2015年5月12日火曜日

N(6)-methyladenine DNA modification in Drosophila.

PubMed
Cell

Histone H3.3 is required for endogenous retroviral element silencing in embryonic stem cells.

おもしろそうな論文のメモ。
PubMed
Nature

2015年5月6日水曜日

周辺配列により変化するModA11メチル化酵素のメチル化効率

研究室の論文紹介より。

Specificity of the ModA11, ModA12 and ModD1 epigenetic regulator N6-adenine DNA methyltransferases of Neisseria meningitidis.
Seib KL, Jen FE, Tan A, Scott AL, Kumar R, Power PM, Chen LT, Wu HJ, Wang AH, Hill DM, Luyten YA, Morgan RD, Roberts RJ, Maiden MC, Boitano M, Clark TA, Korlach J, Rao DN, Jennings MP.
Nucleic Acids Res. 2015 Apr 30;43(8):4150-62. doi: 10.1093/nar/gkv219. Epub 2015 Apr 6. PubMed PMID:25845594.

病原細菌の遺伝子の中には、タンパク質のN末領域に相当する位置に短い反復配列があり、増殖中にたびたびフレームシフトが起こるものがある。これをphasevarionと呼ぶ。髄膜炎菌Neisseria meningitidisの2座位(modA, modD)のメチル化酵素遺伝子には、phasevarionがある。また、同じ座位でありながら、modAでは、2種類の異なるメチル化酵素(ModA11, ModA12)がコードされている。PacBio sequencingによりそれぞれのメチル化酵素の標的配列が、CGYmAG(ModA11), ACmACC(ModA12), CCmAGC(ModD1)であることがわかった。ModA11によるメチル化の効率は周辺配列によって影響を受ける。傾向として上流にA,下流にTがあるとメチル化効率が良い。
研究当初はphasevarionによる影響を期待して始められたようだが、論文では、周辺配列によりModA11によるメチル化の効率が影響を受ける点が強調されている。

2015年3月20日金曜日

連鎖球菌がピロリ菌の増殖を抑制する?

研究室の論文紹介より。

ピロリ菌は胃がんの原因となることが知られている細菌である。胃は酸性が強く他の細菌は生息していないと考えられてきたが、口腔細菌のStreptococcus mitisや乳酸菌Lactobacillus fermentumが生息していることがわかってきた。著者らはStreptococcus mitisとの共培養(直接接触はしないが膜を介して小分子は移動する環境)によりピロリ菌が螺旋状から球菌状に変化し、増殖できなくなることを明らかにした。が、培養は弱酸性条件。条件や解析にいろいろと難があり信頼性は低いか。

Streptococcus mitis Induces Conversion of Helicobacter pylori to Coccoid Cells during Co-Culture In Vitro
Khosravi Y, Dieye Y, Loke MF, Goh KL, Vadivelu J.
PLoS One. 2014 Nov 11;9(11):e112214. doi: 10.1371/journal.pone.0112214.

2015年3月12日木曜日

原核生物の新規免疫システムBREX

研究室の論文紹介で紹介した論文のまとめ。

BREX is a novel phage resistance system widespread in microbial genomes.
Goldfarb T, Sberro H, Weinstock E, Cohen O, Doron S, Charpak-Amikam Y, Afik S, Ofir G, Sorek R.
EMBO J. 2015 Jan 13;34(2):169-83. doi: 10.15252/embj.201489455. Epub 2014 Dec 1.
PMID: 25452498 [PubMed - indexed for MEDLINE]

知られていたPglシステムに似た遺伝子クラスターを発見し、BREX(bacteriophage exclusion) systemと命名した。解析したBREX systemはATPase, alkaline phosphatase, Lon-like protease, DNA methyltransferaseとRNA結合タンパク質をコードする。炭疽菌(Bacillus cereus H3081.97)の系を枯草菌(Bacillus subtilis BEST7003)に導入し、各種のファージに対する耐性を調べたところ、以下のような結果が得られた。
・多くのファージには10の5乗程度の抑制効果が見られた。
・一部のファージには効果がない。
・プラスミドに対しても弱いながらも抑制効果(10倍程度)がある。
・ファージの侵入は妨げない
・ファージの侵入した細胞を自殺させる(abortive infection)システムではない。
・BREXが効く場合には、ファージの複製増殖は起こらない。
・ファージDNAの切断は起こらない。
・BREXは宿主ゲノムを特定の配列(この場合はTAGGAG)でメチル化するが、ファージゲノムはメチル化しない。

さらにバイオインフォマティクスの結果からは、
・調べられた原核生物の内10%程度に存在する。(種単位であって株単位ではない)
・遺伝子組成により6グループに分けられる。
・ある種のグループは特定の生物群にしか見られない。

面白いのは遺伝子組成で、
・Lon proteaseはtype 2, 3, 5, 6には存在しない。type 2, 3, 5, 6では代わりにhelicaseがある。
・DNA methyltransferaseはtype 4には存在しないが、type 4には代わりにphosphoadenylyl-sulfate(PAPS) reductaseがある。PAPS reductaseはDNAのバックボーンを修飾するdnd systemの構成遺伝子にも見られる。
などの多様性が見られる。多様性はCRISPR-Cas systemほどではないが、作用機序との相関は興味深い。

おそらくは宿主のゲノムDNAを修飾し、外来の非修飾のDNAを認識して攻撃するのだろうが、制限修飾系とは異なり、DNAの切断は起こらず、もっと後のプロセスが阻害されるらしい。