2011年12月28日水曜日

逆転写酵素阻害剤で癌細胞のL1が活性化する

少し古い論文ですが、最近論文検索をしていて見つけたので紹介します。

癌細胞では通常は抑制されているはずの転移因子が活性化していることがよくあります。ヒトではDNA型の転移因子は全て死滅しており、転移可能なものは、自身の逆転写酵素を利用して転移するレトロトランスポゾンのL1やHERV (human endogenous retrovirus)です。

The reverse transcription inhibitor abacavir shows anticancer activity in prostate cancer cell lines.
Carlini F, Ridolfi B, Molinari A, Parisi C, Bozzuto G, Toccacieli L, Formisano G, De Orsi D, Paradisi S, Grober OM, Ravo M, Weisz A, Arcieri R, Vella S, Gaudi S.
PLoS One. 2010 Dec 3;5(12):e14221.

この論文では、逆転写酵素阻害剤のAbacavir (ABC)が前立腺癌細胞の増殖を抑制し、癌の転移や浸潤を抑制することを示しています。ABCの投与によりL1のmRNA量は増加します。

残念ながら、L1の逆転写の阻害で転写量が増加するということに明瞭な答えは得られていませんので、今後の研究の進展を期待したいですね。

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