2012年4月30日月曜日

Edgewood County Park

先日Highway 280沿いにあるEdgewood County Park and Natural Preserveに行ってきました。ガイド付きツアーがあるというチラシを見つけたからです。10時集合で解散したのが13時半くらいと結構長いツアーでした。
今回のツアーは植物観察がメインです。ボランティアのガイドの人はもちろん、一緒にいたツアー客も植物に造詣が深い人が多く、勉強にもなる楽しいツアーでした。公園内は丘があり割と高低差もあり、森と草原の両方があるので違う環境の植物を一カ所で見ることができました。

Countyのウェブサイト。
Edgewood Park & Natural Preserve

こちらはボランティア団体の作っているウェブサイト。ガイド付きツアーもこちらが主体で行われています。
Friends of Edgewood



2012年4月29日日曜日

アコヤガイゲノム

アコヤガイ(Pinctada fucata)のゲノムが日本のグループにより解読されました。軟体動物の初めてのゲノム報告です。軟体動物では他にPacific oyster (Crassostrea gigas)、California sea hare (Aplysia californica)、owl limpet (Lottia gigantea)のゲノム解読が進行中です。アコヤガイとPacific oysterは二枚貝、後ろの2種は巻貝の仲間です。

Draft Genome of the Pearl Oyster Pinctada fucata: A Platform for Understanding Bivalve Biology
Takeuchi T, Kawashima T, Koyanagi R, Gyoja F, Tanaka M, Ikuta T, Shoguchi E, Fujiwara M, Shinzato C, Hisata K, Fujie M, Usami T, Nagai K, Maeyama K, Okamoto K, Aoki H, Ishikawa T, Masaoka T, Fujiwara A, Endo K, Endo H, Nagasawa H, Kinoshita S, Asakawa S, Watabe S, Satoh N.
DNA Res. 2012;19(2):117-30. Epub 2012 Feb 6.
PMID: 22315334 [PubMed - in process] Free PMC Article

2012年4月26日木曜日

論文の引用動向による日本の研究機関ランキング

論文の引用動向からみる日本の研究機関ランキングを発表

によると、東京大学が1位、以下、京都大学、大阪大学、科学技術振興機構、東北大学、理化学研究所、名古屋大学、九州大学、産業技術総合研究所、北海道大学の順だそうです。論文の総被引用数順に並べたものということなので、規模の大きい研究機関ほどこの順位は高いということですね。従って世界での順位が下がるのは日本の研究の質の低下よりも、大規模な研究所が海外に出来ることの影響の方が大きいと思われます。中国などが発展すれば相対的に日本の地位が落ちるのは当然です。

ちなみに情報源は、ESSENTIAL SCIENCE INDICATORSというサービスだそうです。

2012年4月25日水曜日

昆虫食

変温(外温)動物に比べて、恒温(内温)動物がエネルギーを多く消費するのは周知の事実です。つまり、家畜(哺乳類)、家禽(鳥類)はエネルギーを多く消費する割に少ない量の肉しか生産しないということになります。また、食物連鎖の上の方にいる生き物を育てるほどエネルギー効率が悪くなります。地球上で得られる太陽エネルギーは有限ですから、植物を食べるか、さもなくば植物を食べる一次消費者の動物を食べるのが最もエネルギー効率が良い生き方です。その動物の候補の1つが昆虫です。実際、歴史的にも、イナゴ、蜂の子などの昆虫は肉や魚介を食べられない地方で貴重なタンパク質源として食べられてきました。

ゲテモノ扱いをされて敬遠されることも多いですが、人口増加に伴う食糧問題を考えると、昆虫食を真剣に考えるときが来ていると思います。

オランダで「昆虫料理本」出版、人口増加に備えたタンパク質源に

氷河期の花の再生

Nature ダイジェストの特別公開記事を見つけたのでリンク。
3万年前の花が咲いた

3万年前にリスが埋めた種子から胎座組織を取り出し組織培養することでスガワラビランジ(Silene stenophylla)を花咲かせる事に成功したそうです。

2012年4月24日火曜日

Ice Plant? or Sea Fig?

先日Marine Headlandsで見た植物は、Ice Plantだと思っていたのですが、Redwood National Parkのウェブサイトではよく似た植物がSea figとして紹介されていました。我々が見たのはどちらなのかと思い、Wikipediaで少し調べてみました。
Ice Plantは学名Carpobrotus edulis、Sea Figは学名Carpobrotus chilensis。どちらも同じ南アフリカ原産で、同じ属の近縁種です。実際カリフォルニアの海岸地帯では交雑して雑種が見られるようです。Ice Plantは花が大型で黄色や薄いピンク色、Sea Figは花がやや小さめで深紅色だそうです。
改めて我々が見た花を写真で見てみると、色はピンクなのでIce Plantのようです。大きさはというと、正確には覚えていないので明言できません。白い花もあるのですが、"White ice plant"でググって出てくる花に似ているので、どうやら白いIce Plantもあるようです。

植物分類学は専門ではないので、間違っているかもしれません。引用は自己責任でお願いします。




2012年4月19日木曜日

Coursera

以前紹介したスタンフォード大学(Stanford University)のOnline無料講義が、発展して新しくなりました。スタンフォード大学に加えて、新しく、プリンストン大学(Princeton University)、カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)、ミシガン大学(University of Michigan)、ペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)が参加して、講義の種類もぐんと増えています。

Coursera

現時点で開講が決まっている生物学系の講義としては、

Basic Behavioral Neurology, July 2012 start, 4 - 5 weeks
Fundamentals of Pharmacology, June 2012 start, 4 - 5 weeks
Introduction to Genome Science, TBA
Vaccines, June 2012 start, 4-5 weeks
が決まっています。

他にも関連するものとして、Game Theory、Statistics Oneなどが役立ちそうです。

2012年4月18日水曜日

Marine Headlands

今年は例年と違い雨が4月までずれこんでいます。雨期が始まったのも実質3月に入ってからでした。その雨の合間を縫って以前行けなかったMuir Woodsへ行ってきました。

と書きたいところだったのですが、同じ考えの人が多かったらしく駐車場に止めることが出来ませんでした。前回代わりに行ったMuir Beachにも駐車できず、結局たどり着いたのがMarine Headlands。Marine HeadlandsはちょうどSan Franciscoの対岸にある自然保護区にあります。ここには傷ついた海棲野生動物保護の施設Marine Mammal Centerやユースホステルがあります。今回は到着時間が遅かったのもあり、ハイキングを楽しんできました。

海岸沿いの丘にマツバギクの仲間の植物がちょうど花の季節を迎えており、気持ちの良い散策でした。

2012/04/07撮影。

2012年4月17日火曜日

毒をもって毒を制す:AID/APOBECは毒だった

今回は個人的に大好きなAravindのグループの研究を紹介します。彼らはタンパク質の配列比較のエキスパートで非常に遠縁の関係のタンパク質を見つけてきてその機能や進化を推定する研究に特徴があります。下の研究紹介のブログも面白いので時々読んでいます。
Research Highlights of the Aravind group


今回の論文はdeaminase-like foldというタンパク質グループの話です。deaminase-like foldは核酸やヌクレオチドの脱アミノ活性を持つタンパク質の構造で、 JAB domainなどのヌクレオチド代謝に関わるタンパク質を含むグループです。

Evolution of the deaminase fold and multiple origins of eukaryotic editing and mutagenic nucleic acid deaminases from bacterial toxin systems
Iyer LM, Zhang D, Rogozin IB, Aravind L.
Nucleic Acids Res. 2011 Dec;39(22):9473-97. Epub 2011 Sep 3.
PMID: 21890906 [PubMed - indexed for MEDLINE] Free PMC Article

著者らは精密な配列比較によってこのdeaminase-like foldを持つであろう多くのタンパク質を見つけました。新しく見つかってきたもののほとんどは遺伝子の並び等の解析からバクテリアのトキシン(毒)であろうと推測されました。トキシンは株間で阻害しあうために使われるもの、遠縁のバクテリアを阻害するものの2グループが見つかってきました。面白いのはトキシンがたびたび真核生物に取り込まれて、tRNAやmRNAの修飾に用いられていることが示唆されたことです。その中にはAID/APOBECも含まれています。AIDはimmunoglobulin遺伝子のhyper mutationに、APOBECはレトロウイルスやレトロトランスポゾンの転写産物に変異を加えてタンパク質が機能できないようにする経路で働いています。ある意味、APOBECもウイルスやトランスポゾンに対するトキシンだということですね。

2012年4月16日月曜日

Syncytinの転写抑制

以前本サイトでも紹介しましたが、霊長類の2つの遺伝子、Syncytin-1とSyncytin-2はレトロウイルスのEnv遺伝子に由来する遺伝子で、胎盤での細胞融合に働いています。しかし逆に胎盤以外の領域でこれらの遺伝子が発現すると細胞融合を引き起こし有害となります。この論文では、DNAメチル化、ヒストントリメチル化により胎盤以外の組織ではSyncytinの転写が抑制されていることを明らかにしています。


Epigenetic regulation of transcription and splicing of syncytins, fusogenic glycoproteins of retroviral origin
Trejbalová K, Blazková J, Matousková M, Kucerová D, Pecnová L, Vernerová Z, Herácek J, Hirsch I, Hejnar J.
Nucleic Acids Res. 2011 Nov 1;39(20):8728-8739. Epub 2011 Jul 19.

2012年4月15日日曜日

Zinc finger recombinase

Zinc finger nucleaseはZinc fingerに制限酵素由来のendonucleaseドメインをつないだもの、Zinc finger recombinaseはZinc fingerにserine recombinaseをつないだものです。このZinc finger recombinaseにより特定の配列を持った2つのDNA領域をつなぎ替えることができるそうです。Zinc fingerとrecombinaseの間のリンカーは短い方が特異性が高かったというのは意外でした。

Zinc-finger recombinase activities in vitro
Prorocic MM, Wenlong D, Olorunniji FJ, Akopian A, Schloetel JG, Hannigan A, McPherson AL, Stark WM.
Nucleic Acids Res. 2011 Nov;39(21):9316-28. Epub 2011 Aug 17.
PMID: 21849325 [PubMed - indexed for MEDLINE] Free PMC Article

2012年4月14日土曜日

転移因子抑制の際のpiwiの使い分け

もう半年前の話になりますが、piwiタンパク質とLINE-1(L1)の抑制に関する論文が2本同時にNatureに掲載されました。

piwiとpiRNAは雄生殖細胞で転移因子をDNAメチル化を介して抑制する機能を担っています。マウスには3種類のpiwiがあり、Miwi、Miwi2およびMiliと呼ばれています。マウスで特に活性の高い転移因子はnon-LTR retrotransposonのL1とLTR retrotransposonのIAPですので抑制の研究はこの2つが主な対象となります。

The endonuclease activity of Mili fuels piRNA amplification that silences LINE1 elements
De Fazio S, Bartonicek N, Di Giacomo M, Abreu-Goodger C, Sankar A, Funaya C, Antony C, Moreira PN, Enright AJ, O'Carroll D.
Nature. 2011 Oct 23;480(7376):259-63. doi: 10.1038/nature10547.

この論文では、Miliのエンドヌクレアーゼ活性に必須なアミノ酸を置換すると、転移因子を抑制するためのpiRNA量が低下する事を明らかにしています。このエンドヌクレアーゼに依存したpiRNAの増殖はL1の抑制には必須ですが、IAPの抑制には必要ではないことがわかりました。一方で、Miwi2の変異体ではpiRNAの量に変化は認められませんでした。

Miwi catalysis is required for piRNA amplification-independent LINE1 transposon silencing
Reuter M, Berninger P, Chuma S, Shah H, Hosokawa M, Funaya C, Antony C, Sachidanandam R, Pillai RS.
Nature. 2011 Nov 27;480(7376):264-7. doi: 10.1038/nature10672.

この論文では、残りの1つMiwiについて調べています。論文によると、Miwiのエンドヌクレアーゼ活性に必須なアミノ酸を置換した変異体マウスは不妊になり、L1の転写量が増加していました。MiwiはL1のmRNAを直接切断することが示され、この系はpiRNAの増殖を必要としないことも支持されました。

パラログの関係にあるこの3つの遺伝子はどうやら使い分けされているようですね。

2012年4月13日金曜日

テロメア特異的non-LTR retrotransposonの転写制御

モデル生物の代表格とも言えるショウジョウバエはテロメア反復配列を持っていません。その代わりに、HeT-A、TART、TAHREなどと呼ばれるnon-LTR retrotransposonが染色体末端に転移してその機能を担っています。これらの転移因子は、カイコの仲間に見られるTRAS、SARTや最近紹介した菌類のMoTeRなどとは異なり、テロメア反復配列に挿入されるのではなく染色体末端に転移するのだと考えられています。

Mechanism of the piRNA-mediated silencing of Drosophila telomeric retrotransposons
Shpiz S, Olovnikov I, Sergeeva A, Lavrov S, Abramov Y, Savitsky M, Kalmykova A.
Nucleic Acids Res. 2011 Nov 1;39(20):8703-11. Epub 2011 Jul 15.

HeT-Aのプロモータをつけた遺伝子を導入するとゲノム上のどの位置に挿入してもpiRNAの制御を受けることがわかりました。RNAi系に関わるspn-Eの変異体やpiwiのノックダウン個体ではHeT-AやTART、そしてHeT-Aのプロモータをつけた導入遺伝子の転写も増加することがわかりました。これらの個体では他の転移因子の転写も活性化していました。従って、piRNA系は通常他の転移因子同様HeT-A等のテロメア特異的non-LTR retrotransposonをも転写抑制していることになります。

どうやらHeT-A等のテロメア特異的non-LTR retrotransposonが特別扱いされているわけではないことを示しているだけのような印象ですが、もしかしたら、積極的にテロメア長の制御に寄与しているのかもしれません。

2012年4月12日木曜日

マンモス巡業中

生後約1か月のケナガマンモスの死骸が世界10都市を巡回中だそうです。名前はリューバ(Lyuba)。今は香港のデパートにいるらしいです。

赤ちゃんマンモス「リューバ」の死骸、12日から香港で一般公開

最初の公開地はシカゴで最後はロンドンだそうです。

永久凍土から発見の子マンモス、世界10都市で公開へ

今年から来年は東アジアから東南アジアを廻ります。
仔マンモス「リューバ」、巡業の旅に出る

2012年4月11日水曜日

Zinc finger nucleaseでヒトゲノムにプラスミドを挿入

以前タイトルだけチェックした論文の内容をまだ見ていなかったので連続投稿します。

Targeted plasmid integration into the human genome by an engineered zinc-finger recombinase OPEN ACCESS
Gersbach CA, Gaj T, Gordley RM, Mercer AC, Barbas CF 3rd.
Nucleic Acids Res. 2011 Sep 1;39(17):7868-78. Epub 2011 Jun 7.

著者らは以前ジンクフィンガーヌクレアーゼを用いてヒトゲノムの特定の位置に目的の配列を挿入する方法を報告している。この論文では、2段階かけてゲノム上のどこにでも目的の配列を挿入する方法を報告している。まずpiggyBacを用いて、ジンクフィンガーヌクレアーゼの標的となる配列をランダムに挿入する。続いてトランスフェクションしたプラスミドをジンクフィンガーヌクレアーゼを用いてそのゲノム座位に挿入する。

どういう意味があるのかちょっと見ではわからないのですが、いろいろと応用の可能性があるのかもしれません。

2012年4月10日火曜日

Cyanophora paradoxaのゲノム

狭義の植物の仲間は3つのグループに分けられます。すなわち、緑色植物、紅色植物、そして灰色植物です。灰色植物の葉緑体(シアネレ)は他の2グループと同じ共生に由来すると考えられてきましたが、とても原始的に見えるため、独立に取り込んだ藍藻であるという異論もありました。緑色植物では陸上植物を含めて多種のゲノムが、紅色植物では紅藻のCyanidioschyzon merolaeのゲノムが解読されていましたが、今回灰色植物のゲノムも解読されました。

Cyanophora paradoxa genome elucidates origin of photosynthesis in algae and plants.
Price DC, Chan CX, Yoon HS, Yang EC, Qiu H, Weber AP, Schwacke R, Gross J, Blouin NA, Lane C, Reyes-Prieto A, Durnford DG, Neilson JA, Lang BF, Burger G, Steiner JM, Löffelhardt W, Meuser JE, Posewitz MC, Ball S, Arias MC, Henrissat B, Coutinho PM, Rensing SA, Symeonidi A, Doddapaneni H, Green BR, Rajah VD, Boore J, Bhattacharya D.
Science. 2012 Feb 17;335(6070):843-7.
PMID: 22344442 [PubMed - in process]

これによると上記3グループが藍藻を共生した共通祖先を持っていること、葉緑体からの栄養の輸送と細胞質での保存のためにクラミジア類の細菌から遺伝子を取り込んだことが示されました。

2012年4月9日月曜日

イトヨ(トゲウオ)ゲノム

イトヨ(Gasterosteus aculeatus)のゲノムが報告されました。

The genomic basis of adaptive evolution in threespine sticklebacks
Jones FC, Grabherr MG, Chan YF, Russell P, Mauceli E, Johnson J, Swofford R, Pirun M, Zody MC, White S, Birney E, Searle S, Schmutz J, Grimwood J, Dickson MC, Myers RM, Miller CT, Summers BR, Knecht AK, Brady SD, Zhang H, Pollen AA, Howes T, Amemiya C; Broad Institute Genome Sequencing Platform & Whole Genome Assembly Team, Baldwin J, Bloom T, Jaffe DB, Nicol R, Wilkinson J, Lander ES, Di Palma F, Lindblad-Toh K, Kingsley DM.
Nature. 2012 Apr 4;484(7392):55-61. doi: 10.1038/nature10944.
PMID: 22481358 [PubMed - in process]

イトヨは最終氷期以降にいろいろな湖や川に適応し成功した生物種です。このため、進化のモデルとして研究が進められています。この論文では、1個体のゲノムを詳細に解析してreferenceとした上で、海、湖、川から20個体を採集しそのゲノムを読んで比較しています。それぞれ別の環境に適応した個体群でも同じ変異を共有している場合があり、それは母集団で元々多型として存在していた変異が別々に固定されたものだとわかります。これまで報告されている並行進化の例では、タンパク質をコードする領域の変異よりも調節領域の変異の方が多く見つかりました。

2012年4月8日日曜日

羽毛を持ったティラノサウルス

A gigantic feathered dinosaur from the Lower Cretaceous of China
Xu X, Wang K, Zhang K, Ma Q, Xing L, Sullivan C, Hu D, Cheng S, Wang S.
Nature. 2012 Apr 4;484(7392):92-5. doi: 10.1038/nature10906.
PMID: 22481363 [PubMed - in process]

白亜紀前期のティラノサウルス類の新種Yutyrannus hualiが羽毛を持っていた事が報告されています。狭義のティラノサウルスの仲間ではないのですが、全長9メートルという大型の恐竜が羽毛を持っていたというのは驚きです。

図が無いとイメージしにくいのでScientific Americanの記事を引用しておきます。
There are giant feathered tyrannosaurs now… right?

2012年4月7日土曜日

Gamble Gardenの桜

パロアルトのElizabeth Gamble Gardenの桜です。去年は4月2日に見に行って満開でした。今年もほとんど変わらない時期に満開になりました。2012/04/04撮影。

2012年4月6日金曜日

冬虫夏草のゲノム

冬虫夏草の仲間Cordyceps militarisのゲノムが解読されました。グループとしては子嚢菌です。

Genome sequence of the insect pathogenic fungus Cordyceps militaris, a valued traditional Chinese medicine.
Zheng P, Xia Y, Xiao G, Xiong C, Hu X, Zhang S, Zheng H, Huang Y, Zhou Y, Wang S, Zhao GP, Liu X, St Leger RJ, Wang C.
Genome Biol. 2011 Nov 23;12(11):R116. [Epub ahead of print]

2012年4月5日木曜日

菌類で見つかったテロメア特異的non-LTR retrotransposon

特定の反復配列だけに挿入される転移因子は主にnon-LTR retrotransposonで見つかっています。中でもリボソームRNA遺伝子に挿入されるものは多数知られています。また、マイクロサテライトに挿入されるものも、マイクロサテライトの種類は様々ですが多数見つかって来ています。一方、不思議な事にテロメア反復配列に挿入されるものとしては、これまでTRASとSARTの2グループが昆虫から見つかっているだけでした。ようやく今回、別のテロメア反復配列特異的non-LTR retrotransposonが菌類で報告されました。

Telomere-targeted Retrotransposons in the Rice Blast Fungus Magnaporthe oryzae: Agents of Telomere Instability.
Starnes JH, Thornbury DW, Novikova OS, Rehmeyer CJ, Farman ML.
Genetics. 2012 Mar 23. [Epub ahead of print]
PMID: 22446319 [PubMed - as supplied by publisher]

イネいもち病菌Magnaporthe oryzaeで見つかり、MoTeRと名付けられたこのnon-LTR retrotransposonは系統的にはスプライスリーダー配列に挿入されるCRE/SLACS/CZARと近縁で、制限酵素様のエンドヌクレアーゼをコードしています。これはTRASとSARTがapurinic-like endonucleaseを持っているのと異なり、全く異なる起源であることを示しています。またCnl1を含む、より近縁な菌類のnon-LTR retrotransposonは詳細に調べるとテロメア反復配列由来の配列を両側に持っている事がわかり、これらを含めたグループがテロメア反復配列への標的特異性を持っている事が示されました。

テロメア反復配列は数が多い一方で、遺伝子ではないので挿入しても問題が起こらないという、まさに理想的な標的だと思うのですが、これまでTRASとSARTしか見つかっていないのが長らく謎でした。この研究によりようやく別のグループでもテロメアを標的とするnon-LTR retrotransposonが進化して来た事がわかりました。

2012年4月2日月曜日

Repbase Reports Volume 12, Issue 3

Repbase Reportsの今年第3号が出版されました。今号では、先月に引き続いて、大豆(Glycine max)の配列、それから2種のショウジョウバエ (Drosophila ananassae, Drosophila erecta)の転移因子、ウサギ(Oryctolagus cuniculus)の反復配列を1つ報告しています。

Repbase Reports Volume 12, Issue 3

Repbase ReportsはGIRIが発行している、真核生物の反復配列を報告するオンラインの科学雑誌です。配列、分類と簡単な特徴の報告だけですが、反復配列の一次情報源として論文でも引用されています。Repbase Reportsに掲載された配列は、反復配列データベースであるRepbase Updateに収録され、配布されます。学術研究者はユーザー登録することでどちらも無料で閲覧できます。

2012年4月1日日曜日

シーラカンスのHarbinger

タイトルは面白いが...

A living fossil in the genome of a living fossil: Harbinger transposons in the coelacanth genome
Smith JJ, Sumiyama K, Amemiya CT.
Mol Biol Evol. 2012 Mar;29(3):985-93. Epub 2011 Oct 31.
PMID: 22045999 [PubMed - in process]

シーラカンスのゲノム中からHarbingerを見つけ、その転写とエンハンサー活性を調べた論文。これまで知られていたharbi1とnaif1に加えて、tsnare1もHarbinger由来の遺伝子らしい。