トウモロコシは転移因子の研究者にとっては特別な生き物かもしれません。なぜなら、転移因子がBarbara McClintockによって最初に発見されたのはトウモロコシからだからです。テオシンテという種の数の少ない野生種から、人為選択によって種のたくさん付く系統が選ばれて出来たのがトウモロコシであると考えられています。
以下の論文によると、トウモロコシがテオシンテよりも頂芽優勢が強いことの理由の一部がteosinte branched1(tb1 )の調節領域に挿入されているレトロトランスポゾンHopscotchのエンハンサー活性によって説明できるそうです。HopscotchはCopia型のLTRレトロトランスポゾンです。またこの変異は1万年以上前に起こっていました。つまり、栽培の過程で新規に突然変異が起こったのではなく、もともと野生種に出来ていた多型を人為選択していくことでこの転移因子の挿入がトウモロコシで固定されたのだということがわかりました。
Identification of a functional transposon insertion in the maize domestication gene tb1
Studer A, Zhao Q, Ross-Ibarra J, Doebley J.
Nat Genet. 2011 Sep 25;43(11):1160-3. doi: 10.1038/ng.942.
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