2011年9月5日月曜日

スズメに近縁なオウム

論文メモ。

Mesozoic retroposons reveal parrots as the closest living relatives of passerine birds OPEN ACCESS
Suh A, Paus M, Kiefmann M, Churakov G, Franke FA, Brosius J, Kriegs JO, Schmitz J.
Nat Commun. 2011 Aug 23;2:443. doi: 10.1038/ncomms1448.

スズメ目は鳥類の半分の種を含む巨大なグループであるが、その系統的位置はこれまで明瞭ではなかった。この論文では、レトロトランスポゾンの挿入の有無により、スズメ目に最も近い現生の鳥類はオウム目であることを明らかにしている。またその次に近いのはハヤブサ目である。ちなみにいわゆる猛禽類の内、タカ類、コンドル類、フクロウ類などはハヤブサ・オウム・スズメに共通するレトロトランスポゾンの挿入を持っておらず、別系統であることも示されている。また、これまでに示されて来た系統群については多くが支持されている。(走鳥類、キジカモ類、その他の鳥類、など)

しかし、上記の系統関係は、
A phylogenomic study of birds reveals their evolutionary history.
Hackett SJ, Kimball RT, Reddy S, Bowie RC, Braun EL, Braun MJ, Chojnowski JL, Cox WA, Han KL, Harshman J, Huddleston CJ, Marks BD, Miglia KJ, Moore WS, Sheldon FH, Steadman DW, Witt CC, Yuri T.
Science. 2008 Jun 27;320(5884):1763-8.
で既にかなりの信頼性で提示されており、今回の論文はその証明という側面が強い.レトロトランスポゾンの挿入による系統関係の推定はかなり断定的なことが言えるのでその点では意味があるが、全く新規の系統関係が明らかになったわけではないところが、この論文がNature Communicationsにでた理由であろう。

ゲノム解読されたゼブラフィンチ(スズメ目)のゲノム情報をとっかかりに研究を行っているので、スズメ目のより最近の進化についての情報が多く得られている。また、解析に用いたレトロトランスポゾンはCR1とendogenous retrovirusのLTRである。

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