2011年6月14日火曜日

ストロンチウムからわかること

福島第一原発から放出されたストロンチウムの放射性同位体が問題となっています。周期表でカルシウムの真下に位置するストロンチウムはカルシウムと生理的に似た挙動を示すため、微量ですが骨に取り込まれます。その性質は以下の論文のように絶滅生物の生態を知るのに役立っています。

猿人も遠方から花嫁か 歯の化石で分析

Strontium isotope evidence for landscape use by early hominins


ストロンチウムはカルシウムの代わりに骨に沈着する性質がある。従って歯のストロンチウムの同位体比は育った地域の同位体比を反映する傾向がある。著者らは猿人Australopithecus africanusParanthropus robustusの歯のストロンチウムの同位対比を調べ、小さな猿人は大きな猿人よりも局地的なストロンチウム同位体比からずれる傾向があることがわかった。初期の猿人は性差が大きいことから、大きな猿人が雄、小さな猿人が雌と考えられる。従って当時の社会構造は雄が生まれた地域に残り、雌が移動するというものだった可能性が高い。これはチンパンジーやボノボでも見られる社会構造である。

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