2012年4月13日金曜日

テロメア特異的non-LTR retrotransposonの転写制御

モデル生物の代表格とも言えるショウジョウバエはテロメア反復配列を持っていません。その代わりに、HeT-A、TART、TAHREなどと呼ばれるnon-LTR retrotransposonが染色体末端に転移してその機能を担っています。これらの転移因子は、カイコの仲間に見られるTRAS、SARTや最近紹介した菌類のMoTeRなどとは異なり、テロメア反復配列に挿入されるのではなく染色体末端に転移するのだと考えられています。

Mechanism of the piRNA-mediated silencing of Drosophila telomeric retrotransposons
Shpiz S, Olovnikov I, Sergeeva A, Lavrov S, Abramov Y, Savitsky M, Kalmykova A.
Nucleic Acids Res. 2011 Nov 1;39(20):8703-11. Epub 2011 Jul 15.

HeT-Aのプロモータをつけた遺伝子を導入するとゲノム上のどの位置に挿入してもpiRNAの制御を受けることがわかりました。RNAi系に関わるspn-Eの変異体やpiwiのノックダウン個体ではHeT-AやTART、そしてHeT-Aのプロモータをつけた導入遺伝子の転写も増加することがわかりました。これらの個体では他の転移因子の転写も活性化していました。従って、piRNA系は通常他の転移因子同様HeT-A等のテロメア特異的non-LTR retrotransposonをも転写抑制していることになります。

どうやらHeT-A等のテロメア特異的non-LTR retrotransposonが特別扱いされているわけではないことを示しているだけのような印象ですが、もしかしたら、積極的にテロメア長の制御に寄与しているのかもしれません。

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