論文メモ。
福山型筋ジストロフィーは日本では普遍的な型の疾患で、レトロトランスポゾンSVAの挿入が原因となっていることが最初に発見された病気です。患者では遺伝子fukutinの3'UTRにSVAが挿入されていることが知られていました。しかし3'UTRへの挿入はタンパク質コード領域を破壊するわけではないため、どのようにして症状に結びついているのかは不明でした。
Pathogenic exon-trapping by SVA retrotransposon and rescue in Fukuyama muscular dystrophy
Taniguchi-Ikeda M, Kobayashi K, Kanagawa M, Yu CC, Mori K, Oda T, Kuga A, Kurahashi H, Akman HO, DiMauro S, Kaji R, Yokota T, Takeda S, Toda T.
Nature. 2011 Oct 5;478(7367):127-31. doi: 10.1038/nature10456.
この研究ではこのSVAの挿入がスプライシングの異常を引き起こし、SVAを含むmRNAが形成されることを示しています。このスプライシングによりタンパク質の必須領域が失われます。この異常なスプライシングの阻害するオリゴヌクレオチドを導入することでこの異常なスプライシングを抑制し、症状も抑制できることが示されました。これはこれまで治療方法が無かった福山型筋ジストロフィーの治療に向けた重要な一歩です。
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