis thaliana populations
Cao J, Schneeberger K, Ossowski S, Günther T, Bender S, Fitz J, Koenig D, Lanz C, Stegle O, Lippert C, Wang X, Ott F, Müller J, Alonso-Blanco C, Borgwardt K, Schmid KJ, Weigel D.
Nat Genet. 2011 Aug 28;43(10):956-63. doi: 10.1038/ng.911.

この論文は8カ所から80系統のシロイヌナズナを報告しています。

Multiple reference genomes and transcriptomes for Arabidopsis thaliana OPEN ACCESS
Gan X, Stegle O, Behr J, Steffen JG, Drewe P, Hildebrand KL, Lyngsoe R, Schultheiss SJ, Osborne EJ, Sreedharan VT, Kahles A, Bohnert R, Jean G, Derwent P, Kersey P, Belfield EJ, Harberd NP, Kemen E, Toomajian C, Kover PX, Clark RM, Rätsch G, Mott R.
Nature. 2011 Aug 28;477(7365):419-23. doi: 10.1038/nature10414.

こちらは18の株のゲノムとトランスクリプトームを報告しています。3分の1のタンパク質コード配列はリファレンスゲノムを基準に考えると18の数のいずれかで"壊れている"ことがわかりました。しかし、別の遺伝子予測モデルを使うと実際には壊れていないと予想されました。すなわち、単一の株の配列を正常な遺伝子と考えるのは間違いで、実際には複数の異なる配列がそれぞれ正常な種内多型として存在しているということでしょう。

2011年10月3日月曜日

2011年ノーベル医学生理学賞

2011年のノーベル医学生理学賞は、免疫学に貢献のあった3氏(Bruce A. Beutler, Jules A. Hoffmann, Ralph M. Steinman)に贈られると発表されました。
The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2011
受賞理由は、
Bruce A. Beutler, Jules A. Hoffmannの両氏が
"for their discoveries concerning the activation of innate immunity"
「自然免疫の活性化についての発見」、
Ralph M. Steinman氏が
"for his discovery of the dendritic cell and its role in adaptive immunity"
「樹状細胞とその獲得免疫での働きの発見」
です。
自然免疫系については
大阪大学の審良静男氏もノーベル賞の候補に挙がっていましたが、残念ながら、同分野でのノーベル賞の発表で、授与の可能性はほとんどなくなりました。

ところが、発表10月3日の数日前9月30日に、受賞を発表されたSteinman氏が亡くなっていたそうです。
ノーベル賞受賞のスタインマン氏、死去していた
受賞は取り消されないという話ですが、さぞ無念なことでしょう。

京大の山中伸弥氏も有力候補とされていましたが、去年の賞が体外受精についてのものだったので、iPS細胞での再生医学とは多少分野が似通っています。今年はバランスを考えて見送られたのでしょう。

2011年10月2日日曜日

2011 Click Off

図書館で読んだAudubonかBay Natureの広告で見つけた写真コンテストです。
もう締め切られてしまっているけれど、10月23日に結果発表されるそうです。
2011 Click Off

これまでの受賞作もリンクから見ることができます。
2010 Click Off
2009 Click Off

2011年10月1日土曜日

TRE5-A

論文メモ。

Genetically tagged TRE5-A retrotransposons reveal high amplification rates and authentic target site preference in the Dictyostelium discoideum genome OPEN ACCESS
Siol O, Spaller T, Schiefner J, Winckler T.
Nucleic Acids Res. 2011 Aug;39(15):6608-19. Epub 2011 Apr 27.

細胞性粘菌のモデル生物Dictyostelium discoideumにあるnon-LTR retrotransposon TRE5-AはtRNAの5’側上流50塩基程度のところに挿入される特徴を持つ.これは遺伝子密度が高いDictyostelium discoideumにおいて遺伝子を壊さない生存戦略として有効なのだろう。この特異性はtranscription factor (TF) IIIC/IIIB との結合によって担われている。この論文では、TRE5-Aにblasticidin耐性遺伝子を組み込んだコンストラクトを作成し、TRE5-Aの転移を再現することに成功している。5’側のRNAは転移に必要でなく、3’側は必要というのは一般的なnon-LTR retrotransposonの特徴であり、これは再現された。また、リボソームRNA遺伝子をコードする染色体外DNAの遺伝子上流への挿入も確認された。

2011年9月30日金曜日

イグノーベル賞

今年もイグノーベル賞の授賞式の季節がやってきました。
わさび臭で火災知らせる装置にイグ・ノーベル賞
わさびで覚醒に成功=5年連続で日本人—イグ・ノーベル賞

と、日本ではわさびが話題ですが、個人的には生物学賞がヒットです。
「ある種の甲虫は、ある種のオーストラリア産ビール瓶と交尾しようとする」
"a certain kind of beetle mates with a certain kind of Australian beer bottle"
1983-84年に発表された研究成果が評価されたようです。
四半世紀前の報告ですから、もちろんそれから大いに発展しているのでしょうね。原因物質が特定されているかもしれません。

元サイトは以下。
Winners of the Ig® Nobel Prize

2011年9月29日木曜日

鱈のゲノム

タイセイヨウマダラ(大西洋真鱈, Atlantic cod, Gadus morhua)のゲノムが公開されました。側棘鰭上目に属する硬骨魚としては初めてのゲノムです。

The genome sequence of Atlantic cod reveals a unique immune system
Star B, Nederbragt AJ, Jentoft S, Grimholt U, Malmstrøm M, Gregers TF, Rounge TB, Paulsen J, Solbakken MH, Sharma A, Wetten OF, Lanzén A, Winer R, Knight J, Vogel JH, Aken B, Andersen O, Lagesen K, Tooming-Klunderud A, Edvardsen RB, Tina KG, Espelund M, Nepal C, Previti C, Karlsen BO, Moum T, Skage M, Berg PR, Gjøen T, Kuhl H, Thorsen J, Malde K, Reinhardt R, Du L, Johansen SD, Searle S, Lien S, Nilsen F, Jonassen I, Omholt SW, Stenseth NC, Jakobsen KS.
Nature. 2011 Aug 10;477(7363):207-10. doi: 10.1038/nature10342.

タイセイヨウマダラでは他の脊椎動物と異なり、免疫系の遺伝子であるMHC II、CD4、invariant chain (Ii)が失われている代わりに、MHC IとToll-like receptorが多様化してその機能を補っているようです。

2月の学会のSpeaker list

来年2月24日からの"Genomic Impact of Eukaryotic Transposable Elements"の学会の確定講演者のリストです。

Program

PDFファイル

最新の論文の正式版PDFファイルができましたのでリンクを貼ります。
以下のアブストラクトのページの右側から飛んでください。
Families of transposable elements, population structure and the origin of species.
Jurka J, Bao W, Kojima KK
Biology Direct 2011; 6:44. Epub 2011 Sep 19.

2011年9月28日水曜日

恐竜の羽毛

琥珀に恐竜の羽毛11点 進化の過程はっきり カナダ

原著は以下。
A Diverse Assemblage of Late Cretaceous Dinosaur and Bird Feathers from Canadian Amber
McKellar RC, Chatterton BD, Wolfe AP, Currie PJ.
Science. 2011 Sep 16;333(6049):1619-22.

琥珀の中に閉じ込められた羽毛の解析。原羽毛と呼べる恐竜の原始的な羽毛や、より進化した鳥類の羽毛を報告している。後期白亜紀には、飛ぶのに適した羽毛や、海に潜るのに適した羽毛を持った鳥類が進化したことがわかった。

2011年9月27日火曜日

ホーミングエンドヌクレアーゼI-CreIの標的認識

論文メモ。
Context dependence between subdomains in the DNA binding interface of the I-CreI homing endonuclease
Grizot S, Duclert A, Thomas S, Duchateau P, Pâques F.
Nucleic Acids Res. 2011 Aug 1;39(14):6124-36. Epub 2011 Apr 10.

ホーミングエンドヌクレアーゼは利己的な遺伝子の一種で、ゲノム中の特定の配列を切断し、そこに自身のコピーを修復機構に依存して挿入されることで集団中のコピー数を増やす。比較的短い配列を認識する制限酵素と異なり、比較的長い配列を認識するため、制限酵素と相補する形での遺伝子工学での応用が期待されている。ただし標的配列は通常ゲノム中に1コピーしかなく、そのままでの応用は困難である。従って、人為的に新しい標的配列を切断する酵素を作り出す必要があるが、そのためには、どのようにしてDNAを認識するのかについての理解が必要である。
この論文では、LAGLIDADGファミリーのホーミングエンドヌクレアーゼI-CreIのDNA結合領域にアミノ酸置換を体系的に導入して、その変化を調べている。その結果、3つの領域に分かれるDNA結合領域のそれぞれの領域をまたいだ相互作用はあまり強い影響を持たないことが明らかとなった。従って、新しい標的配列を認識する酵素を開発するためには、それぞれの領域を個別に改変したものを組み合わせることが可能であると考えられる。

2011年9月26日月曜日

ノーベル賞予想

毎年恒例のThomson-Reutersのノーベル賞受賞予想が発表されました。毎年追加されていく形式のようです。

2011 Predictions

新たに、医学生理学賞の候補者となったのは、

Robert L. Coffman, Timothy R. Mosmann
「2種類のT細胞TH1とTH2の発見」

Brian J. Druker, Nicholas B. Lydon, Charles L. Sawyers
「慢性リンパ腫の治療薬としてのimatinibとdasatinibの開発」

Robert S. Langer, Joseph P. Vacanti
「組織エンジニアリングと再生医療への貢献」

Jacques F. A. P. Miller,
「T細胞とB細胞の同定と胸腺の機能の発見」

日本人で医学生理学賞の候補になっているのは以下の人々。

Shinya Yamanaka(山中 伸弥)
「iPS細胞の開発」
Seiji Ogawa (小川 誠二)
「fMRIの基礎技術の開発」
Shizuo Akira (審良 静男)
「Toll-like receptorと自然免疫の研究」
Yasutomi Nishizuka (西塚 泰美)故人
「Protein Kinase Cの発見」

2011年9月25日日曜日

首長竜

首長竜は胎生だった? 化石から胎児

中生代の水棲爬虫類では胎生のものが多く知られている。しかし、首長竜の仲間(プレシオサウルス類)では胎生の証拠は得られていなかった。今回、幼生がおなかにいる首長竜の化石が見つかった。これは首長竜が胎生であったことを示していると考えるのが最も利にかなっている。

中生代の水棲爬虫類としては、首長竜(プレシオサウルス類)の他、海トカゲ(モササウルス類)、魚竜(イクチオサウルス類)、ワニ、カメなどが知られている。三畳紀後期に現れ白亜紀末まで栄えた首長竜は鰭竜類(Sauropterygia)に属し、鰭竜類は、ヘビ・トカゲ類の姉妹群である。海トカゲはオオトカゲやヘビに近縁な有鱗類(Squamata)であり、魚竜は双弓類(Diapsida)の古くに分岐したグループで、現生の全ての爬虫類・鳥類の姉妹群である。

原論文は以下。
Viviparity and K-Selected Life History in a Mesozoic Marine Plesiosaur (Reptilia, Sauropterygia)
O'Keefe FR, Chiappe LM.
Science. 2011 Aug 12;333(6044):870-3.

2011年9月24日土曜日

SpongeBob

(9/22)人気アニメ「スポンジ・ボブ」は幼児にはまだ早い?

アメリカではスポンジ・ボブは大人気だそうです。スポンジが主人公で海の生き物を題材にしたアニメです。スポンジは海綿ですから海の生き物ですよね。最近IKEAに行った際も子供達がかじりつきで見ていました。少し見ただけですが、結構下品で、親が見せたくないアニメだというのも頷けました。
これで見せない理由が一つ増えたようです。

2011年9月23日金曜日

擬態を維持する超遺伝子

Chromosomal rearrangements maintain a polymorphic supergene controlling butterfly mimicry
Joron M, Frezal L, Jones RT, Chamberlain NL, Lee SF, Haag CR, Whibley A, Becuwe M, Baxter SW, Ferguson L, Wilkinson PA, Salazar C, Davidson C, Clark R, Quail MA, Beasley H, Glithero R, Lloyd C, Sims S, Jones MC, Rogers J, Jiggins CD, ffrench-Constant RH.
Nature. 2011 Aug 14;477(7363):203-6. doi: 10.1038/nature10341.

Supergene(超遺伝子)はひとかたまりの遺伝子の集まりであり、組み換えにより分離しない。擬態する蝶の一種であるHeliconius numataでは2つの多型が維持されている。この多型の遺伝子座Pには、色彩に関与する、少なくとも2つの遺伝子が、400kbほどの間隔で18個以上の遺伝子を挟んで位置している。この2つの遺伝子の間では、近縁種では組み換えが起こるが、この種では全く組み換えが起こらないように抑制されている。機構は不明だが、このように複数の遺伝子があたかも1つの遺伝子のように振る舞うことで、大きな形態的差異をもたらす多型が維持されているらしい。

Heliconius numataのGoogle画像検索結果

Heliconius numataは南米原産のドクチョウ。

2011年9月22日木曜日

Biology Direct

Biology Directはユニークな雑誌です。

Impact Factorは3.74とそれほど高くありませんが、独特の取り組みをしています。それは、peer reviewの過程が全て公開されるというものです。Reviewerの名前も公表され、コメントとそれに対する著者らの返答まで全て公開されています。このため、頭の悪いコメントをしたり、難癖をつけたりすると恥をかくことになります。

個人的には、reviewerとしてコメントをしたり、著者としてそれに対して返答するための教材として、この雑誌は大変有用だと思っています。というのはその辺りのやり方は、共著の論文で先達に学ぶしか通常は方法がなく、体系的な方法が教えられるわけではありません。どうしても身近な人の真似になります。そこで、全く別のやり方を学ぶにはBiology Directが参考になります。

2011年9月21日水曜日

転移因子と種分化の関係

共著の論文がBiology Directから出版されました。ボスが筆頭著者です。私はデータの解析でお手伝いしました。

Families of transposable elements, population structure and the origin of species.
Jurka J, Bao W, Kojima KK
Biology Direct 2011; 6:44. Epub 2011 Sep 19.

転移因子には種特異的なものが多く見られ、しかも大量に蓄積している事がわかっていました。つまり、転移因子の増殖と種分化には相関関係があることが示されていました。ここから、転移因子の増殖が新しい遺伝子や遺伝子調節領域を作ることで種分化が引き起こされるのだと言う仮説が提示されていました。

今回の仮説は全く逆で、種分化の過程で有効集団サイズの縮小が起こり、遺伝的浮動が起こりやすくなる事で転移因子が固定されるというものです。転移因子の転移はほとんどの場合、有害か弱有害なので、大集団では淘汰圧により失われて行きます。一方、小さな集団では遺伝的浮動により確率的に固定される割合が増えます。周辺種分化では大集団から小集団が分離し、そこから新しい種が派生するので、この仮説とよく合致します。

考えてみるとごく自然な発想で、これまで誰も公表していないのが不思議なくらいです。

2011年9月20日火曜日

Googleにturkey vulture

今朝Googleの敷地内で2羽のTurkey vulture(ヒメコンドルCathartes aura)が留まっているのを発見。始めはカラスだと思ったけれど、頭が赤かったのでわかりました。
AlvisoやAlum Rockでは見たことがあったけれど、こんな間近に来ているのを見たのは初めて。交通事故死した動物の臭いに惹きつけられてきたのでしょうね。

カメラを持ってなかったので写真はありません。

2011年9月19日月曜日

ジュラ紀の哺乳類

論文メモ。
A Jurassic eutherian mammal and divergence of marsupials and placentals
Luo ZX, Yuan CX, Meng QJ, Ji Q.
Nature. 2011 Aug 24;476(7361):442-5. doi: 10.1038/nature10291.

ジュラ紀1億6千万年前に生息した真獣類(有胎盤類)の化石の報告。有袋類と真獣類の分岐がそれ以前におこっていた事を示す証拠となる。2グループの分岐年代はTIME TREEの結果では1億5600万年前なので、相当初期の真獣類の化石と言えるだろう。

2011年9月18日日曜日

ネコに惹かれるネズミ

スタンフォード大学の広報から。

Parasite uses the power of sexual attraction to trick rats into becoming cat food

Toxoplasmaに感染したラットはネコに対する恐怖心が薄れることが知られている。Toxoplasmaの有性生殖はネコ科の動物の腸内でのみ起き、無性生殖はネコ科を含む幅広い哺乳類や鳥類で行われる。したがってネコ科動物が終宿主、その他の動物は中間宿主である。


通常のラットはネコの尿に忌避反応を起こす。しかし感染したラットはより多くの時間をその付近で過ごす。Toxoplasmaはラットの脳に寄生するが、中でも海馬に好んで寄生する。生来の忌避反応をもたらす神経がネコの尿に反応する程度は、寄生により低下し、その近傍にある性的魅力に対する反応を促す神経が活性化される。
実際に性的魅力を感じているのかはまだ明瞭ではないが、何らかの形でToxoplasmaが宿主の環境応答に影響を与えているのは確かなようだ。そしてそれはラットがネコに食べられることを通してToxoplasmaが最終宿主のネコに移動するために役立っている。

Predator Cat Odors Activate Sexual Arousal Pathways in Brains of Toxoplasma gondii Infected Rats OPEN ACCESS
House PK, Vyas A, Sapolsky R.
PLoS One. 2011;6(8):e23277. Epub 2011 Aug 17.

2011年9月17日土曜日

Puccinia striiformesゲノム

重要な小麦の病原菌Puccinia striiformesのゲノムを次世代シーケンサーで解読した共同研究がPLoS ONEから出版されました。私は反復配列の探索と同定を担当しました。

Cantu D, Govindarajulu M, Kozik A, Wang M, Chen X, Kojima KK, Jurka J, Michelmore RW, Dubcovsky J.
Next generation sequencing provides rapid access to the genes of wheat stripe rust.
PLoS ONE, 2011; 6(8):e24230. Epub 2011 Aug 31.

MuDR superfamilyに属する新しいグループとしてMuDRFを、
Tc1/Mariner superfamilyに属する新しいグループとしてSaganを報告しています。

Pucciniaのうち、3種類は小麦の病原菌として重要な菌類です。
Puccinia striiformes:wheat stripe rust
Puccinia triticina:wheat leaf rust
Puccinia graminis:wheat stem rust
ややこしいですね。

2011年9月16日金曜日

ホームページ一新

ホームページ:小島生物学御研究室の構成を一新しました。まだ構成だけですが、これから少しずつ新しい項目を追加していく予定です。まずは、利己的遺伝因子の紹介から始めたいと思っています。

2011年9月15日木曜日

石炭紀の巨大昆虫

ナショナルジオグラフィックのニュースから。
古代の昆虫、巨大化の謎に新説

石炭紀にはメガニウラなどの巨大昆虫が生息していたことが知られている。これらの巨大昆虫の生息はこの時代に酸素濃度が30%程度と非常に高く、呼吸によるエネルギー産生の効率が非常に良かったことによると考えられてきた。しかし、この話では、むしろこの高すぎる酸素濃度から身を守るために昆虫は巨大化したという説が紹介されている。

研究でわかったことは、「カワゲラの幼虫は地上で暮らす成虫よりも酸素の変動の影響を受けやすい 」ということ。昆虫の成虫は気管により呼吸に必要な酸素を体内に取り込む。体表にある気門を開閉することで体内に取り込む酸素の量をコントロールしている。一方幼虫は体表全体から酸素を吸収する。酸素量の制御ができないため、対策として体積に占める体表の割合を下げる必要がある。すなわち、体サイズの増加である。体積は長さの3乗、面積は長さの二乗に比例するため、体サイズが増大するほど体積に占める体表面積は小さくなる。従って、「酸素濃度が高い時代には巨大な幼虫が増え、それに伴って巨大な成虫が増えることになった」というのが今回の説である。

カワゲラの幼虫は水中に生息する。一方、陸上昆虫の幼虫は気管を持っている。気管が複雑になりすぎると気管の表面のクチクラごと脱皮する際に失敗する可能性が増える。これが昆虫の巨大化の上限を決めているらしい。

Can oxygen set thermal limits in an insect and drive gigantism? OPEN ACCESS
Verberk WC, Bilton DT.
PLoS One. 2011;6(7):e22610. Epub 2011 Jul 27.

2011年9月14日水曜日

瀬藤さんのブログ

七夕ミーティングで招待講演されていた浜松医科大学の瀬藤さんの研究室のHPとブログを見つけたのでリンク。
細胞生物学研究室
瀬藤のブログ

懇親会で少しだけお話ししました。

2011年9月13日火曜日

New journal "Mobile Genetic Elements"

知り合いのラボの最近の論文を見ていて発見しました。Mobile DNAに引き続きこんな雑誌まで創刊されていたとは...

Mobile Genetic Elements

最初の1年間は購読料も掲載料も無料だそうです。
Mobile DNAも創刊されて間もないのに、似た雑誌を次々作ってどうするつもりなのでしょう??

2011年9月12日月曜日

転移因子の挿入位置を調べるツールELAN

転移因子の挿入位置の配列の特徴を調べるツールELANの論文。結果にはほとんど新規性は無いのでソフトウェアの開発がメイン。

Genome-wide analysis of mobile genetic element insertion sites
Rawal K, Ramaswamy R.
Nucleic Acids Res. 2011 Sep 1;39(16):6864-78. Epub 2011 May 23.

下のページには、ミツバチのゲノムでAlu(!)を調べた結果などあり面白い。
ELAN

2011年9月11日日曜日

最期っ屁

Wikipediaによると、スカンクが肛門傍洞腺(肛門嚢)から放出する分泌液は主に、(E)-2-butene-1-thiol, 3-methyl-1-butanethiol, and 2-quinolinemethanethiolの3つのチオールとそのアセチルチオエステルです。



チオール基は-SHで、チオール基を持つ分子は、卵の腐った臭い、温泉の硫化水素臭に似た臭いがします。チオールの1種、2-メルカプトエタノールは実験でよく使いましたが、やはり似た臭いですね。

シマスカンク

野生のスカンクを生まれて初めて目撃しました。

それは夕方の散歩の時間。Mountain Viewの海際にあるShoreline at Mountain View Parkを歩いている途中、子供時代に嗅いだ「バキュームカー」の悪臭がする場所がありました。ここはいつも水が腐ったような臭いがするため今回もそれだと思って通り過ぎたのですが、その後、よろよろと歩く黒白の獣を目撃。明らかにスカンクです。さきほどの臭いもスカンクのものだとわかりました。

体表の模様とからして、striped skunk (学名Mephitis mephitis、和名シマスカンク)と思われます。

スカンクはアメリカでは割と普通にいる哺乳類です。しかし普段は人間の前には出てこないのでこれまで見たことがなかったのですが、今回のスカンクはとてもよろよろと歩いています。おそらく先ほどの悪臭は「最期っ屁」だったのでしょう。車は通らないところなので何に撥ねられたかはわかりませんが、体表に血は見られないので内臓破裂かなにかでしょう。

最後には倒れて動けなくなってしまったスカンクを講演の管理官か野生動物の保護の仕事の人が網で捕まえて車で連れて行きました。傷が治って野生に戻れると良いのですが...



2011年9月10日土曜日

Sclerotinia sclerotiorumとBotrytis cinereaのゲノム

菌核病菌Sclerotinia sclerotiorumと灰色かび病菌Botrytis cinereaのゲノムが解読されました。どちらも子嚢菌に属し、植物病原体で農業被害をもたらします。一方で、後者に寄生されたブドウは、成分が凝集されるため甘みの強い貴腐ワインの原料になります。

両種は近縁でアミノ酸レベルで88%の類似性があるそうです。私と関係のあるところでは、Sclerotinia sclerotiorumのゲノムの7%以上が転移因子に由来するのに対して、Botrytis cinereaは1%以下しか転移因子を持っていません。

Genomic Analysis of the Necrotrophic Fungal Pathogens Sclerotinia sclerotiorum and Botrytis cinerea OPEN ACCESS
Amselem J, Cuomo CA, van Kan JA, Viaud M, Benito EP, Couloux A, Coutinho PM, de Vries RP, Dyer PS, Fillinger S, Fournier E, Gout L, Hahn M, Kohn L, Lapalu N, Plummer KM, Pradier JM, Quévillon E, Sharon A, Simon A, Ten Have A, Tudzynski B, Tudzynski P, Wincker P, Andrew M, Anthouard V, Beever RE, Beffa R, Benoit I, Bouzid O, Brault B, Chen Z, Choquer M, Collémare J, Cotton P, Danchin EG, Da Silva C, Gautier A, Giraud C, Giraud T, Gonzalez C, Grossetete S, Güldener U, Henrissat B, Howlett BJ, Kodira C, Kretschmer M, Lappartient A, Leroch M, Levis C, Mauceli E, Neuvéglise C, Oeser B, Pearson M, Poulain J, Poussereau N, Quesneville H, Rascle C, Schumacher J, Ségurens B, Sexton A, Silva E, Sirven C, Soanes DM, Talbot NJ, Templeton M, Yandava C, Yarden O, Zeng Q, Rollins JA, Lebrun MH, Dickman M.
PLoS Genet. 2011 Aug;7(8):e1002230. Epub 2011 Aug 18.

2011年9月9日金曜日

Albugo laibachiiのゲノム

卵菌の1種Albugo laibachiiのゲノムが報告されました。この論文では、biotrophy(寄生した宿主を殺さない寄生の形)に焦点を当てて研究をまとめています。

Gene Gain and Loss during Evolution of Obligate Parasitism in the White Rust Pathogen of Arabidopsis thaliana OPEN ACCESS
Kemen E, Gardiner A, Schultz-Larsen T, Kemen AC, Balmuth AL, Robert-Seilaniantz A, Bailey K, Holub E, Studholme DJ, Maclean D, Jones JD.
PLoS Biol. 2011 Jul;9(7):e1001094. Epub 2011 Jul 5.

2011年9月8日木曜日

Rancho San AntonioにMountain Lion

ロスアルトスヒルズでマウンテンライオン注意報

ここシリコンバレー周辺で最大の野生肉食獣はMountain Lionです。Mountain Lionは学名をPuma concolor。日本ではピューマという名前が一般的です。英名はcougarなどもありますが、この辺りでは、北アメリカ大陸最大の野生ネコ類であること、山地に生息することからMountain Lionと呼ばれています。

Aureococcus anophagefferensのゲノム

二次共生藻のペラゴ藻の1種Aureococcus anophagefferensのゲノムが報告されました。赤潮の原因となる藻類の1種です。

Niche of harmful alga Aureococcus anophagefferens revealed through ecogenomics.OPEN ACCESS
Gobler CJ, Berry DL, Dyhrman ST, Wilhelm SW, Salamov A, Lobanov AV, Zhang Y, Collier JL, Wurch LL, Kustka AB, Dill BD, Shah M, VerBerkmoes NC, Kuo A, Terry A, Pangilinan J, Lindquist EA, Lucas S, Paulsen IT, Hattenrath-Lehmann TK, Talmage SC, Walker EA, Koch F, Burson AM, Marcoval MA, Tang YZ, Lecleir GR, Coyne KJ, Berg GM, Bertrand EM, Saito MA, Gladyshev VN, Grigoriev IV.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Mar 15;108(11):4352-7. Epub 2011 Feb 23.

2011年9月7日水曜日

フカヒレ禁止法

カリフォルニアでフカヒレ禁止へ

カリフォルニア州でフカヒレの所持、販売が禁止になりそうです。Monterey Bay Aquariumもこの法律の成立を応援しているようです。

UCSC Extension in Silicon Valley

カリフォルニア大学群(University of California,UC)には10個のキャンパスがあり、カリフォルニア州に分散して位置しています。以下がそのリストで、

* カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)
* カリフォルニア大学デービス校(University of California, Davis)
* カリフォルニア大学アーバイン校(University of California, Irvine)
* カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles)
* カリフォルニア大学マーセド校(University of California, Merced)
* カリフォルニア大学リバーサイド校(University of California, Riverside)
* カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego)
* カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)
* カリフォルニア大学サンタバーバラ校(University of California, Santa Barbara)
* カリフォルニア大学サンタクルーズ校(University of California, Santa Cruz)

シリコンバレー近郊には、バークレー校、サンフランシスコ校、サンタクルーズ校の3校があります。(サクラメント近郊のデービス校も比較的近い。)それに加えて、サンタクルーズ校の分校、UCSC Extensionがシリコンバレーの中心部サンタクララにあります。UCSC Extensionは主に社会人向けに講義を行なう教育施設で、学部生や大学院は存在しません。そのUCSC Extensionの説明会に先日行ってきました。

UCSC Extension in Silicon Valley

参加した説明会はBiotechnology and Bioinformaticsのものでしたが、UCSC Extensionの講義を受講している人数が年間1万人、そのうち、18%がPh.DまたはMDの持ち主という数値は驚きでした。講義は企業の研究者・役員や他の大学(Stanford University等)の教員が兼担しているようです。(専任の教員もいるのかもしれません。)内容もかなり本格的で、大学院としての内容のようです。いわゆる社会人向けの一般教養講座ではありません。

2011年9月6日火曜日

新しいインプリント座

論文メモ。

Novel retrotransposed imprinted locus identified at human 6p25
Zhang A, Skaar DA, Li Y, Huang D, Price TM, Murphy SK, Jirtle RL.
Nucleic Acids Res. 2011 Jul 1;39(13):5388-400. Epub 2011 Mar 18.

新規のインプリント座をFAM50B遺伝子の近傍に発見した.FAM50Bとそのアンチセンス鎖FAM50B-ASは父親由来だけ転写されていた。FAM50Bは有袋類と有胎盤類にはあるが、単孔類と鳥類からは見つからなかった。さらに、オポッサムとマウスではFAM50Bは両方の親由来で転写されていた。従ってFAM50Bはげっ歯類と分かれた後に霊長類の系統で新規にインプリント遺伝子になったと考えられる。この遺伝子の機能は不明だが、発現の異常は精巣のガンを誘発することから精子形成に重要な遺伝子であると考えられる。

2011年9月5日月曜日

スズメに近縁なオウム

論文メモ。

Mesozoic retroposons reveal parrots as the closest living relatives of passerine birds OPEN ACCESS
Suh A, Paus M, Kiefmann M, Churakov G, Franke FA, Brosius J, Kriegs JO, Schmitz J.
Nat Commun. 2011 Aug 23;2:443. doi: 10.1038/ncomms1448.

スズメ目は鳥類の半分の種を含む巨大なグループであるが、その系統的位置はこれまで明瞭ではなかった。この論文では、レトロトランスポゾンの挿入の有無により、スズメ目に最も近い現生の鳥類はオウム目であることを明らかにしている。またその次に近いのはハヤブサ目である。ちなみにいわゆる猛禽類の内、タカ類、コンドル類、フクロウ類などはハヤブサ・オウム・スズメに共通するレトロトランスポゾンの挿入を持っておらず、別系統であることも示されている。また、これまでに示されて来た系統群については多くが支持されている。(走鳥類、キジカモ類、その他の鳥類、など)

しかし、上記の系統関係は、
A phylogenomic study of birds reveals their evolutionary history.
Hackett SJ, Kimball RT, Reddy S, Bowie RC, Braun EL, Braun MJ, Chojnowski JL, Cox WA, Han KL, Harshman J, Huddleston CJ, Marks BD, Miglia KJ, Moore WS, Sheldon FH, Steadman DW, Witt CC, Yuri T.
Science. 2008 Jun 27;320(5884):1763-8.
で既にかなりの信頼性で提示されており、今回の論文はその証明という側面が強い.レトロトランスポゾンの挿入による系統関係の推定はかなり断定的なことが言えるのでその点では意味があるが、全く新規の系統関係が明らかになったわけではないところが、この論文がNature Communicationsにでた理由であろう。

ゲノム解読されたゼブラフィンチ(スズメ目)のゲノム情報をとっかかりに研究を行っているので、スズメ目のより最近の進化についての情報が多く得られている。また、解析に用いたレトロトランスポゾンはCR1とendogenous retrovirusのLTRである。

2011年9月4日日曜日

ダンスで科学を表現する

Announcing the 2011 'Dance Your Ph.D.' Contest

「あなたが科学者ならあなた以上にあなたの博士論文のことを知っている人はいません。(もしかしたら、あなたしか本当にそれを理解していないかもしれません。)では、どうやってあなたの博士研究を友人や家族に説明しますか?」

「踊ればいいじゃない?(Why not dance?)」

というのがこの「Dance Your Ph.D.」の趣旨だそうです。賞金は最高で千ドル+ブリュッセルへの渡航費。

The “Dance Your Ph.D.” Contest 2011

2011年9月2日金曜日

貝殻とイルカ

貝殻使って漁するイルカ=仲間内で広まる? —豪大学研究

文化の定義はともかくとして、集団内で広まっているのだったら興味深いですね。

Repbase Reports 11(8)

Repbase Reportsの今年第8号が公開されました。今号は4種の真菌(Puccinia graminis, Puccinia triticina, Melanopsora larici-populina, Schizophyllum commune)、ポプラ(Populus trichocarpa)、珪藻の1種(Phaeodactylum tricornutum)の転移因子を報告しています。
また、MuDR superfamilyに属するグループMuDRF、Mariner/Tc1 superfamilyに属するグループSaganの報告も簡単にしています。詳細については現在in pressの別の論文で報告しています。

Repbase Reports 2011, Volume 11, Issue 8

2011年9月1日木曜日

脊椎動物進化の3つの革新時期

論文メモ。
Three Periods of Regulatory Innovation During Vertebrate Evolution

5種の脊椎動物のゲノム配列比較から高度に保存されていながら転写されていない配列conserved nonexonic elements (CNEEs)を同定し、これを調節領域と見なした。これが進化上のどの時期に強い淘汰圧を受けているのかを解析したところ、3つの段階が特徴づけられた。まず、脊椎動物の初期進化では転写因子や発生関連遺伝子の周辺のCNEEが淘汰を受けており、次は細胞外シグナル伝達系の遺伝子の周辺のCNEE、最後が翻訳後タンパク質修飾因子の周辺のCNEEであった。

Santa Cruzにザトウクジラ

最近、Santa Cruzのボードウォークのそばまでザトウクジラが接近してくるそうです。浅瀬にクジラが来ることが決して珍しくないのが、今回のクジラは浅瀬に長い間とどまっているところが珍しいのだそうです。

サンタクルーズのビーチの浅瀬にザトウクジラ
Humpback hangs out off Santa Cruz shoreline

2011年8月31日水曜日

七夕ミーティング感想

日本滞在丸2日の訪日から無事アメリカに帰ってきました。

七夕ミーティングについては、2回目ということで改善点もまだ多くあるようですが、全体を通してとても有意義な会でした。参加できたことはとても良かったと思っています。いくつか思ったことを書いておきます。今後参加を検討される方の参考までに。

30分程度の口演が2題ありましたが、どちらも新しい技術を導入して研究成果につなげているという話でした。この会だけなのか理研全体なのかはわかりませんが、technology-drivenの研究が評価されやすい下地があるのではないかな?

会場の配置も知らない状態で「入退場含めて2分」というお達しのあった2分間スピーチは、企画者、発表者ともに改善の余地有り。多くの発表者がスライドを準備してきていました(私はスライド使用可というメールに気づいたのが〆切り後でした...)が、短い時間で話を全て伝えようとするあまりに早くて観衆の(少なくとも私の)理解が付いていかないスピーチになってしまっていました。「ポスター発表が本番」と割り切って、そのポスターの宣伝に徹するのが正解だったかもしれません。

自分のポスターについては人が割と多く来た印象です。少なくとも分子生物学会のポスター発表よりはまともなディスカッションができました。もう少し広いポスター発表の場所が確保されたらより良かったのかもしれません。

何はともあれ、発表が終わった後には、懇親会。理研の先生方も多く参加され、有意義な情報交換ができました。その後は発表者だけで鶴見駅前で二次会。珍しく自作名刺が活躍しました。

2011年8月30日火曜日

顎の初期進化

論文メモ。
Fossil jawless fish from China foreshadows early jawed vertebrate anatomy

脊椎動物の2分類群、顎口類(有顎類)と無顎類の最大の違いは名前の通り顎の有無です。しかし、顎が進化的にどのようにして形成されたかはあまり明らかではありません。ostracodermsは絶滅した無顎類で、顎口類の祖先と目される生物群です。著者らはX線トモグラフィーを用いて、galeaspid(4.35億〜3.7億年前のostracodermの仲間)の化石の顎の2つの構造を明らかにしています。

1. 鼻嚢(nasal sac)の対が脳頭蓋(braincase)の中に位置する
2. 下垂体管腫(hypophyseal duct)が口腔(oral cavity)に向かって開く

鼻嚢の対と下垂体管腫が独立していることは顎口類と共通し、円口類(現生の無顎類)や他の絶滅した無顎類(osteostracans)とは異なる特徴で、このことは、顎が1回のイベントではなく、段階的に形成されたことを示している。

2011年8月29日月曜日

顎口類の初期進化

論文メモ。
Initial radiation of jaws demonstrated stability despite faunal and environmental change
Anderson PS, Friedman M, Brazeau MD, Rayfield EJ.
Nature. 2011 Jul 6;476(7359):206-9. doi: 10.1038/nature10207.

脊椎動物は顎口類(gnathostomes)と無顎類に分けられますが、現生の99%は顎口類です。顎口類はシルル紀(4.44〜4.16億年前)には既に誕生しており、デボン紀末(3.59億年前)には陸上に進出しています。この研究では無顎類が衰退し顎口類が取って代わるエムシアン(約4億年前)よりも以前に顎の形態的な異種性(disparity)はピークに達しており、顎の獲得により無顎類を駆逐した、あるいは無顎類が持っていたニッチに取って代わることで多様化を果たしたわけではないことを示しています。

この研究によると、これによると顎の異種性はデボン紀初期には最大になり、その後はほとんど変化しない状態が続きます。以下の顎口類の5つのグループについて個別に解析を行うと、

・Acanthodii, spiny sharks, 棘魚類(顎口類の初期分岐の1つ)
・Actinopterygii, ray-finned fishes, 条鰭類(ほとんどの硬骨魚を含むグループ)
・Chondrichthyes, cartilaginous fishes, 軟骨魚類(サメ、エイ、ギンザメなどを含むグループ)
・Placodermi, armoured stem gnathostomes, 板皮類(顎口類の初期分岐の1つ)
・Sarcopterygii, lobe-finned fishes, 肉鰭類(シーラカンス、肺魚、四足動物を含むグループ)
以上の相互関係は、
((((肉鰭類、条鰭類)、棘魚類)、軟骨魚類)、板皮類)が有力であるらしい。

デボン紀に異種性が大きかったのは肉鰭類と板皮類の2群で他のグループでは異種性に乏しいという結果が得られました。肉鰭類内部では、四足動物の顎の形態は祖先の魚と大きな変化は見られない一方で、肺魚類では著しい変化が認められました。板皮類はデボン紀を通じて優占的な地位を保ち、形態的にも異種性が大きく、デボン紀ー石炭紀の絶滅の直前まで異種性を保っていました。棘魚類はシルル紀には非常に異種的でしたが、デボン紀には異種性を減らしています。

2011年8月27日土曜日

2番目のハキリアリのゲノム

ハキリアリの1種Acromyrmex echinatiorのゲノムが報告されました。
The genome of the leaf-cutting ant Acromyrmex echinatior suggests key adaptations to advanced social life and fungus farming.
Nygaard S, Zhang G, Schiøtt M, Li C, Wurm Y, Hu H, Zhou J, Ji L, Qiu F, Rasmussen M, Pan H, Hauser F, Krogh A, Grimmelikhuijzen CJ, Wang J, Boomsma JJ.
Genome Res. 2011 Aug;21(8):1339-48. Epub 2011 Jun 30.

最近PLoS Geneticsにゲノムが報告されたのは別属のハキリアリAtta cephalotesでした。いわゆるハキリアリとはAttaAcromyrmexの2属のアリを指します。
Illuminaで全ゲノム配列の100倍相当の配列を読み、ゲノム解読された多種のアリと比較しています。この種の女王アリは複数の雄と交尾したり、たまに2倍体の雄が生まれたりという、他のアリにあまり見られない特徴をもっているそうですが、それらの原因らしきゲノムの特徴がわかったようです。

2011年8月26日金曜日

サンゴのゲノム

サンゴの1種、コユビミドリイシAcropora digitiferaのゲノムが解読されました。AcroporaとイソギンチャクNematostellaは約5億年前に分岐したと推定され、またAcroporaはシステイン合成系の遺伝子を欠いているそうです。

Using the Acropora digitifera genome to understand coral responses to environmental change.
Shinzato C, Shoguchi E, Kawashima T, Hamada M, Hisata K, Tanaka M, Fujie M, Fujiwara M, Koyanagi R, Ikuta T, Fujiyama A, Miller DJ, Satoh N.
Nature. 2011 Jul 24;476(7360):320-3. doi: 10.1038/nature10249.

2011年8月25日木曜日

10万人が受講する講義

スタンフォード大学のニュースから。

Free computer science courses, new teaching technology reinvent online education

この秋スタンフォード大学が提供するオンラインコースが今こちらで話題になっています。この記事では、登録者5万8千人と書いてありますが、調べたところ、ある講義の受講者はなんともう10万人を超えていました。

スタンフォードが開発した新しいオンラインコースのツールを使ってできるだけ双方向の講義を展開する予定だそうです。スタンフォードで実際に行われる授業をオンライン向けに改変して配信し、質問もリアルタイムではないながらも可能です。宿題も試験もあります。残念ながら修了証や単位はもらえません。

開講されるのは以下の3コース。
Machine Learning
Introduction to Artificial Intelligence
Introduction to Databases

海外からでも受講は可能です。


2011年8月24日水曜日

ES細胞とiPS細胞から始原生殖細胞

胚性幹(ES)細胞や人工多能性幹(iPS)細胞の研究がすごい勢いで進んでいます。最近網膜を作ったと思ったら次は始原生殖細胞だそうです。

iPS細胞から精子、出産 京大、マウス実験 孫も誕生

原著論文はこちら。
Reconstitution of the Mouse Germ Cell Specification Pathway in Culture by Pluripotent Stem Cells.
Hayashi K, Ohta H, Kurimoto K, Aramaki S, Saitou M.
Cell. 2011 Aug 3. [Epub ahead of print]

この研究では、ES細胞やiPS細胞を細胞培養することで、始原生殖細胞に似た細胞(primordial germ cell-like cells (PGCLCs))へと誘導することに成功しています。その間には、epiblast-like cells (EpiLCs)の段階を経ています。これはepiblast(胚体外胚葉)に似た細胞で、生殖細胞の発生と同じ中間段階を経ていると見なすことができます。この始原生殖細胞に似た細胞をマウスの精巣に入れると精子が正常に作られ、体外授精(体外受精?)で子供ができました。
すなわち、始原生殖細胞から精子への誘導は今後の課題ですが、確かに不妊治療への大きな第一歩です。

2011年8月23日火曜日

七夕ミーティングのため日本へ

まだ時差ボケから復調しないまま、また日本出張です。横浜理研で開かれるGSC七夕ミーティングに参加してきます。

Genomic Sciences Research Complex(GSC)七夕ミーティング2011

JALのサンフランシスコー羽田便は東京出張にはとても便利です。成田から都心に出るのは非常に大変なので。

2011年8月22日月曜日

個人ゲノム解読から人類集団の歴史に迫る

論文メモ。
Inference of human population history from individual whole-genome sequences
Li H, Durbin R.
Nature. 2011 Jul 13;475(7357):493-6. doi: 10.1038/nature10231.

現生人類は約6万年前に強いボトルネックを受けたと考えられている。この論文では、解読された個人ゲノム(中国1人、朝鮮1人、ヨーロッパ3人、ヨルバ2人(下記参照))配列にpairwise sequentially Markovian coalescent modelを適用して、より詳細な人類集団の歴史を明らかにしている。これによると中国人とヨーロッパ人は1万から2万年前には同程度の集団サイズを持ち、1万から6万年前に強いボトルネックを受けている。一方アフリカ人は顕著なボトルネックは受けていない。6万から25万年前には有効集団サイズはもっと大きかった。

ヨルバ人(Ọmọ Yorùbá)は、アフリカの民族。主にナイジェリア南西部に居住し、西アフリカ最大の民族集団のひとつ。総人口は3000万人程度でほとんどはナイジェリア国内に居住する。熱帯雨林やサバンナの中に点在する都市を中心にした都市国家を築いてきた歴史を持つ。

2011年8月21日日曜日

科研費3割カット?

<東日本大震災>科学研究費補助金が減額される可能性

噂には聞いていましたが、まさか現実になりそうとは...

タスマニアデビルのゲノム

最新号のRepbase Reportsでタスマニアデビルの転移因子が報告されているのでその関連です。

感染性の癌(Devil Facial Tumor Disease)により急速に生息数が減少しているタスマニアデビルSarcophilus harrisiiのゲノムが解読されました。タスマニアデビルはフクロオオカミThylacinus cynocephalusの絶滅後、現生最大の肉食性有袋類です。著者らは2頭のタスマニアデビルのゲノムを次世代シーケンサーで解読しています。
これによると現在見られるタスマニアデビルの遺伝的多様性の低さはDFTDの流行よりも100年以上古いと見られるそうです。従って、DFTDの流行により多様性が減少したのではなく、逆に多様性の低さがDFTDの流行につながっているのかもしれません。

Genetic diversity and population structure of the endangered marsupial Sarcophilus harrisii (Tasmanian devil).
Miller W, Hayes VM, Ratan A, Petersen DC, Wittekindt NE, Miller J, Walenz B, Knight J, Qi J, Zhao F, Wang Q, Bedoya-Reina OC, Katiyar N, Tomsho LP, Kasson LM, Hardie RA, Woodbridge P, Tindall EA, Bertelsen MF, Dixon D, Pyecroft S, Helgen KM, Lesk AM, Pringle TH, Patterson N, Zhang Y, Kreiss A, Woods GM, Jones ME, Schuster SC.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Jul 26;108(30):12348-53. Epub 2011 Jun 27.

2011年8月20日土曜日

預け金

1300の大学・機関を調査へ 業者に研究費預け積み立て 大学教授ら不正経理

東工大を端緒として、東京学芸、慶応、上智、立教、東京女子医科などの大学で出入りの業者に架空の発注をしたことにしてお金を預け、次年度にそのお金で別の物品を買うという不正が横行していたことが発覚しました。

単年度会計制度の問題で、研究費が3月から6月まで使えないギャップが生じていたのが背景にあるのは事実ですが、不正は不正。やってはいけないことです。むしろ制度の不備で研究に支障を来たすとすればそれは政府の問題であり個々の研究者の問題ではないのですから、不正をしてまで研究を遂行する必要はないのではないでしょうか?

とは言ってみたものの、
研究は予想外のことが起こるからこそ意義があるもので、前年度に立てた予定通りに研究が進むようならば、それは、よっぽど良く練られた研究なのか、あるいは全く面白みの無い知識の再確認なのかいずれか、おそらくは後者でしょう。

どの業界でもそうなのでしょうが、不正を防ぎつつある程度の柔軟性を与えられるような制度設計が望まれます。

2011年8月19日金曜日

Young Reseachers Conference on Evolutionary Genomics

京都で開かれたSMBE2011、進化学会に引き続いて、8/1-2に東京で開かれたYoung Reseachers Conference on Evolutionary Genomicsに参加してきました。

発表者の多くは若くしてラボを持っている人たちでした。といっても発表を聞いてみると、決して雲の上の人たちではなく、研究の質としては自分の研究のレベルに近いと感じました。(あくまで主観です。)その点では、励みにもなると同時に、口惜しくもあるミーティングでした。

ポスター発表をしましたが、口頭発表がメインでポスターはついでのようなもの。やっぱり口頭発表に呼ばれるように日頃から努力すべきだと痛感。

その後の懇親会は参加せず。初めての帰国でいろいろと予定があったので欠席にしておいたのですが、参加した方が良かったのかもしれません。

2011年8月18日木曜日

真社会性の誕生に必要なもの

論文メモ。
Monogamy and haplodiploidy act in synergy to promote the evolution of eusociality
Fromhage L, Kokko H.
Nat Commun. 2011 Jul 19;2:397. doi: 10.1038/ncomms1410.

一夫一婦制と半倍数性が真社会性の進化を促すことをモデルを作ることで示した論文。一夫一婦制も半倍数性もコロニー内の血縁度を上昇させる要因になるので、血縁選択による真社会性の進化を支持する内容である。
代表的な真社会性動物である膜翅目昆虫(アリ、ハチの仲間)は半倍数性の性決定を行います。一方、アブラムシやシロアリなど他の真社会性昆虫は半倍数性ではありませんし、アリ類でも全種が一夫一婦制をとるわけではないので、上述の2つは必要条件ではありません。

ちなみにWikipediaによると真社会性の定義は以下のもの。

# 共同して子の保護が行われる
# 繁殖の分業、特に不妊の個体が繁殖個体を助けること
# 少なくとも親子二世代が共存、子の世代が巣内の労働をする程度に成長するまで共存する

2011年8月16日火曜日

始祖鳥は鳥か?

始祖鳥Archaeopteryxは初期鳥類の代表格ですが、最近ではその地位に疑いが出ているようです。以下の論文では、新種の獣脚類(theropod)恐竜Xiaotingia zhengiの化石を解析した結果、始祖鳥とその仲間のXiaotingia及びAnchiornisの系統的位置が鳥類ではなく、Deinonychosauria(ディーノニクス類、鳥類に近い獣脚類恐竜のグループでドロマエオサウルスDromaeosaurusやヴェロキラプトルVelociraptorを含む)になったという結果を報告しています。ただし、統計的な支持は強くなく、始祖鳥の地位に再考が必要だろうと提案するにとどまっています。
ちなみにDeinonychosauriaとAvialae(鳥類とそれに近縁な獣脚類恐竜)を含むグループをParavesと呼ぶそうです。

An Archaeopteryx-like theropod from China and the origin of Avialae
Xu X, You H, Du K, Han F.
Nature. 2011 Jul 27;475(7357):465-70. doi: 10.1038/nature10288.

2011年8月15日月曜日

Workshopの写真

座長のDr. Makalowskiが自身のFacebookにWorkshopの様子を撮影した写真を投稿してくれました。

2011年8月14日日曜日

Repbase Reports 11(7)

Repbase Reportsの今年第7号が公開されました。今号は2種の植物(ワインブドウVitis vinifera、トウモロコシZea mays)と有袋類のタスマニアデビルSarcophilus harrisiiの転移因子を報告しています。

Repbase Reports 2011, Volume 11, Issue 7

2011年8月12日金曜日

チンパンジーよりヒトに近いオランウータン(のゲノムの一部)

論文メモ。

Incomplete lineage sorting patterns among human, chimpanzee, and orangutan suggest recent orangutan speciation and widespread selection
Hobolth A, Dutheil JY, Hawks J, Schierup MH, Mailund T.
Genome Res. 2011 Mar;21(3):349-56. Epub 2011 Jan 26.

incomplete lineage sorting(ILS)は新しく生まれた種内で多型が固定する前に次の種分化が起こることにより、ある遺伝子型が直近でない種の間で保存される現象を指します。著者らはILSをヒト、チンパンジー、オランウータンの3者ゲノム比較からゲノムの1%程度がILSを受けていること、ヒトとチンパンジーの共通祖先の有効集団サイズは5万程度であり、強いボトルネックを受けていないこと、ヒト/チンパンジーとオランウータンの分岐を900から1300万年前、ヒトとチンパンジーの分岐を400万年前程度である、などと示唆する結果を得ています。
手法としてcoalescent hidden Markov model (HMM)を用いて解析していますが、詳細はMaterials & Methodsを見ないとわかりません。信頼性が高いのだったら有用なツールになりそうです。

2011年8月5日金曜日

SMBE2011参加記録

SMBE2011に参加しました。簡単に参加記録を。

初日26日は参加受付とWelcome Receptionのみ。会場の入り口で早速友人と再会。Welcome Receptionでも多くの友人知人と会う。翌日のWorkshopの座長Dr. Makalowskiにも挨拶。昨年GIRIで会って以来。

2日目27日は自身の発表があるWorkshopに参加。プログラムは、
Workshop 2: Reverse transcriptase as an evolutionary force

9:30- 9:30 Wojciech Makalowski: Reverse transcriptase - the remarkable evolutionary machine
9:30- 9:50 Brosius: The RNA world we are still living in
9:50-10:10 Makalowska: Retrogenes and the mode of their evolution
10:10-10:30 Long: Phenotypes of retrogenes and evolution of developmental genetic programs
10:30-10:45 Cordaux: Remarkable abundance and evolution of reverse transcriptases in a bacterial endosymbiont (Wolbachia)
10:45-11:00 Pande: Regulatory landscaping of transposable elements during interlaced transcription
11:00-11:15 Takeshita: Comparative genomics of retrogenes in green algae
11:15-11:30 Kojima: Ancient domestication of tyrosine recombinase-encoding crypton family of DNA transposons
11:30-11:45 Sakai: Retrogenes in rice (Oryza sativa L. ssp. japonica) are old, functional and exhibit correlated expression with their source genes
11:45-12:00 Ohshima: Origin of the polyA connection: plant L1 Retrotransposons may have lost the specific recognition of RNA template for reverse transcription in parallel with mammalian L1s

午後は、
Symposium 4: Symbiosis as the source of evolutionary novelties

Workshop 8: Virus evolution

3日目28日は、
Symposium 7: New approaches in ancient DNA
Contributed Oral Presentation 6: Animal evolution
Special Symposium: Honoring late Walter M. Fitch
Special Session: History of Molecular Biology and Evolution
合間に京都大学総合博物館の「花の研究史 京都大学の植物標本」を観覧。久しぶりの夕立を経験。

4日目29日は、終日みやこめっせでPlenary TalkからWalter Fitch Student Symposium、バンケットまで。

5日目30日は、
Symposium 13: Present and future of the neutral theory

午後からは進化学会のプログラムで、
WS1-0730A Evolution of beetle weapons: For the integrative understanding of morphology, behavior and development
武器甲虫の進化学~形態・行動と発生機構の統合的理解に向けて~
に参加。その後ポスターを見る。

2011年8月2日火曜日

Zinc Finger Nucleaseの進歩

以前はZinc Finger Nucleaseなんてうまくいかないんじゃないかと思っていましたが、最近の発展は目をみはるものがあります。

Targeted Genome Editing Across Species Using ZFNs and TALENs
Wood AJ, Lo TW, Zeitler B, Pickle CS, Ralston EJ, Lee AH, Amora R, Miller JC, Leung E, Meng X, Zhang L, Rebar EJ, Gregory PD, Urnov FD, Meyer BJ.
Science. 2011 Jun 23. [Epub ahead of print]

線虫で特異的な遺伝子破壊を可能にするZinc Finger Nuclease (ZFN)とtranscription activator-like effector nucleases (TALEN)を開発したという短報。

2011年8月1日月曜日

ゴリラのゲノム

ゴリラのゲノムが解読されました。

Gorilla genome structural variation reveals evolutionary parallelisms with chimpanzee.
Ventura M, Catacchio CR, Alkan C, Marques-Bonet T, Sajjadian S, Graves TA, Hormozdiari F, Navarro A, Malig M, Baker C, Lee C, Turner EH, Chen L, Kidd JM, Archidiacono N, Shendure J, Wilson RK, Eichler EE.
Genome Res. 2011 Jun 21. [Epub ahead of print]

解読されたのはニシローランドゴリラのゲノムです。7,665のゴリラ系統特有の構造変化を見つけ、特にゴリラでは他の類人猿系統に比べてsegmental duplicationが多いことがわかりました。チンパンジーとゴリラでは、ヒトとオランウータンと比較して、レトロウイルスの挿入やsegmental duplicationが多く、ゲノムは「より派生的」といえる特徴を持っているそうです。

2011年7月27日水曜日

ジャガイモのゲノム

ジャガイモ(Solanum tuberosum)のゲノムが解読されました。

Genome sequence and analysis of the tuber crop potato
Potato Genome Sequencing Consortium, Xu X, Pan S, Cheng S, Zhang B, Mu D, Ni P, Zhang G, Yang S, Li R, Wang J, Orjeda G, Guzman F, Torres M, Lozano R, Ponce O, Martinez D, De la Cruz G, Chakrabarti SK, Patil VU, Skryabin KG, Kuznetsov BB, Ravin NV, Kolganova TV, Beletsky AV, Mardanov AV, Di Genova A, Bolser DM, Martin DM, Li G, Yang Y, Kuang H, Hu Q, Xiong X, Bishop GJ, Sagredo B, Mejía N, Zagorski W, Gromadka R, Gawor J, Szczesny P, Huang S, Zhang Z, Liang C, He J, Li Y, He Y, Xu J, Zhang Y, Xie B, Du Y, Qu D, Bonierbale M, Ghislain M, Herrera Mdel R, Giuliano G, Pietrella M, Perrotta G, Facella P, O'Brien K, Feingold SE, Barreiro LE, Massa GA, Diambra L, Whitty BR, Vaillancourt B, Lin H, Massa AN, Geoffroy M, Lundback S, DellaPenna D, Buell CR, Sharma SK, Marshall DF, Waugh R, Bryan GJ, Destefanis M, Nagy I, Milbourne D, Thomson SJ, Fiers M, Jacobs JM, Nielsen KL, Sønderkær M, Iovene M, Torres GA, Jiang J, Veilleux RE, Bachem CW, de Boer J, Borm T, Kloosterman B, van Eck H, Datema E, Hekkert BL, Goverse A, van Ham RC, Visser RG.
Nature. 2011 Jul 10;475(7355):189-95. doi: 10.1038/nature10158.

日本語要旨
邦訳で「キク亜綱」という単語が使われていますが、これは"asterid"を訳したものです。asteridはrosid(バラ類)と並ぶ真正双子葉類(eudicots)の大単系統群の1つです。

2011年7月26日火曜日

日本分子生物学会若手研究助成富澤純一・桂子基金の第1回受賞者

2010年12月16日のブログに書いた「日本分子生物学会若手研究助成富澤純一・桂子基金」の第1回受領者が決まりました。友人が選ばれたのでリンクを貼っておきます。

富澤基金による研究助成の審査経過・結果報告

2011年7月25日月曜日

Saucer Peach

アメリカでは日本では見かけない果物が普通に店に並んでいます。逆に日本で普通のものがアメリカには無かったり。先日Costcoで売っていたSaucer Peachなる果物を買って食べてみました。doughnut peachとかUFO peachなどの別名もあるとおり、平ぺったい変わった果実ですが、実際食べてみると汁の少ない白桃といった印象でした。

下はWikipediaへのリンク。中国からアメリカに導入されたのは1869年だそうです。
Saucer Peach

その中国では、蟠桃と呼ばれています。蟠桃は中国の神話で西王母の庭になるといわれ、その実を食べると不老長寿になるとされています。話には聞いていましたが、中国の神話の果実をアメリカで初めて見ることになるとは...

2011年7月24日日曜日

赤の女王

有性生殖は無性生殖に比べて短期的な不利益が明白です。そのため、どうしてそのような効率の悪いシステムが進化してきたのかは進化学の大きな課題の1つです。「赤の女王」仮説は寄生性病原体との競争において有性生殖によるバリエーションが有利にはたらくというもので、有性生殖の有利さを示す有力な仮説です。

Running with the Red Queen: host-parasite coevolution selects for biparental sex.
Morran LT, Schmidt OG, Gelarden IA, Parrish RC 2nd, Lively CM.
Science. 2011 Jul 8;333(6039):216-8.

この研究では、C. elegansを使って、病原体Serratia marcescensの存在下では、有性生殖個体群は生き残るのに対して単為生殖個体群は速やかに絶滅してしまうことを示しています。

2011年7月23日土曜日

GSC七夕ミーティング2011

Genomic Sciences Research Complex(GSC)七夕ミーティング2011の発表者に選ばれました。
日時: 2011年8月25日(木) 10:30 -17:00
場所: 理化学研究所橫浜研究所交流棟1Fホール

なかなか通知が来ないので気をもんでいたら、メールが迷子になってしまったらしく、再送で連絡が来ました。七夕といいながら日程の都合で8/25開催なのですが、採択のメールの送信日時が7月7日になっているのは意図されていたのかどうなのか???

2011年7月22日金曜日

Space Shuttle

スペースシャトルがついに最後の飛行を終えました。我々の世代にとっては宇宙開発の象徴とも言えるもので、少しばかり寂しいものがあります。
30年の歴史の中で、6機が製造され、5機が宇宙飛行し、2機が事故で失われました。

今後の保存先は、
OV-101 Enterprise: Intrepid Sea-Air-Space Museum (New York)
OV-102 Columbia: 2003/02/01 lost
OV-099 Challenger: 1986/01/28 lost
OV-103 Discovery: National Air and Space Museum's Steven F. Udvar-Hazy Center (Washington DC)
OV-104 Atlantis: Kennedy Space Center (Merritt Island, Florida)
OV-105 Endeavour: California Science Center (Los Angeles)
だそうです。

2011年7月21日木曜日

Jane Goodall Wild Animal Collection

霊長類学の権威Jane Goodallの名前を冠したぬいぐるみを妻が見つけてきました。

Jane Goodall Wild Animal Collection

ゴリラ、ライオン、ゾウがあるようですが、Jane Goodallだったらやっぱりゴリラですかね?

私の故郷のそばに京都大学霊長類研究所や日本モンキーセンターがある縁もあって、類人猿研究には興味を持ち続けています。ヒトの進化の研究は類人猿との比較なしにはできません。