2011年5月30日月曜日

DDE transposaseの分類

2ヶ月ほど解析していた内容を先に出されてしまいました。まだ様子が見えてきたばかりでこれから総説でも書こうかという段階だったので、実害は全くないです。それよりもGeneに出すかあるいは総説として盛り込むかという程度の新規性の研究内容がPNASに出るというのは正直雑誌の質を疑う悲しい現実です。

The catalytic domain of all eukaryotic cut-and-paste transposase superfamilies.
Yuan YW, Wessler SR.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 May 10;108(19):7884-9. Epub 2011 Apr 25.

内容は転移因子のDDE-transposaseを比較して類似性を元に系統樹を書いたというもの。その類似性とは、2番目のDとEの間にC/DxxHがあるグループ(MuDR, Rehavkus, hAT, P, Kolobok)と、C-C-H-Hがあるグループ(Chapaev, EnSpm, Transib)があるということなど。これは私がMAFFTでアラインメントをしたら見えてきたくらいなのでそれほど目新しいものではないですが、論文として報告されるのは初めて。論文ではAcademやもDDE-transposaseを持っているとしていますが、アラインメントを見る限りでははっきりと活性残基が認識できる状態ではなく、相当疑わしい。この点は先入観ありき。類似性を元にした系統樹というのも信頼性が低く、上記のグループがあることだけが支持出来る内容です。

と散々こき下ろしてみましたが、PNASに出た以上は、今後もDDE-transposaseの話を書くときにはほぼ必ず引用される(or しなければいけない)ような便利な論文になるのは確かでしょう。
正直、SupplementのAlignmentは便利。

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