2010年12月31日金曜日

マルミミゾウ

読売オンラインでマルミミゾウがサバンナゾウと別種というニュースを見たが、出典が無かったので調べたところ、時事ドットコムで発見。PLoS Biologyだった。出典がないと真偽が確かめられないのでニュースでは出典を明記して欲しいものだ。

Genomic DNA Sequences from Mastodon and Woolly Mammoth Reveal Deep Speciation of Forest and Savanna Elephants

著者らは化石種アメリカマストドンMammut americanumの5万年から13万年前の歯から、核ゲノムを次世代シーケンサーとPCRを使って配列決定。39763 bp 375 lociを5種のゾウ(上記に加えて化石種ウーリーマンモスMammuthus primigeniusと現生種3種。サバンナゾウLoxodonta africana、マルミミゾウLoxodonta cyclotis、アジアゾウElephas maximus)で比較している。
アメリカマストドンを外群にして近隣結合法で系統解析すると、サバンナゾウとマルミミゾウ、アジアゾウとウーリーマンモスがそれぞれ近縁だった。多型を利用してマルコフ連鎖モンテカルロ法で集団遺伝学的に解析を行い、それぞれの組が同程度に遺伝的に離れていることを見つけた。これら4種の共通祖先の化石記録からサバンナゾウ/マルミミゾウとアジアゾウ/ウーリーマンモスの分岐年代を400万年から900万円前とするとサバンナゾウとマルミミゾウの分岐は約190万年から710万年前になる。(時事ドットコムの580万年から780万年前の記述は著者らの2007年のミトコンドリアゲノムの解析によるアジアゾウとマンモスの分岐年代推定の結果で今回の結果ではない。)
化石ゲノムをメインの解析対象ではなく、外群にしてしまうところについにそこまで来たかという感慨深いものがある。

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