昆虫には細胞内に共生細菌を持つものが多く見られる。栄養の異なった食生活を送るアブラムシの仲間の共生細菌は有名で、かつて所属していた石川統研究室で友人がエンドウヒゲナガアブラムシの細胞内共生細菌Buchneraの研究をしていたので、私も馴染みがある。これらの共生細菌は、昆虫自身が合成できない栄養源を供給する働きを持つ。共生細菌は菌細胞と呼ばれる特殊化した大きな細胞に局在することが知られているが、同時に体液中にも分布する事も知られている。
以下の論文では、ゾウムシの抗菌ペプチドcoleoptericin-A (ColA)が共生細菌の分裂を制御し、菌細胞から出ないようにコントロールしていることを示している。ColAをRNAiで抑制すると巨大だった共生細菌が小さくなり(これは分裂の抑制が解除されたため)、菌細胞から拡散して昆虫の組織全体に拡散した。抗菌ペプチドは通常有害な病原細菌を排除する役割を持っているが、同時に細胞内共生にも役立っていることになる。
Antimicrobial Peptides Keep Insect Endosymbionts Under Control
Login FH, Balmand S, Vallier A, Vincent-Monégat C, Vigneron A, Weiss-Gayet M, Rochat D, Heddi A.
Science. 2011 Oct 21;334(6054):362-5.
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