2012年3月4日日曜日

新しい転移因子スーパーファミリーZisupton

新しいDNA transposon superfamilyとしてZisuptonが報告されました。

Zisupton - a novel superfamily of DNA transposable elements recently active in fish.
Böhne A, Zhou Q, Darras A, Schmidt C, Schartl M, Galiana-Arnoux D, Volff JN.
Mol Biol Evol. 2012 Feb;29(2):631-45. Epub 2011 Aug 27.

Volffのチームは以前から観賞魚のプラティーXiphophorus maculatusの研究を続けています。non-LTR retrotransposonのRex1, Rex3, Rex5, Rex6などの名前もRetrotransposable element of Xiphophorusの頭文字を取ったものです。BohneらはY染色体に挿入されている転移因子を発見し、Zisuptonと名付けました。このZisuptonと、他の生物のZisuptonを比較したところ、コードされているタンパク質の中央部に保存された領域が見つかり、おそらくこれが転移酵素であろうと考えられます。しかし、既知の転移酵素と比較しても類似性は示されず、本当に転移酵素かどうかはまだ不明です。また、そのC末側にUlp1あるいはOTUタイプのプロテアーゼがコードされています。転移の際に8塩基のtarget site duplicationを作ること、近縁のプラティー間で挿入多型が見られることからつい最近には転移していたこともわかりました。

真核生物のDNAトランスポゾンがコードしている転移酵素のほとんどはDDEタイプです。それ以外の酵素をコードしていることが明らかなのは、SuperfamilyレベルではHelitronとCryptonしかありません。また、AcademとNovosibについてはDDEタイプなのかどうかが配列レベルでは判断できません(Yuan&Wessler(2011)ではDDEタイプとしてますが私は疑問を持っています)。Zisuptonは明確にDDEタイプではないので、実際どのような機構によって転移しているのか興味が持たれます。

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