2012年10月9日火曜日

マウス胚の全ゲノムメチル化地図

哺乳類の派生初期には大規模なメチル化の変化が見られる事が知られています。父親由来のゲノムは受精後メチルシトシンが減少し、杯盤胞の時期にメチル化の程度は最低になると考えられています。

A unique regulatory phase of DNA methylation in the early mammalian embryo
Smith ZD, Chan MM, Mikkelsen TS, Gu H, Gnirke A, Regev A, Meissner A.
Nature. 2012 Mar 28;484(7394):339-44. doi: 10.1038/nature10960.
PMID: 22456710 [PubMed - indexed for MEDLINE]

この論文ではマウス胚の全ゲノムメチル化地図を作製し、受精から着床までのパターン変化を解析しています。未受精卵の段階で既に大規模な低メチル化が起こっていました。ここで特に低メチル化されていたのはLINE1とLTRレトロトランスポゾンでした。
父親由来母親由来でメチル化のパターンが異なる領域はdifferentially methylated regions (DMRs)と呼ばれています。母親由来(卵)のDMRにはCpGアイランドが多く、この領域は初期胚でDMRが維持され、徐々にメチル化の差は失われて行きます.一方で父親由来(精子)のDMRは遺伝子間領域が多く、杯盤胞以降では過メチル化されました。

インプリンティングはおそらく転移因子のメチル化に由来しています。このようなパターン変化がどのようにして生まれたのか興味深いです。

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