ナショナルジオグラフィックのニュースから。
古代の昆虫、巨大化の謎に新説
石炭紀にはメガニウラなどの巨大昆虫が生息していたことが知られている。これらの巨大昆虫の生息はこの時代に酸素濃度が30%程度と非常に高く、呼吸によるエネルギー産生の効率が非常に良かったことによると考えられてきた。しかし、この話では、むしろこの高すぎる酸素濃度から身を守るために昆虫は巨大化したという説が紹介されている。
研究でわかったことは、「カワゲラの幼虫は地上で暮らす成虫よりも酸素の変動の影響を受けやすい 」ということ。昆虫の成虫は気管により呼吸に必要な酸素を体内に取り込む。体表にある気門を開閉することで体内に取り込む酸素の量をコントロールしている。一方幼虫は体表全体から酸素を吸収する。酸素量の制御ができないため、対策として体積に占める体表の割合を下げる必要がある。すなわち、体サイズの増加である。体積は長さの3乗、面積は長さの二乗に比例するため、体サイズが増大するほど体積に占める体表面積は小さくなる。従って、「酸素濃度が高い時代には巨大な幼虫が増え、それに伴って巨大な成虫が増えることになった」というのが今回の説である。
カワゲラの幼虫は水中に生息する。一方、陸上昆虫の幼虫は気管を持っている。気管が複雑になりすぎると気管の表面のクチクラごと脱皮する際に失敗する可能性が増える。これが昆虫の巨大化の上限を決めているらしい。
Can oxygen set thermal limits in an insect and drive gigantism? OPEN ACCESS
Verberk WC, Bilton DT.
PLoS One. 2011;6(7):e22610. Epub 2011 Jul 27.
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