2012年3月22日木曜日

飛べない甲虫の多様化

Nature Communicationsに掲載された甲虫類の多様化に関する論文の全文日本語訳が出ていました。

飛翔能力の退化が甲虫類の多様化を促進する

カブトムシやクワガタムシなどの仲間、甲虫類は動物の中で最も種数が多いグループです。昆虫は飛翔能力を獲得した節足動物として非常に繁栄していますが、一方で飛ぶ能力を喪失した系統が頻繁に発生しています。ノミ、シラミなどの寄生性のものはもちろん、ナナフシ、アリ、ガ、など多くのグループで飛べなくなった種が存在しています。これは空を飛ぶコストが非常に高い事に起因しています。羽根だけでなく、飛翔のための筋肉の発生、維持には大量のエネルギーを必要とするためです。
論文では飛ぶ能力を喪失した系統を含むシデムシ類を用いて、飛べないグループでは飛べるグループに比べて集団間の遺伝的距離が増加していることを示しています。飛べない事により集団間での遺伝子の交流が少なくなり、集団間で分化が起こりやすくなることを示しています。このようにして甲虫類は非常に種数が多くなったようです。

原著論文は以下。
Loss of flight promotes beetle diversification
Ikeda H, Nishikawa M, Sota T.
Nat Commun. 2012 Jan 31;3:648. doi: 10.1038/ncomms1659.
PMID: 22337126 [PubMed - in process] Free PMC Article

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