2013年2月1日金曜日

コケイン症候群とpiggyBac

5年前の論文ですが気になったので紹介。
An abundant evolutionarily conserved CSB-PiggyBac fusion protein expressed in Cockayne syndrome.
Newman JC, Bailey AD, Fan HY, Pavelitz T, Weiner AM.
PLoS Genet. 2008 Mar 21;4(3):e1000031.

コケイン症候群(Cockayne syndrome)はDNA修復の一種、TC-NER(転写に共役したヌクレオチド除去修復)の機能不全が原因で、CSA、CSBの2つの相補群からなる。紫外線への過敏化に加えて、発育不全など発達異常も引き起こす。CSBはSWI/SNF-like DNA-dependent ATPaseである。CSBに関する不思議な性質として、CSBの完全欠損ではコケイン症候群を発症しない。劣性遺伝病なので変異をホモで持たない場合には異常は生じないが、一方で完全にCSB遺伝子を持たない場合にも発達異常は表れない。弱い紫外線感受性を示すだけである。また、CSBの点変異(塩基置換とフレームシフト)はエクソン6以降の場合がほとんどである。エクソン5と6の境界はタンパク質にして466番目のアミノ酸に相当する。マウスに、ヒトで見られるCSBの点変異を導入した場合には紫外線への過敏症は認められるが発達異常は顕著ではない。これらの事実はCSBの単純な機能欠損がコケイン症候群を引き起こしているわけではないことを示している。

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