2013年7月10日水曜日

Dada

昨年の2月の学会以来解析していた研究がPLoS ONEに掲載されました。

A Superfamily of DNA Transposons Targeting Multicopy Small RNA Genes

これまではnon-LTR retrotransposonにしか見つかっていなかった、「特定の反復配列の特定の位置に挿入される転移因子」をDNA transposonで発見したという内容です。ゼブラフィッシュ(Danio rerio)とミジンコ(Daphnia pulex)から最初に見つかったので,Dadaと名付けました。

発見を整理すると、
・Dadaは新規のDNA transposon superfamily
・Dadaの転移酵素は真核生物のMuDr, Kolobok, P, hATの各転移因子superfamilyと原核生物のIS256 familyと共通のモチーフを持つ
・Dadaの標的は、U1 snRNA, U6 snRNA, tRNAの各遺伝子である
・U6 snRNA遺伝子に挿入されるDada-U6はゼブラフィッシュを含む硬骨魚類に加えて、ミジンコ、カキ(牡蠣)、多毛類から見つかる

以上から、RNA遺伝子を挿入の標的とする標的配列特異性という転移因子の生存戦略がより普遍的であることが示されました。また、自然に存在する標的特異的な転移因子を用いたトランスジェニック生物の作成という新しいシステムへの道が開けました。

配列特異的な転移因子の研究は私のライフワークとなりつつあります。

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