レトロトランスポゾンの一群の内在性レトロウイルス(endogenous retrovirus)が細胞の分化全能性の制御に深く関わっていることを示唆する論文が報告されました。
Embryonic stem cell potency fluctuates with endogenous retrovirus activity
Macfarlan TS, Gifford WD, Driscoll S, Lettieri K, Rowe HM, Bonanomi D, Firth A, Singer O, Trono D, Pfaff SL.
Nature. 2012 Jun 13. doi: 10.1038/nature11244. [Epub ahead of print]
PMID: 22722858 [PubMed - as supplied by publisher]
著者らはES細胞、iPS細胞の内の一部の細胞が胚の二細胞期に似た発現パターンをすることを発見した。これらの細胞では、pluripotency proteinのOct4 (Pou5f1)、Sox2、Nanogが発現しておらず、胚だけでなく、栄養外胚葉にも分化しうる。ES細胞はどの細胞もこの全能性細胞になったり戻ったりを繰り返しており、その一部はヒストン修飾によって制御されているらしい。二細胞期に似た転写産物の多くはendogenous retrovirusのLTR内部から転写開始されており、哺乳類ではこれによって細胞運命が制御されていることを示唆している。
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