2012年9月17日月曜日

三畳紀末の大量絶滅と硫化水素汚染

Hydrogen sulphide poisoning of shallow seas following the end-Triassic extinction
Sylvain Richoz, Bas van de Schootbrugge, Jörg Pross, Wilhelm Püttmann, Tracy M. Quan, Sofie Lindström, Carmen Heunisch, Jens Fiebig, Robert Maquil, Stefan Schouten, Christoph A. Hauzenberger & Paul B. Wignall
Nature Geoscience 5, 662–667 (2012) doi:10.1038/ngeo1539

三畳紀末の大量絶滅の時期には、火山の大噴火とその後の森林火災により大気中の二酸化炭素濃度が非常に高かった事が知られています。この論文では、テチス海の浅瀬に由来する岩石を解析することで、大絶滅に続くジュラ紀初期に緑色硫黄細菌が大量増殖していた事を明らかにしています。これはこの時代に硫化水素が大気中に大量に存在していた事を示しています。また緑藻も大量に生育しており、低酸素状態であったことも示唆されます。以上からは、大量絶滅後の残存硫化水素の毒性と低酸素状態が生物相の回復を遅らせたと考えられます。

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