2012年7月14日土曜日

藤原セミナー

8月4日に藤原セミナーで口頭発表します。タイトルは、「Dada - a new superfamily of DNA transposons targeting small RNA genes」です。

Fujihara Seminar 2012

2012年7月13日金曜日

古代動物の巣穴

5億8500万年前の地層から、左右相称動物の巣穴の化石が見つかったそうです。これが事実だとすると、動物がエディアカラ紀に既に存在していた証拠になります。分子年代と化石のギャップを埋める発見ですね。

Bilaterian Burrows and Grazing Behavior at >585 Million Years Ago
Pecoits E, Konhauser KO, Aubet NR, Heaman LM, Veroslavsky G, Stern RA, Gingras MK.
Science. 2012 Jun 29;336(6089):1693-6.
PMID: 22745427 [PubMed - in process]

2012年7月12日木曜日

石炭紀の終焉とキノコの進化

石炭紀が終わったのはキノコの進化によるのかもしれませんね。光合成の進化による大気組成の変化ほどではありませんが、地球規模の気候変動の一部は生物の進化によってもたらされます。その点では人類の進化による気候変動も大きな流れの一部に過ぎないと言えるのではないでしょうか?

The Paleozoic Origin of Enzymatic Lignin Decomposition Reconstructed from 31 Fungal Genomes
Floudas D, Binder M, Riley R, Barry K, Blanchette RA, Henrissat B, Martínez AT, Otillar R, Spatafora JW, Yadav JS, Aerts A, Benoit I, Boyd A, Carlson A, Copeland A, Coutinho PM, de Vries RP, Ferreira P, Findley K, Foster B, Gaskell J, Glotzer D, Górecki P, Heitman J, Hesse C, Hori C, Igarashi K, Jurgens JA, Kallen N, Kersten P, Kohler A, Kües U, Kumar TK, Kuo A, LaButti K, Larrondo LF, Lindquist E, Ling A, Lombard V, Lucas S, Lundell T, Martin R, McLaughlin DJ, Morgenstern I, Morin E, Murat C, Nagy LG, Nolan M, Ohm RA, Patyshakuliyeva A, Rokas A, Ruiz-Dueñas FJ, Sabat G, Salamov A, Samejima M, Schmutz J, Slot JC, St John F, Stenlid J, Sun H, Sun S, Syed K, Tsang A, Wiebenga A, Young D, Pisabarro A, Eastwood DC, Martin F, Cullen D, Grigoriev IV, Hibbett DS.
Science. 2012 Jun 29;336(6089):1715-9.
PMID: 22745431 [PubMed - in process]

木材が分解されにくいのは主にリグニンの存在による。リグニンを分解できる生物はハラタケ類の白色腐朽菌(white rot fungus)に限られる。食用キノコの多く、シイタケ、ナメコ、エノキタケ、ヒラタケ、マイタケ等は白色腐朽菌である。この論文では31種の真菌類のゲノムを比較し(今回読まれたのは12種)、ハラタケ類の共通祖先でリグニンを分解するペルオキシダーゼが多様化したことを明らかにした。このリグニン分解能の獲得は、石炭紀の終わりに有機炭素の埋蔵量が急速に減少したのに対応している。

2012年7月11日水曜日

Heliconius melpomeneのゲノム

ドクチョウの仲間のHeliconius melpomeneのゲノムが報告されました。擬態の研究材料になっている南米の蝶です。種間交雑による遺伝子流入が、近縁種間で似た擬態を生む機構の1つだそうです。

Butterfly genome reveals promiscuous exchange of mimicry adaptations among species
The Heliconius Genome Consortium, Dasmahapatra KK, Walters JR, Briscoe AD, Davey JW, Whibley A, Nadeau NJ, Zimin AV, Hughes DS, Ferguson LC, Martin SH, Salazar C, Lewis JJ, Adler S, Ahn SJ, Baker DA, Baxter SW, Chamberlain NL, Chauhan R, Counterman BA, Dalmay T, Gilbert LE, Gordon K, Heckel DG, Hines HM, Hoff KJ, Holland PW, Jacquin-Joly E, Jiggins FM, Jones RT, Kapan DD, Kersey P, Lamas G, Lawson D, Mapleson D, Maroja LS, Martin A, Moxon S, Palmer WJ, Papa R, Papanicolaou A, Pauchet Y, Ray DA, Rosser N, Salzberg SL, Supple MA, Surridge A, Tenger-Trolander A, Vogel H, Wilkinson PA, Wilson D, Yorke JA, Yuan F, Balmuth AL, Eland C, Gharbi K, Thomson M, Gibbs RA, Han Y, Jayaseelan JC, Kovar C, Mathew T, Muzny DM, Ongeri F, Pu LL, Qu J, Thornton RL, Worley KC, Wu YQ, Linares M, Blaxter ML, Ffrench-Constant RH, Joron M, Kronforst MR, Mullen SP, Reed RD, Scherer SE, Richards S, Mallet J, Owen McMillan W, Jiggins CD.
Nature. 2012 May 16. doi: 10.1038/nature11041. [Epub ahead of print]
PMID: 22722851 [PubMed - as supplied by publisher]

2012年7月10日火曜日

ES細胞の中の全能性細胞群

レトロトランスポゾンの一群の内在性レトロウイルス(endogenous retrovirus)が細胞の分化全能性の制御に深く関わっていることを示唆する論文が報告されました。

Embryonic stem cell potency fluctuates with endogenous retrovirus activity
Macfarlan TS, Gifford WD, Driscoll S, Lettieri K, Rowe HM, Bonanomi D, Firth A, Singer O, Trono D, Pfaff SL.
Nature. 2012 Jun 13. doi: 10.1038/nature11244. [Epub ahead of print]
PMID: 22722858 [PubMed - as supplied by publisher]

著者らはES細胞、iPS細胞の内の一部の細胞が胚の二細胞期に似た発現パターンをすることを発見した。これらの細胞では、pluripotency proteinのOct4 (Pou5f1)、Sox2、Nanogが発現しておらず、胚だけでなく、栄養外胚葉にも分化しうる。ES細胞はどの細胞もこの全能性細胞になったり戻ったりを繰り返しており、その一部はヒストン修飾によって制御されているらしい。二細胞期に似た転写産物の多くはendogenous retrovirusのLTR内部から転写開始されており、哺乳類ではこれによって細胞運命が制御されていることを示唆している。

2012年7月6日金曜日

Repbase Reports Volume 12, Issue 6

Repbase Reportsの今年第6号が出版されました。今号では、ゲノムが読まれたショウジョウバエの内、Drosophila biarmipes, Drosophila eugracilis, Drosophila ficusphilaの転移因子を報告しています。

Repbase Reports Volume 12, Issue 6

Repbase ReportsはGIRIが発行している、真核生物の反復配列を報告するオンラインの科学雑誌です。配列、分類と簡単な特徴の報告だけですが、反復配列の一次情報源として論文でも引用されています。Repbase Reportsに掲載された配列は、反復配列データベースであるRepbase Updateに収録され、配布されます。学術研究者はユーザー登録することでどちらも無料で閲覧できます。

2012年7月1日日曜日

TOEIC

先日サンノゼのSan Jose State UniversityでTOEICを受けてきました。前回受けたのは大学の学部の時ですので、実に10年ぶりくらいです。記憶ではその際の点数は730だったはず。

さて、会場に着いてみると、受験者のほとんどはアジア系の人々。日本語が聞こえてくることも多く、どうやら受験者の過半数は日本人のよう。試験開始時間の10時になると、待合室になっていた会場からいったん追い出され、身分証をチェックして入室し直し。個人情報欄やアンケートに記入して実際にListeningの試験が始まったのは11時近くになっていました。

TOEICの内容はListeningが45分で100問。Readingが75分で100問。マークシート式。外からは工事の騒音が聞こえ、中では試験官の紙ずれの音がするというあまり快適でないListening環境は相当腹立たしく感じました。が、実際に話をする際には騒音が聞こえるわけですから、これからは雑音の中で英語を聞く練習をしたほうが良さそうです。

さて、点数は1週間で郵送されてきました。結果は970点。それなりにアメリカ暮らしが英語の学習に役立っていることが数値になりました。

ちなみに中国人の同僚はTOEICを知りませんでした。TOEFLに比べると無名のようです。