2012年3月26日月曜日

オーストラリアのメガファウナの絶滅

メガファウナとは大型動物を指し、食料を大量に消費する事から環境への影響が大きい生き物たちです。現在ではゾウがそれに当たります。有史以前、氷河期にはメガファウナが多かったのですが、人類の到達と時期をほぼ同じくしてメガファウナのほとんどは滅びてしまいました。
最近ではアメリカ大陸のメガファウナの絶滅は人類の到達が直接の原因ではないという説が主流になってきたように感じていましたが、オーストラリアのメガファウナへの人類の影響を示した論文が出版されました。

The Aftermath of Megafaunal Extinction: Ecosystem Transformation in Pleistocene Australia
Rule S, Brook BW, Haberle SG, Turney CS, Kershaw AP, Johnson CN.
Science. 2012 Mar 23;335(6075):1483-1486.
PMID: 22442481 [PubMed - as supplied by publisher]

この論文では、オーストラリアのメガファウナの絶滅が気候変動よりも人類の到達による影響が大きく、それにより熱帯雨林が草原にシフトしたことを示唆する結果を得ています。

2012年3月22日木曜日

飛べない甲虫の多様化

Nature Communicationsに掲載された甲虫類の多様化に関する論文の全文日本語訳が出ていました。

飛翔能力の退化が甲虫類の多様化を促進する

カブトムシやクワガタムシなどの仲間、甲虫類は動物の中で最も種数が多いグループです。昆虫は飛翔能力を獲得した節足動物として非常に繁栄していますが、一方で飛ぶ能力を喪失した系統が頻繁に発生しています。ノミ、シラミなどの寄生性のものはもちろん、ナナフシ、アリ、ガ、など多くのグループで飛べなくなった種が存在しています。これは空を飛ぶコストが非常に高い事に起因しています。羽根だけでなく、飛翔のための筋肉の発生、維持には大量のエネルギーを必要とするためです。
論文では飛ぶ能力を喪失した系統を含むシデムシ類を用いて、飛べないグループでは飛べるグループに比べて集団間の遺伝的距離が増加していることを示しています。飛べない事により集団間での遺伝子の交流が少なくなり、集団間で分化が起こりやすくなることを示しています。このようにして甲虫類は非常に種数が多くなったようです。

原著論文は以下。
Loss of flight promotes beetle diversification
Ikeda H, Nishikawa M, Sota T.
Nat Commun. 2012 Jan 31;3:648. doi: 10.1038/ncomms1659.
PMID: 22337126 [PubMed - in process] Free PMC Article

2012年3月19日月曜日

MER20と胎盤形成

胎盤形成にはPEG10などのBEL superfamilyのLTR retrotransposonが関わっていることが知られていましたが、hAT superfamilyのDNAトランスポゾンもリクルートされているようです。

Transposon-mediated rewiring of gene regulatory networks contributed to the evolution of pregnancy in mammals
Lynch VJ, Leclerc RD, May G, Wagner GP.
Nat Genet. 2011 Sep 25;43(11):1154-9. doi: 10.1038/ng.917.


この論文では、哺乳類の子宮内膜細胞における遺伝子調節を比較RNA-Seq法によって調べ、有胎盤類の子宮内膜細胞では1532の遺伝子が新たに発現していることを見つけている。これらの遺伝子の内、13%では転移因子MER20が200kb以内に位置していた。MER20がエンハンサー、インシュレーター、リプレッサーとしての活性を持っており、妊娠に必要な転写因子に直接結合し、プロゲステロンやcAMPに応答して遺伝子発現を協調的に調節することがわかった。これらの結果は妊娠の進化が遺伝子調節ネットワークの大規模な再構築に伴って生じた可能性を示している。

2012年3月18日日曜日

MEGA5 Mac版インストール

首都大の田村先生らが作っているMEGA5がMac OSXやLinuxに対応していることを発見しました。これまでもMEGAが相当便利なことはわかっていたのですが、Windows PCを研究に使っていないので意識的に無視していました。しかし、Macでも使えるとなると別で、早速インストールしてみました。

MEGA::Molecular Evolutionary Genetics Analysis

Mac版は実際には、Wineskinの上にWindows版を載せたものです。Wineskinは、WineというLinux系OS上でWindows用に作られたソフトウェアを動かすためのプログラムのGUIをMacOSXネイティブ風にしたもののようです。細かい話はともかく、インストールも起動も、Mac用のソフトウェアと全く変わりありませんでした。以前試してみたPublish or Perish + Wineよりも遙かに快適です。

2012年3月17日土曜日

ミクロラプトルの羽毛

4枚の翼を持つ、鳥類に近い小型恐竜Microraptorは虹色に光る羽根を持っていた可能性があるそうです。

虹色に輝く黒い羽根=1億3000万年前の小型恐竜—異性にアピール? ・米中チーム

Reconstruction of Microraptor and the evolution of iridescent plumage.
Li Q, Gao KQ, Meng Q, Clarke JA, Shawkey MD, D'Alba L, Pei R, Ellison M, Norell MA, Vinther J.
Science. 2012 Mar 9;335(6073):1215-9.
PMID: 22403389 [PubMed - in process]

鳥類の羽根が虹色に光るのは、メラニンを含んだ顆粒メラノソームが綺麗に並んでいるためです。恐竜のMicroraptorの化石を調べたところ、メラノソームの並び方が虹色に光る鳥類の羽根に似ていることがわかりました。もしかしたら、羽根は当初からセックスアピールに用いられていたのかもしれません。