環形動物の系統解析を詳細におこなった研究がNatureに出ていました。
Phylogenomic analyses unravel annelid evolution
Struck TH, Paul C, Hill N, Hartmann S, Hösel C, Kube M, Lieb B, Meyer A, Tiedemann R, Purschke G, Bleidorn C.
Nature. 2011 Mar 3;471(7336):95-8.
ミミズ、ゴカイ、ヒルの仲間、環形動物門は古典的に2つのグループに分けられてきました。多毛類(ゴカイ)と貧毛類(ミミズ、ヒル)です。しかし最近では以前別の門として分けられてきたホシムシ類(Sipuncula、星口動物門)、ユムシ類(Echiura、ユムシ動物門)、ハオリムシ類(Pogonophora、有鬚動物門)も環形動物の内群であるとの説が有力です。また、多毛類が側系統でその一部から貧毛類が派生したと考えられています。
この研究では、34の分類群、47,953アミノ酸を用いて分子系統解析をおこなっています。外部寄生性のMyzostomidaの位置は長鎖誘因のため不明ですが、chaetopterids、ホシムシ類の2グループが初期に分かれ、残りの系統は大きく2つのグループ、Errantia (モデル生物のPlatynereisを含む), and Sedentaria(貧毛類を全て含む、モデル生物にCapitella, Helobdella, Hydroides)に分けられました。
この2大系統、ErrantiaとSedentariaは別々の方向に適応しています。Errantiaはより活発な運動が可能なように、感覚と運動面の機能が強化されています。一方でSedentariaはより固着型で付属肢が退化し、剛毛が体壁に近い位置に移動して、棲管や土中で生活しやすいようになっています。
逆に系統の基部に位置する生物から、環形動物の祖先型を想像すると、一対の前方付属肢(触手)と目があり、頭部には他の付属肢は無く、体部には、単純な形の剛毛と体内に納められた剛毛があり、複雑な形の剛毛や付属肢は無い。これらの特徴はカンブリア紀の化石からわかる環形動物の祖先と一致しているそうです。
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