2012年11月28日水曜日

鱗翅目昆虫間でのMarinerの水平伝播

DNA配列の種間移動は水平伝播と呼ばれ、真核生物ではそのほとんどは転移因子の配列です。しかし転移因子の中でも種類によって水平伝播の頻度には大きな違いがあり、non-LTR retrotransposonでは報告そのものが非常に少ない状況です。実際古い報告例の多くは実際には水平伝播ではなく、パラログに相当する関係を誤解したものです。
この論文の著者のグループは以前non-LTR retrotransposonの一種CR1が、カイコBombyx moriとシジミチョウのMaculineaのそう古くない祖先同士で水平伝播したと報告しています。この論文では、同じ2種を解析し、DNA transposonのMarinerが同様に水平伝播している事を示しています。著者らの目的はDNA transposonがnon-LTR retrotransposonを水平伝播させるベクターとして働いているという仮説を証明する事なので、この論文はその第1歩ということになります。

Vertical Evolution and Horizontal Transfer of CR1 Non-LTR Retrotransposons and Tc1/mariner DNA Transposons in Lepidoptera Species
Sormacheva I, Smyshlyaev G, Mayorov V, Blinov A, Novikov A, Novikova O.
Mol Biol Evol. 2012 Dec;29(12):3685-702. doi: 10.1093/molbev/mss181. Epub 2012 Jul 23.
PMID: 22826456 [PubMed - in process]

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