2011年9月21日水曜日

転移因子と種分化の関係

共著の論文がBiology Directから出版されました。ボスが筆頭著者です。私はデータの解析でお手伝いしました。

Families of transposable elements, population structure and the origin of species.
Jurka J, Bao W, Kojima KK
Biology Direct 2011; 6:44. Epub 2011 Sep 19.

転移因子には種特異的なものが多く見られ、しかも大量に蓄積している事がわかっていました。つまり、転移因子の増殖と種分化には相関関係があることが示されていました。ここから、転移因子の増殖が新しい遺伝子や遺伝子調節領域を作ることで種分化が引き起こされるのだと言う仮説が提示されていました。

今回の仮説は全く逆で、種分化の過程で有効集団サイズの縮小が起こり、遺伝的浮動が起こりやすくなる事で転移因子が固定されるというものです。転移因子の転移はほとんどの場合、有害か弱有害なので、大集団では淘汰圧により失われて行きます。一方、小さな集団では遺伝的浮動により確率的に固定される割合が増えます。周辺種分化では大集団から小集団が分離し、そこから新しい種が派生するので、この仮説とよく合致します。

考えてみるとごく自然な発想で、これまで誰も公表していないのが不思議なくらいです。

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