2011年12月25日日曜日

アノマロカリスの複眼

アノマロカリスはバージェス動物群の中でも最大級の生物で当時最強の捕食者だったと考えられています。グールドのWonderful Lifeでは所属不明な生物とされていましたが、最近の研究では、Lobopodと呼ばれるArthropod(節足動物)の姉妹群、あるいはArthropodの初期分岐群に位置づけられることが多くなっています。

Acute vision in the giant Cambrian predator Anomalocaris and the origin of compound eyes
Paterson JR, García-Bellido DC, Lee MS, Brock GA, Jago JB, Edgecombe GD.
Nature. 2011 Dec 7;480(7376):237-40. doi: 10.1038/nature10689.

この論文ではオーストラリアで見つかったアノマロカリス類から複眼の化石を報告しています。この複眼は現在の節足動物に見られるものと同じくらい精巧にできています。

ここから導かれることは、
(1)節足動物に見られる複眼は、これまで節足動物の冠動物群の共通祖先で既に獲得されていたことがわかっていましたが、それが節足動物とアノマロカリス類の共通祖先まで遡ることができる。
(2)堅い外骨格の獲得よりも複眼の獲得の方が前に起こった。
(3)当時としては巨大なアノマロカリスが精密な複眼を備えていたことは彼らが視覚を頼りにした強力な捕食者であった。

系統、生態、いろいろなことが示唆される興味深い報告です。

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