2011年2月28日月曜日

節足を持つ葉足動物

たまには化石の論文を紹介。
An armoured Cambrian lobopodian from China with arthropod-like appendages
Liu J, Steiner M, Dunlop JA, Keupp H, Shu D, Ou Q, Han J, Zhang Z, Zhang X.
Nature. 2011 Feb 24;470(7335):526-30. PubMed PMID: 21350485.

Lobopodは節足動物に近縁なグループでカンブリア爆発の時期の生物として有名なハルキゲニア、アノマロカリス、オパビニアなどを含みます。私も今回初めて知りましたが、「葉足動物」と訳されているようです。現生では有爪動物(カギムシ)を含みます。このLobopodの中から真の節足動物が進化したと考えられている興味深いグループです。

この論文では、中国の澄江で発掘され、歩くサボテン”Diania cactiformis”と名付けられた化石が報告されています。この生物はカギムシ状の体を持っていますが、おそらく硬化され、節のある足を持っているという特徴があります。節のある足はまさに節足動物の特徴であり、この生物は葉足動物から節足動物が進化するミッシングリンクではないかと考えられます。また、節足動物の進化において、足の硬化が体の硬化に先行した可能性を示唆しています。

2011年2月27日日曜日

Western Grebe & Common Moorhen

2011/01/23 at Shoreline at Mountain View Park

二羽の水鳥を並べてみました。




上はWestern Grebe Aechmophorus occidentalis

下はおそらくCommon Moorhen Gallinula chloropus の若鳥。
Western Grebeは和名クビナガカイツブリ、カイツブリ目カイツブリ科。
Common Moorhenは和名バン、ツル目クイナ科。
嘴の形、背中の水面からの出方、等々が違いますね。

2011年2月26日土曜日

スケルピョン

妖怪?いいえカエルです。
内臓・血管丸見え カエル「スケルピョン」の量産に成功
透明ガエルの作製(広島大広田研究室HP)

足が生える過程を観察すると楽しそうです。

双子の腸内のウイルス

一卵性双生児の腸内細菌叢はよく似ていますが、腸内ウイルス叢は全く異なるそうです。

Viruses in the faecal microbiota of monozygotic twins and their mothers
Reyes A, Haynes M, Hanson N, Angly FE, Heath AC, Rohwer F, Gordon JI.
Nature. 2010 Jul 15;466(7304):334-8.

以下は簡単な要約です。
一卵性双生児の女性2人とその母親の糞便を採取し、その中の細菌とウイルスの組成を調べたところ、濃密な接触を反映して腸内細菌はお互いによく似ていました。しかし、細菌に感染するウイルスであるファージの組成は双子でも全く異なっていました。1年間に渡って変化を調べても、ファージの種類は安定しており、95%がそのまま残っていました。これは細菌とウイルスが寄生関係を通じて競争しているというよりも共生的に維持されていることを示しています。

2011年2月25日金曜日

レトロトランスポゾンと癌

気になる論文をNature Communicationsに発見。
Tumour microvesicles contain retrotransposon elements and amplified oncogene sequences
Balaj L, Lessard R, Dai L, Cho YJ, Pomeroy SL, Breakefield XO, Skog J.
Nat Commun. 2011 Feb;2:180.

以下は簡単な要約。
癌細胞はRNAやタンパク質を含む微小な小胞を放出することが知られていました。この研究で、c-mycなどの癌細胞で増幅されたDNAや、AluやL1などのRNAが微小胞に高レベルで含まれており、正常細胞に運搬される可能性があることが明らかになりました。

2011年2月24日木曜日

Leptosphaeria maculansゲノム

子嚢菌Leptosphaeria maculansのゲノム論文がNature Communicationsに報告されました。Open Accessです。

Effector diversification within compartments of the Leptosphaeria maculans genome affected by Repeat-Induced Point mutations
Rouxel T, Grandaubert J, Hane JK, Hoede C, van de Wouw AP, Couloux A, Dominguez V, Anthouard V, Bally P, Bourras S, Cozijnsen AJ, Ciuffetti LM, Degrave A, Dilmaghani A, Duret L, Fudal I, Goodwin SB, Gout L, Glaser N, Linglin J, Kema GH, Lapalu N, Lawrence CB, May K, Meyer M, Ollivier B, Poulain J, Schoch CL, Simon A, Spatafora JW, Stachowiak A, Turgeon BG, Tyler BM, Vincent D, Weissenbach J, Amselem J, Quesneville H, Oliver RP, Wincker P, Balesdent MH, Howlett BJ.
Nat Commun. 2011 Feb;2:202.

真菌類の独特の転移因子抑制機構であるRepeat-Induced Point mutaion (RIP)の作用によりかなりAT-richな領域ができているのが特徴らしいです。

RIPについては以前ホームページで説明したので、そちらをご参照ください。
57. 転移因子対策最終兵器:repeat-induced point mutation(RIP)

2011年2月23日水曜日

Elizabeth F. Gamble Garden

先日Palo Altoにある庭園をネットで発見し、早速行ってきました。ちなみに年中無休、入場料無料です。

Gamble Garden
ここは、Procter & Gamble(P&G)の創業者の孫Elizabeth F. Gambleの邸宅跡で、彼女が終生居住することを条件にPalo Alto市に寄贈されたものです。邸宅は、彼女の兄がStanford大学に入学するにあたり、一家でPalo Altoに移住したのが始まりです。

残念ながら花を楽しむには寒すぎる日でしたが、椿や木蓮が満開でした。日本人に馴染みの椿、木蓮、沈丁花、木瓜(ボケ)、ツツジ、シャクナゲ、シデコブシ、マンサク、レンギョウ、アジサイ等等が見られたところからすると、Elizabethは日本ひいきだったのかもしれません。日本の桜も植わっていましたが、芽吹いたばかりで花の時期はまだまだ先のようでした。

下は順に、木瓜、アセビ、八重咲きの椿。写真は日本でも見かける物ばかりですが、西洋の花ももちろんありました。




2011年2月22日火曜日

コウモリとウツボカズラの共生

アメリカでは無料の新聞が広く普及しています。多くは地域密着型で市内の事件や政治について書かれています。私が気に入っているのは、Epoch Timesという華僑系の無料週刊新聞です。Epoch Timesは全世界的な新聞ですが私が入手出来るのは北カリフォルニア版。その文化面に面白い記事があったので今日はこれを紹介。

Bat Roosts in Pitcher Plant, Feeding It With Excrement

ウツボカズラは食虫植物の1グループで英名はpitcher plant。葉っぱが変形してピッチャー状になっており、中には虫を溶かす液体が入っています。これで虫を捕らえて貧栄養な環境で窒素などの栄養源を確保しています。

しかし、ボルネオ島で今回見つかったNepenthes rafflesiana elongataは虫を食べるのではなく、コウモリの"落とし物"を食べることで栄養源を確保しています。

このウツボカズラのピッチャーの蓋は小型のコウモリKerivoula hardwickii hardwickiiが逆さに停まるのにちょうど良い大きさで、コウモリは洞窟の代わりにこのピッチャーの中で雨露がしのぎ、昼を過ごします。コウモリは宿を提供してもらう代わりに排泄物をピッチャーの中に落としていきます。ウツボカズラは生きた虫を食べたいわけではなく、窒素などの栄養源が欲しいだけなので、排泄物で十分なのです。実際、コウモリが住んでいるウツボカズラの体はコウモリの住んでいないものよりも3割ほど窒素が多く含まれていたそうです。

ボルネオでは以前別のウツボカズラがツパイのトイレとして栄養源を確保していると報告されています。ただ、こちらは虫の少ない高地に生息するウツボカズラだったので、今回の低地での共生の発見は、ウツボカズラ類が虫に依存しないライフスタイルに進化する原動力がどのようなものだったのかを知る上で興味深いものです。

原著論文はこちら↓
A novel resource-service mutualism between bats and pitcher plants.
Grafe TU, Schöner CR, Kerth G, Junaidi A, Schöner MG.
Biol Lett. 2011 Jan 26. [Epub ahead of print]

ツパイの論文は無料で読めます。
Tree shrew lavatories: a novel nitrogen sequestration strategy in a tropical pitcher plant.
Clarke CM, Bauer U, Lee CC, Tuen AA, Rembold K, Moran JA.
Biol Lett. 2009 Oct 23;5(5):632-5. Epub 2009 Jun 10.

2011年2月21日月曜日

アーモンド

カリフォルニアはアーモンドの産地で世界のアーモンド生産量の80%が生産されています。
アーモンドの学名はPrunus dulcisPrunusはサクラ属のことで、サクラ、モモ、ウメ、スモモ、アンズなどが含まれます。アーモンドの果肉は薄くて食用に適しませんが、種の中の仁が食用になるアーモンドです。つまり梅干しの種を割った中のものと同じです。

下の写真は確証は無いけれど多分アーモンドの花。













下には収穫され残った昨年の果肉も落ちていました。

2011年2月20日日曜日

Save Our Ship (SOS):integron、接合プラスミド、ICE

ホームページを更新しました。今回の記事は細菌における可動性遺伝因子とSOS応答の関係についてです。SOS応答によりインテグロンの切り出しが誘導されるという話と、接合プラスミドの導入によりSOS応答が誘導されるという話で、同じグループによる研究です。

2011年2月19日土曜日

C. elegansに感染するウイルス

モデル動物の代表Caenorhabditis elegansC. briggsaeに感染するウイルスが初めて報告されました。
Félix M-A, Ashe A, Piffaretti J, Wu G, Nuez I, et al. (2011)
Natural and Experimental Infection of Caenorhabditis Nematodes by Novel Viruses Related to Nodaviruses.
PLoS Biol 9(1): e1000586. doi:10.1371/journal.pbio.1000586

線虫は生物学の研究にとても便利な動物ですが、自然感染するウイルスが見つかっていなかったことから、対ウイルス防御の研究はこれまで進んでいませんでした。この研究では2種のCaernorhabditis線虫に2種のウイルスがそれぞれ感染することが示されました。2種類のウイルスはいずれもRNAウイルスでNodavirusに近縁です。また、RNAiの遺伝子を欠損した線虫ではウイルスの増殖が促進されることもわかり、今後、RNAiが対ウイルス防御機構としてどのように役立っているのかの解析が進むことが期待出来ます。

2011年2月18日金曜日

Scientific Reports

Nature Pubulishing Groupが新しいオープンアクセス雑誌「Scientific Reports」を今年夏に始めます。
査読者が"一人"以上の査読有り雑誌で迅速な審査と出版を目指すそうです。
2011年の掲載費用は(消費税別)
* $1,350 (北米・南米)
* €1,046 (ヨーロッパ)
* ¥142,500 (日本)
* £890 (英国とその他の諸国)
で、2012年以降は$1,700 / €1,308 / ¥178,000 / £1,112(消費税別)になります。
って中国や韓国の著者でもポンド払いなのでしょうか?そうは思えませんが...

ちょっと遊びで、今の為替で換算すると、
$1,350 x 83.16 = ¥112,266
€1,046 x 113.85 = ¥119,087
ですので、今の相場だと相当日本の掲載料が割高です。

で、掲載料が世界共通だとすると想定為替レートは
$1= ¥105.555
€1= ¥136.233
になります。5年くらいのスパンで平均するとこれくらいの相場になるので、妥当なところでしょう。

Natureは姉妹紙を結構うまく育てていますが、Scientific ReportsはNatureの名を冠さないところからしても質の高い論文を載せる雑誌と言うよりも別の方向性を目指しているのでしょう。PLoS ONEと同じ方向性でしょうかね?

Encyclopedia of Life Science

Encyclopedia of Life Scienceに共著で執筆した記事が掲載されました。
Repetitive Elements: Bioinformatic Identification, Classification and Analysis.
Jurka J, Bao W, Kojima K, and Kapitonov VV.

2011年2月17日木曜日

サプリメント

毎日ではないけれども食べているサプリメントの成分表です。取りすぎでは?というぐらいたくさん入ってます。アメリカのサプリメントは機能重視らしくとてもまずいです。日本のようにおいしいのがあれば絶対売れると思うのですが...

ビタミンA 100%(5000 IU)
ビタミンC 200%(120mg)
ビタミンD 100%(400 IU)
ビタミンE 333%(100 IU)
ビタミンK 125%(100μg)
チアミン(ビタミンB1) 1667%(25mg)
リボフラビン(ビタミンB2) 1471%(25mg)
ナイアシン(ビタミンB3) 125%(25mg)
ビタミンB6 1250%(25mg)
葉酸(ビタミンB9) 100%(400μg)
ビタミンB12 417%(25μg)
ビオチン(ビタミンB7) 50%(150μg)
パントテン酸 250%(25mg)
カルシウム 5%(50mg)
マグネシウム 6%(25mg)
亜鉛 133%(20mg)
セレン 286%(200μg)
銅 100%(2mg)
マンガン 100%(2mg)
クロム 167%(200μg)
モリブデン 100%(75μg)

上記は成人男性用、成人女性用は以下のような違いがあります。
カルシウム 200mg(20%)↑
鉄 6mg(33%)↑
亜鉛 10mg(67%)↓
銅 1mg(50%)↓

2011年2月16日水曜日

タツノオトシゴ

タツノオトシゴの奇妙な格好には適応上の理由があるという論文がNature Communicationsに出ていました。

An adaptive explanation for the horse-like shape of seahorses
Van Wassenbergh S, Roos G, Ferry L.
Nat Commun. 2011 Jan;2:164.

タツノオトシゴはヨウジウオのような細長い姿から、尻尾を固定したまま、エビを補食するために、あのような姿になったそうです。

2011年2月15日火曜日

4種のアリゲノム

3種のアリゲノムの論文が一度にPNASで公開されました。
3種は、
Red harvester ant(アカシュウカクアリ?)Pogonomyrmex barbatus
Red imported fire ant(アカヒアリ)Solenopsis invicta
Argentine ant(アルゼンチンアリ)Linepithema humileです。

Draft genome of the red harvester ant Pogonomyrmex barbatus.
Smith CR, Smith CD, Robertson HM, Helmkampf M, Zimin A, Yandell M, Holt C, Hu H, Abouheif E, Benton R, Cash E, Croset V, Currie CR, Elhaik E, Elsik CG, Favé MJ, Fernandes V, Gibson JD, Graur D, Gronenberg W, Grubbs KJ, Hagen DE, Viniegra AS, Johnson BR, Johnson RM, Khila A, Kim JW, Mathis KA, Munoz-Torres MC, Murphy MC, Mustard JA, Nakamura R, Niehuis O, Nigam S, Overson RP, Placek JE, Rajakumar R, Reese JT, Suen G, Tao S, Torres CW, Tsutsui ND, Viljakainen L, Wolschin F, Gadau J. Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Jan 31. [Epub ahead of print] PubMed PMID: 21282651.

The genome of the fire ant Solenopsis invicta.
Wurm Y, Wang J, Riba-Grognuz O, Corona M, Nygaard S, Hunt BG, Ingram KK, Falquet L, Nipitwattanaphon M, Gotzek D, Dijkstra MB, Oettler J, Comtesse F, Shih CJ, Wu WJ, Yang CC, Thomas J, Beaudoing E, Pradervand S, Flegel V, Cook ED, Fabbretti R, Stockinger H, Long L, Farmerie WG, Oakey J, Boomsma JJ, Pamilo P, Yi SV, Heinze J, Goodisman MA, Farinelli L, Harshman K, Hulo N, Cerutti L, Xenarios I, Shoemaker D, Keller L.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Jan 31. [Epub ahead of print] PubMed PMID: 21282665.

Draft genome of the globally widespread and invasive Argentine ant (Linepithema humile).
Smith CD, Zimin A, Holt C, Abouheif E, Benton R, Cash E, Croset V, Currie CR, Elhaik E, Elsik CG, Fave MJ, Fernandes V, Gadau J, Gibson JD, Graur D, Grubbs KJ, Hagen DE, Helmkampf M, Holley JA, Hu H, Viniegra AS, Johnson BR, Johnson RM, Khila A, Kim JW, Laird J, Mathis KA, Moeller JA, Muñoz-Torres MC, Murphy MC, Nakamura R, Nigam S, Overson RP, Placek JE, Rajakumar R, Reese JT, Robertson HM, Smith CR, Suarez AV, Suen G, Suhr EL, Tao S, Torres CW, van Wilgenburg E, Viljakainen L, Walden KK, Wild AL, Yandell M, Yorke JA, Tsutsui ND.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Jan 31. [Epub ahead of print] PubMed PMID: 21282631.

また、ハキリアリAtta cephalotesのゲノムの論文がPLos Geneticsで発表されました。

The Genome Sequence of the Leaf-Cutter Ant Atta cephalotes Reveals Insights into Its Obligate Symbiotic Lifestyle

2011年2月14日月曜日

解熱鎮痛剤

先日風邪をこじらせ、妻に頭痛薬を買ってきてもらいました。KIRKLAND Signatureの製品でその名もIBUPROFEN IB TABLETS。しかも750錠!こちらの薬はジェネリック医薬品だと有効成分名そのままの名称の場合が多いです。ついでに解熱鎮痛剤としてもうひとつ有名なアスピリン(アセチルサリチル酸)と比較してWikipediaで調べてみました。

・イブプロフェン(ibuprofen, (RS)-2-(p-isobutylphenyl)propionic acid)
作用機序:すべてのシクロオキシゲナーゼ (COX-1、COX-2) 活性を可逆的に競合阻害する。

・アセチルサリチル酸(acetylsalicylic acid):
作用機序:すべてのシクロオキシゲナーゼ (COX-1、COX-2) をアセチル化することにより不可逆的に阻害する。

・シクロオキシゲナーゼ1 (COX-1) :恒常的に発現しており、胃壁の防御作用に関与している。胃壁が自ら分泌する酸(塩酸)により溶かされないよう防ぐのに必要である。

・シクロオキシゲナーゼ2 (COX-2):炎症時に誘導されるプロスタグランジン合成系の酵素である。プロスタグランジンは炎症、発熱作用を持つ。また、血小板の作用に関係するトロンボキサンの合成にも関与している。(COX-2はアラキドン酸からプロスタグランジンG2を合成する酵素で、プロスタグランジンG2からプロスタグランジンとトロンボキサンが合成される。)

従って、両者とも炎症、発熱を抑制すると同時に、抗血小板作用も持つ。ただし、非可逆的であるためアセチルサリチル酸の方が抗血小板作用は強い。また、シクロオキシゲナーゼ1の阻害効果により副作用の胃潰瘍が生じる。

2011年2月13日日曜日

巨大アメリカザリガニ

たまには英語ニュースを情報源に紹介。
NPRニュース

新種のザリガニBarbicambarus simmonsiは体長13センチ。南テネシーのテネシークリークで捕獲されました。
ちなみにアメリカザリガニProcambarus clarkiiとはもちろん別種です。アメリカザリガニも体長12センチ程度にはなるそうですし、他に日本に移入されている、同じく北米原産のウチダザリガニPacifastacus trowbridgiiは体長15センチ程度になるそうなので、B. simmonsiは北米最大なわけではありませんが、それでもその辺りではずば抜けて大きいそうです。

2011年2月12日土曜日

Great Blue Heron

2011/01/15 at Foothill College

Great Blue Heron Ardea herodias
和名オオアオサギ、コウノトリ目サギ科。

これだけ大型のサギは他はGreat Egretだけでそちらは白いので容易に区別がつきます。こちらはFoothill Collegeのキャンパスを悠然と歩いていた個体。

2011年2月11日金曜日

スーパーボウル

先週の日曜日の午後、いつものように近所のショッピングセンターに出かけたところ極端に駐車場の車が減っていました。帰ってもしやと思い調べると、アメリカ最大のスポーツイベントであるスーパーボウルの開催中でした。去年受けたEnglish as a Second Language (ESL)での話では、スーパーボウルの最中のCMは料金が高額なことがあって力の入った物が多いとのこと。と言うこともあり、帰ってから泥縄式にアメリカンフットボールのルールを調べながらスーパーボウルを見ていました。

ところで、スーパーボウルに絡んでこんな記事を発見。↓
命がけのスーパーボウル…敗者のファン、死亡率上がる

あり得る話です。スーパーボウルの最中には近所の家から点が入る毎に絶叫が聞こえてきましたから。

2011年2月10日木曜日

出“X”記あるいは出“精巣”記:retrogene

ホームページを更新しました。
小島生物学御研究室

今回の記事は、転移因子L1がmRNAを転移させて出来るretrocopyが遺伝子になったretrogeneについて、そのでき方や特徴をまとめたものです。実は数年前にほぼ書き上がっていたのですが、すっかり忘れていたので加筆して投稿しました。

鳥類の指の由来

鳥の翼、3本指の謎解明=親、人さし、中指と判明—恐竜起源説裏付け・東北大

タイトルだけだと良くわかりませんが、鳥類の恐竜起源説の反論の一つとして、退化した指の位置が問題になっていました。鳥類の指は、第2-3-4指が残って第1と第5が退化したと考えられてきましたが、今回の研究で本当は第1-2-3指だということが示されたそうです。

論文は以下↓
Embryological Evidence Identifies Wing Digits in Birds as Digits 1, 2, and 3
Tamura K, Nomura N, Seki R, Yonei-Tamura S, Yokoyama H.
Science. 2011 Feb 11;331(6018):753-7.

2011年2月9日水曜日

ミディクロリア

Wikipediaの新着記事で見つけました。
スターウォーズ好きにはたまらない命名です。こういう遊び心、私は大好きです。

ミディクロリア - Wikipedia

2011年2月8日火曜日

ミジンコゲノム

ミジンコDaphnia pulexのゲノムが解読されました。昆虫以外の節足動物では初です。論文はミジンコの環境応答についての話が主のようですが、ミジンコの仲間は甲殻類の中でも最も昆虫に近縁なグループなので、昆虫の起源についても迫れるかもしれません。

The Ecoresponsive Genome of Daphnia pulex
Colbourne JK, Pfrender ME, Gilbert D, Thomas WK, Tucker A, Oakley TH, Tokishita S, Aerts A, Arnold GJ, Basu MK, Bauer DJ, Cáceres CE, Carmel L, Casola C, Choi JH, Detter JC, Dong Q, Dusheyko S, Eads BD, Fröhlich T, Geiler-Samerotte KA, Gerlach D, Hatcher P, Jogdeo S, Krijgsveld J, Kriventseva EV, Kültz D, Laforsch C, Lindquist E, Lopez J, Manak JR, Muller J, Pangilinan J, Patwardhan RP, Pitluck S, Pritham EJ, Rechtsteiner A, Rho M, Rogozin IB, Sakarya O, Salamov A, Schaack S, Shapiro H, Shiga Y, Skalitzky C, Smith Z, Souvorov A, Sung W, Tang Z, Tsuchiya D, Tu H, Vos H, Wang M, Wolf YI, Yamagata H, Yamada T, Ye Y, Shaw JR, Andrews J, Crease TJ, Tang H, Lucas SM, Robertson HM, Bork P, Koonin EV, Zdobnov EM, Grigoriev IV, Lynch M, Boore JL.
Science. 2011 Feb 4;331(6017):555-61.

2011年2月7日月曜日

林原

林原が会社更生法を適用申請したそうですね。
林原 本業以外で圧迫 同族経営で外部チェック入らず

実は私は知りませんでしたが、トレハロースをほぼ独占的に生産するバイオ企業だそうです。不正経理が出てきたので救済は無理でしょう。特許など有用なものを売却して債務返済に充てる形になるでしょう。個人的には林原美術館の所有する文化財がどうなるのかが気になります。林原類人猿研究センターのチンパンジーたちは京大の霊長研に移動するのでしょうか?
京大との関係ではこんなニュースがありました。↓
ボノボ研究のプロジェクト 京大霊長研 5個体を飼育へ

2011年2月6日日曜日

動物実験?

コンピューターに向かって解析ばかりしていると、たまには生き物を使った実験がしてみたくなります。
アメリカでは飲食店の外にテラスがあり、気候が良いと外で食べる人が多い。昼食に良く出かけるメキシコ料理のファーストフードChipotleではそのテラスでred-winged blackbirdが食べ残しを狙って人を怖れず飛び回っています。ところが1ブロックほど離れたハンバーガー屋IN-N-OUTでは、ドバトしか見かけません。この違いは一体どこから来るのでしょうか?

IN-N-OUTで食べ残しのフライドポテトを投げてやると、先を争って食べに来ます。ところが、レタスを投げてやると、見向きもしません。Chipotleのメニューにポテトはないのでこれが棲み分けの理由なのだと推測できました。次回はChipotleでblackbirdの様子をチェックしてみようと思います。

2011年2月5日土曜日

Great Egret

2011/01/22 at Alviso

Great Egret Ardea alba
和名ダイサギ、コウノトリ目サギ科。

よく見る鳥です。この大きさのサギはダイサギとオオアオサギだけなので簡単に見分けがつきます。

2011年2月4日金曜日

白いスケーリーフット

白いスケーリーフットが発見されたそうです。
海洋研究開発機構のプレスリリース
スケーリーフットとは硫化鉄の鎧をまとった貝です。だったのですが、白い個体は硫化鉄は持っていないようですね。

初出はこちら↓。
A hot-vent gastropod with iron sulfide dermal sclerites.
Warén A, Bengtson S, Goffredi SK, Van Dover CL.
Science. 2003 Nov 7;302(5647):1007.

2011年2月3日木曜日

ウナギの卵

天然のニホンウナギの卵が発見されたそうです。

ウナギ天然卵を初採集=マリアナ海溝近く、31個—養殖技術に応用も・東大など
アリストテレス以来の謎=ウナギ卵発見、完全養殖に道

聞いたところでは、西洋において自然科学は古代ギリシアの哲学に起源すると理解されており(博士号がPh.D.すなわちDoctor of Philosophyとされていることなど)、アリストテレスがウナギの発生について記しているところから、西洋ではウナギの発生は非常に重要な謎と認識されているそうです。
ちなみにアリストテレスが見たのはヨーロッパウナギAnguilla anguillaで、ニホンウナギAnguilla japonicaではありません。ヨーロッパウナギは北大西洋のサルガッソーで産卵することがわかっています。

Nature Communicationsに掲載された論文は以下。
Oceanic spawning ecology of freshwater eels in the western North Pacific

2011年2月2日水曜日

オランウータンゲノム

オランウータンのゲノムが解読されました。
Comparative and demographic analysis of orang-utan genomes

スマトラオランウータンPongo abeliiのゲノムコンティグを作り、そこにshort readの、スマトラオランウータン5個体とボルネオオランウータンPongo pygmaeus5個体のゲノムを当てはめて解析しています。

2011年2月1日火曜日

大学院改革?

“徒弟制度”や修士論文の廃止求める 大学院博士課程で中教審答申

どうなんでしょう?何とも言い難い内容です。大学院余りの時代ですから、多様な選択肢を提供する上ではあってもよいような気もします。修士論文の廃止というのはあり得る選択肢でしょう。
例えば修士課程のみの場合、日本の新卒採用の慣習上、修士論文の質を理由に就職の決まった学生を留年させることは難しいのが実情だと思います。そうなるとテストのような絶対的な基準を設けた方が質の維持に有効でしょう。一方、博士課程前期の場合には、総合的な考察力と論理構成を学ぶ目的でも修士論文は有用だと思います。たしかに幅広い知識は重要ですが、修士課程に相当する期間を幅広い知識を得る時期に充てるならば、同時に博士課程を3年で修了させるという現在の基準の見直しが必要でしょう。もちろん大学側も企業側も。博士取得に何年かかっても良いから博士取得者の質を維持するという形にもっていかないとむしろ中途半端な人材を量産する結果になるかと。そのためにはアメリカのように、博士課程の学生が奨学金で最低限の生活ができるレベルを保証していかないといけないし、そうなると。。。

こういう問題は正しい答えがあるわけではないので、いろいろと試行錯誤するのが良いのかもしれませんね。画一的じゃない形で。