2011年7月27日水曜日

ジャガイモのゲノム

ジャガイモ(Solanum tuberosum)のゲノムが解読されました。

Genome sequence and analysis of the tuber crop potato
Potato Genome Sequencing Consortium, Xu X, Pan S, Cheng S, Zhang B, Mu D, Ni P, Zhang G, Yang S, Li R, Wang J, Orjeda G, Guzman F, Torres M, Lozano R, Ponce O, Martinez D, De la Cruz G, Chakrabarti SK, Patil VU, Skryabin KG, Kuznetsov BB, Ravin NV, Kolganova TV, Beletsky AV, Mardanov AV, Di Genova A, Bolser DM, Martin DM, Li G, Yang Y, Kuang H, Hu Q, Xiong X, Bishop GJ, Sagredo B, Mejía N, Zagorski W, Gromadka R, Gawor J, Szczesny P, Huang S, Zhang Z, Liang C, He J, Li Y, He Y, Xu J, Zhang Y, Xie B, Du Y, Qu D, Bonierbale M, Ghislain M, Herrera Mdel R, Giuliano G, Pietrella M, Perrotta G, Facella P, O'Brien K, Feingold SE, Barreiro LE, Massa GA, Diambra L, Whitty BR, Vaillancourt B, Lin H, Massa AN, Geoffroy M, Lundback S, DellaPenna D, Buell CR, Sharma SK, Marshall DF, Waugh R, Bryan GJ, Destefanis M, Nagy I, Milbourne D, Thomson SJ, Fiers M, Jacobs JM, Nielsen KL, Sønderkær M, Iovene M, Torres GA, Jiang J, Veilleux RE, Bachem CW, de Boer J, Borm T, Kloosterman B, van Eck H, Datema E, Hekkert BL, Goverse A, van Ham RC, Visser RG.
Nature. 2011 Jul 10;475(7355):189-95. doi: 10.1038/nature10158.

日本語要旨
邦訳で「キク亜綱」という単語が使われていますが、これは"asterid"を訳したものです。asteridはrosid(バラ類)と並ぶ真正双子葉類(eudicots)の大単系統群の1つです。

2011年7月26日火曜日

日本分子生物学会若手研究助成富澤純一・桂子基金の第1回受賞者

2010年12月16日のブログに書いた「日本分子生物学会若手研究助成富澤純一・桂子基金」の第1回受領者が決まりました。友人が選ばれたのでリンクを貼っておきます。

富澤基金による研究助成の審査経過・結果報告

2011年7月25日月曜日

Saucer Peach

アメリカでは日本では見かけない果物が普通に店に並んでいます。逆に日本で普通のものがアメリカには無かったり。先日Costcoで売っていたSaucer Peachなる果物を買って食べてみました。doughnut peachとかUFO peachなどの別名もあるとおり、平ぺったい変わった果実ですが、実際食べてみると汁の少ない白桃といった印象でした。

下はWikipediaへのリンク。中国からアメリカに導入されたのは1869年だそうです。
Saucer Peach

その中国では、蟠桃と呼ばれています。蟠桃は中国の神話で西王母の庭になるといわれ、その実を食べると不老長寿になるとされています。話には聞いていましたが、中国の神話の果実をアメリカで初めて見ることになるとは...

2011年7月24日日曜日

赤の女王

有性生殖は無性生殖に比べて短期的な不利益が明白です。そのため、どうしてそのような効率の悪いシステムが進化してきたのかは進化学の大きな課題の1つです。「赤の女王」仮説は寄生性病原体との競争において有性生殖によるバリエーションが有利にはたらくというもので、有性生殖の有利さを示す有力な仮説です。

Running with the Red Queen: host-parasite coevolution selects for biparental sex.
Morran LT, Schmidt OG, Gelarden IA, Parrish RC 2nd, Lively CM.
Science. 2011 Jul 8;333(6039):216-8.

この研究では、C. elegansを使って、病原体Serratia marcescensの存在下では、有性生殖個体群は生き残るのに対して単為生殖個体群は速やかに絶滅してしまうことを示しています。

2011年7月23日土曜日

GSC七夕ミーティング2011

Genomic Sciences Research Complex(GSC)七夕ミーティング2011の発表者に選ばれました。
日時: 2011年8月25日(木) 10:30 -17:00
場所: 理化学研究所橫浜研究所交流棟1Fホール

なかなか通知が来ないので気をもんでいたら、メールが迷子になってしまったらしく、再送で連絡が来ました。七夕といいながら日程の都合で8/25開催なのですが、採択のメールの送信日時が7月7日になっているのは意図されていたのかどうなのか???

2011年7月22日金曜日

Space Shuttle

スペースシャトルがついに最後の飛行を終えました。我々の世代にとっては宇宙開発の象徴とも言えるもので、少しばかり寂しいものがあります。
30年の歴史の中で、6機が製造され、5機が宇宙飛行し、2機が事故で失われました。

今後の保存先は、
OV-101 Enterprise: Intrepid Sea-Air-Space Museum (New York)
OV-102 Columbia: 2003/02/01 lost
OV-099 Challenger: 1986/01/28 lost
OV-103 Discovery: National Air and Space Museum's Steven F. Udvar-Hazy Center (Washington DC)
OV-104 Atlantis: Kennedy Space Center (Merritt Island, Florida)
OV-105 Endeavour: California Science Center (Los Angeles)
だそうです。

2011年7月21日木曜日

Jane Goodall Wild Animal Collection

霊長類学の権威Jane Goodallの名前を冠したぬいぐるみを妻が見つけてきました。

Jane Goodall Wild Animal Collection

ゴリラ、ライオン、ゾウがあるようですが、Jane Goodallだったらやっぱりゴリラですかね?

私の故郷のそばに京都大学霊長類研究所や日本モンキーセンターがある縁もあって、類人猿研究には興味を持ち続けています。ヒトの進化の研究は類人猿との比較なしにはできません。

2011年7月20日水曜日

帰国

SMBE2011その他の学会に参加する準備に追われています。渡米後初の帰国なので手続き、挨拶等々でいつの間にやら慌ただしいスケジュールになってしまいました。

今回参加の学会。
07/26-30 SMBE2011 口頭発表
07/29-31 日本進化学会第13回年会京都大会 参加のみ
08/01-02 Young Researchers Conference on Evolutionary Genomics ポスター発表

2011年7月19日火曜日

Birds of Shoreline

我々の住むMountain View市で展覧会用の鳥の写真が募集されています。
応募は、11インチ×14インチの印刷に耐えられる画質のデジタルファイルをアップロードするのと同時にエントリーフォームを送信することでされ、〆切りは7月31日です。
この展覧会は教育目的ということでコンテストではなく、一等二等などの格付けも賞金もありませんが、選考に通れば、Rengstorff Houseで9月4日から11月20日まで開かれる展覧会"Birds of Shoreline: Aflight"で展示されます。選考では、Shoreline at Mountain View Park周辺で撮影された写真が優先されるそうです。

Birds of Shoreline: Call for Photographic Entries!

でもって既に投稿された写真がこちら↓
Birds of Shoreline Exibit 2011
ハイレベルです。

2011年7月18日月曜日

南カリフォルニア州

生物学とは直接関係ありませんが、カリフォルニア州の財政難からいろいろな問題が起こってきているようです。

米で新州設立の動き カリフォルニア、財政再建策に反発

University of California群は州の大幅な予算削減の結果、留学生や州外生の学費を値上げして運営費を捻出しようとしていますし、Community Collegeも外国人の学費を上げて対応しようとしています。以前はCommunity CollegeもAdult Schoolも外国人に寛容だったようなのですが、最近では制限を加えて来ています。おかげさまで我々も数年前にいた人々と比べてもかなり不利益を被っています。一方で不法移民問題は人種・民族差別につながるということで政治が目を背けていたりと矛盾が目立ちます。

2011年7月14日木曜日

ネアンデルタール人との混血

アフリカ以外の現生人類のX染色体の約9%はネアンデルタール人に由来する。X染色体がと言われるとY染色体、常染色体はどうなのか知りたいところである。

An X-linked haplotype of Neandertal origin is present among all non-African populations.
Yotova V, Lefebvre JF, Moreau C, Gbeha E, Hovhannesyan K, Bourgeois S, Bédarida S, Azevedo L, Amorim A, Sarkisian T, Avogbe P, Chabi N, Dicko MH, Santa Amouzou ES, Sanni A, Roberts-Thomson J, Boettcher B, Scott RJ, Labuda D.
Mol Biol Evol. 2011 28 (7): 1957-1962.

2011年7月13日水曜日

Clontech

先日、夕食前に近所を散歩しているとClontechの看板を見つけました。こちらにきて1年半になりますが、すぐ近所にClontechの本社があることを初めて知りました。
私がClontechの試薬を使っていた当時は違ったのですが、今はTaKaRa Bioの子会社なのですね。

Clontech Laboratories

チンパンジーのベッド

科学ニュースメモ。リンクのみ。

野生チンパンジー、求愛の木の枝ベッド作り

2011年7月12日火曜日

ウナギの卵

東京大学本郷キャンパスにある東京大学総合研究博物館で天然ウナギの卵が展示されるそうです。

「鰻博覧会」―この不可思議なもの
開催期間:2011年7月16日(土)~10月16日(日)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
会場:東京大学総合研究博物館

2011年7月11日月曜日

新しいジャーナル

Nature Publishing Groupが最近2つの新しい雑誌を創刊しましたが、non-profitの3財団が新しいジャーナルを創刊するそうです。

Three Biomedical Funders to Launch Open Access Journal

2011年7月10日日曜日

リンゴの実その2

食べられそうに見えるなぁ。

2011/06/25撮影。

2011年7月9日土曜日

The Cove

和歌山県の太地町で行われているイルカ漁を、クジラ漁反対の立場から描いたドキュメンタリー映画"The Cove"を見てみました。図書館から借りてきたDVDが一部壊れていたのと私の英語の理解力から、不完全ですが感想を書いておきます。

実質的には捕鯨妨害で悪名高いシーシェパードのプロパガンダ映画です。slaughter(虐殺、大量殺戮)という言葉を使ってセンセーショナルにしていますが、追い込み漁です。入り江にイルカを追い込んで動けなくなったところを刺殺するものです。一部は水族館や動物園に売られるそうです。太地町の漁師に対する悪意ある演出についてはWikipediaにも詳しく載っているので省略します。

さて、イルカ漁反対の理由をいくつかに分けて視聴者に訴えかけています。まとめると、
(1)イルカは知性が高い
(2)イルカは水銀を蓄積していて食べるのは健康上危険である
の2点が繰り返し強調されています。たしかにイルカは知性の高い動物でヒトの指示をある程度理解することができます。これはイルカショーを見ると明らかです。ただ知性と食用にすることには何の関連性もありません。もちろん食べたくない人は食べなくてよいでしょう。宗教にも絡んできますが、基本的には食べ物の好き嫌いの範疇なので。

(2)についてはよく知りませんが、生態系の頂点に近いところにいるイルカに水銀を含めた、分解されない毒物が蓄積するのは当然考えられることです。短期的にはわかりませんが、長期間ずっと食べ続けるというようなことはやめた方が良いかもしれません。実数値がわからないのでその程度しか言えません。

映画の後半は、イルカ漁を盗撮するために深夜に立ち入り禁止地区に入り込んで岩に偽装した赤外線カメラ等を設置する場面が描かれます。やってることは稚拙なのですが、こそこそしている感じが出ていて面白いです。お笑い番組で使われそうな演出です。

最後に。
イルカは小型の歯クジラ類の総称です。おそらく現代の日本語ではシャチがシャチ1種、クジラがイルカとシャチを除く歯クジラ類とヒゲクジラ類の総称として用いられています。一方英語では、クジラ類を示す言葉として、Whale, Dolphin, Porpoiseの3つがあり、Porpoiseがネズミイルカ類を指し、Dolphinが他のイルカ類、Whaleがクジラに相当する感覚です。

2011年7月8日金曜日

Emerald Ash Borer

図書館で読んだTimeから。

Meet the Beetles: Battling the Ash Borer Plague
中国から木材に紛れて移入されてしまったemerald ash borer(学名Agrilus planipennis)が米国の森林に過去最大級の被害をもたらしているそうです。このタマムシの幼虫はトネリコの仲間の樹木の樹皮を内側から食害します。師管と道管が食べられてしまうと樹木は上部と下部の間の栄養や水の輸送ができなくなり、最終的に枯れてしまいます。

人工林が問題を悪化させてしまっているようです。日本の杉のようにアメリカでも自然樹を切り倒して特定の樹木のみを植えてしまっています。トネリコは材質が堅く、野球のバットなどに利用されているそうです。そこでこの昆虫の食害で山が丸裸という状況にまでなっているらしいです。もし自然林のようにいろいろな植物が混ざって生えていれば食害の広がる速度はかなりゆるやかになるはずですが...

2011年7月7日木曜日

MBEのImpact Factor

5.510。
やはり去年の9.872から急落していますね。
Molecular Biology and Evolution : About the Journal
昨年は私の論文は出ていないので私のせいではなさそうです(笑)。

Nature Publishing Group各誌のImpact Factor

Nature Publishing Groupの日本語ページに今年発表の2010年のインパクトファクターの一覧が出ていました。

2011年発表 インパクトファクター

2011年7月6日水曜日

ヒトの挿入多型

論文メモ。似たような論文をたくさん見ているような気がするのですが何故でしょう??

Alu repeat discovery and characterization within human genomes
Hormozdiari F, Alkan C, Ventura M, Hajirasouliha I, Malig M, Hach F, Yorukoglu D, Dao P, Bakhshi M, Sahinalp SC, Eichler EE.
Genome Res. 2011 21(6): 840-849

8人のヒトゲノムを解析し、ヒトのreference genomeにない4342のAluの挿入を発見した。そのうち89%はAluYに属すことがわかった。またアフリカ人は非アフリカ人に比べて未発見の位置への挿入の頻度が高かった。(これはアフリカ人で転移頻度が高いことを示すわけではなく、アフリカ人は非アフリカ人に比べて遺伝的に多様であることを示している。)

同様のことはL1についても言えます。
Whole-genome resequencing allows detection of many rare LINE-1 insertion alleles in humans
Ewing AD, Kazazian HH Jr.
Genome Res. 2011 21(6): 985-990

ヒトのreference genomeにない1016のL1の挿入が見つかった。これらのほとんどは単一の解析でだけ見つかる挿入であることから頻度の低い型であり、とりわけアフリカ人に多かった。

同じ号に関連する総説が載っています。
Reading TE leaves: New approaches to the identification of transposable element insertions
Ray DA, Batzer MA.
Genome Res. 2011 21(6): 813-820

2011年7月4日月曜日

クルミ

隣の家からうちのアパートの敷地にクルミの木が枝を伸ばしています。米国では敷地の空中にあるものはたとえ隣の地面に生えていても自分のものだそうです。

カリフォルニア州はクルミの産地で、San Franciscoの北東にはWalnut Creekという都市もあるくらいです。このクルミをヒトが食べられるかどうかは知りませんが、ヒトが食べる前にリスが食べてしまうので試してみる必要はなさそうです。

2011/06/25撮影。

2011年7月3日日曜日

ライフサイエンス 新着論文レビュー

たまたま、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンターの提供しているライフサイエンス 新着論文レビュー First Author'sというサイトを見つけました。

原著論文のAbstractの日本語訳を著者自身が提供するだけでも、日本人にとってずいぶんと便利になるのではないかと考えていたところです。上記のサイトは著者自身が書いた内容が掲載される点では同じですが、掲載が一部のジャーナルに限定される点では私の思い描いていたものとは少し違います。

科学業界では英語が標準語とはいえ、やはり日本人にとっては日本語の情報源の方がはるかに理解に時間がかからず、効率的に利用できます。言語構造も日本語と英語では根本的に異なり、ヨーロッパ語圏の人たちが英語を理解するようには簡単に理解できないのも事実です。そしてそれ以上に非研究者や、研究者でもその分野以外の人たちへの情報発信という点では、やはり日本語での情報提供にはそれだけの価値があると思います。

2011年7月1日金曜日

真菌っぽくない真菌

論文メモ。

Discovery of novel intermediate forms redefines the fungal tree of life

真菌類は一般的にキチン質の細胞壁を持ち、細胞外で消化した栄養を細胞に取り込む能力を持つ。著者らは初期に分岐した真菌類を発見し、cryptomycotaと名付けた。リボソームRNAの配列による系統樹ではcryptomycotaはRozellaと一緒に真菌類での最初の分岐となった。cryptomycotaはキチン質の細胞壁を持たない3-5ミクロンの細胞で鞭毛を作ることができる。