2011年10月14日金曜日

RNAi系を失った方が得なわけ

論文メモ。

Compatibility with Killer Explains the Rise of RNAi-Deficient Fungi
Drinnenberg IA, Fink GR, Bartel DP.
Science. 2011 Sep 16;333(6049):1592.

出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeはRdRPやDicer、Argonauteなどの遺伝子を欠失しており、RNAi系が動かない。これは生体防御系の不備を意味し、不利なはずである。しかし、この研究では、RNAi系を失った酵母は複数回出現しており、これらの多くがkiller virusというウイルスを持っていることを。このウイルスは細胞質中で自己複製するRNAとそれに依存して複製するM RNAの2つで構成される。このM RNAは近隣の酵母がM RNAを持っていない場合にはそれを殺す作用がある。一方でこれらの酵母にRNAi系の遺伝子を導入するとこのkiller virusが失われる。従って、RNAi系の欠失は、killer RNAの獲得により有利になる場合があり、これが複数のRNAi系を失った系統が維持されている理由と考えられる。

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