論文メモ。
A synthetic homing endonuclease-based gene drive system in the human malaria mosquito
Windbichler N, Menichelli M, Papathanos PA, Thyme SB, Li H, Ulge UY, Hovde BT, Baker D, Monnat RJ Jr, Burt A, Crisanti A.
Nature. 2011 May 12;473(7346):212-5. Epub 2011 Apr 20.
マラリアは世界中で最も死亡数の多い伝染病の一つです。そのためマラリアを防ぐ手段はいろいろと研究されていますが、その一つが、マラリアの媒介生物である蚊を遺伝子組み換えしてマラリア原虫を運ばないようにするという手法です。ここで問題となるのが、組み換えられた遺伝子が野生集団中に広がっていかないと効果が得られないという点。通常組み換えれらた虫は若干適応度が低いためやがて野生型に淘汰されてしまいます。その解決策がホーミングエンドヌクレアーゼの利用です。
ホームページでも何度か紹介していますが、利己的な遺伝子であるホーミングエンドヌクレアーゼは対立遺伝子を切断し、自身を鋳型に修復させることで集団中での割合を高めることができます。ホーミングエンドヌクレアーゼの1種I-SceIを組み込んだ蚊と組み込んでいない蚊を混ぜて網の中で飼育すると、たとえ最初はI-SceIを持つ個体の割合が少なくとも急速に高くなることが示されました。
遺伝子組み換え生物を野外に放すという点に倫理的もしくは潜在的な危険がありますので実用化はずいぶん先のことになりそうですが、病気の被害と天秤にかけると試してみる価値はあると思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿