2011年8月12日金曜日

チンパンジーよりヒトに近いオランウータン(のゲノムの一部)

論文メモ。

Incomplete lineage sorting patterns among human, chimpanzee, and orangutan suggest recent orangutan speciation and widespread selection
Hobolth A, Dutheil JY, Hawks J, Schierup MH, Mailund T.
Genome Res. 2011 Mar;21(3):349-56. Epub 2011 Jan 26.

incomplete lineage sorting(ILS)は新しく生まれた種内で多型が固定する前に次の種分化が起こることにより、ある遺伝子型が直近でない種の間で保存される現象を指します。著者らはILSをヒト、チンパンジー、オランウータンの3者ゲノム比較からゲノムの1%程度がILSを受けていること、ヒトとチンパンジーの共通祖先の有効集団サイズは5万程度であり、強いボトルネックを受けていないこと、ヒト/チンパンジーとオランウータンの分岐を900から1300万年前、ヒトとチンパンジーの分岐を400万年前程度である、などと示唆する結果を得ています。
手法としてcoalescent hidden Markov model (HMM)を用いて解析していますが、詳細はMaterials & Methodsを見ないとわかりません。信頼性が高いのだったら有用なツールになりそうです。

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