ヒト、チンパンジー、オランウータンに続いて最後の大型類人猿ゴリラのゲノムが解読されました。
Insights into hominid evolution from the gorilla genome sequence
Scally A, Dutheil JY, Hillier LW, Jordan GE, Goodhead I, Herrero J, Hobolth A, Lappalainen T, Mailund T, Marques-Bonet T, McCarthy S, Montgomery SH, Schwalie PC, Tang YA, Ward MC, Xue Y, Yngvadottir B, Alkan C, Andersen LN, Ayub Q, Ball EV, Beal K, Bradley BJ, Chen Y, Clee CM, Fitzgerald S, Graves TA, Gu Y, Heath P, Heger A, Karakoc E, Kolb-Kokocinski A, Laird GK, Lunter G, Meader S, Mort M, Mullikin JC, Munch K, O'Connor TD, Phillips AD, Prado-Martinez J, Rogers AS, Sajjadian S, Schmidt D, Shaw K, Simpson JT, Stenson PD, Turner DJ, Vigilant L, Vilella AJ, Whitener W, Zhu B, Cooper DN, de Jong P, Dermitzakis ET, Eichler EE, Flicek P, Goldman N, Mundy NI, Ning Z, Odom DT, Ponting CP, Quail MA, Ryder OA, Searle SM, Warren WC, Wilson RK, Schierup MH, Rogers J, Tyler-Smith C, Durbin R.
Nature. 2012 Mar 7;483(7388):169-75. doi: 10.1038/nature10842.
PMID: 22398555 [PubMed - in process]
ゴリラはチンパンジー/ボノボに次いでヒトに近い霊長類です。ゴリラゲノムの30%は、チンパンジーよりもヒトに近縁、あるいはヒトよりもチンパンジーに近縁であることがわかりました。これはincomplete lineage sortingと呼ばれ、祖先集団で保持されていた多型が異なった割合で子孫集団に受け継がれることによって起こる、種の系統関係と遺伝子の系統関係の不一致によるものです。これらの領域は遺伝子の周辺では少なくなっており、遺伝子への淘汰の影響を受けていない領域が偶然にincomplete lineage sortingを起こしているようです。
近年ゴリラは2種に分けられるのが定説となりつつありますが、そのニシゴリラとヒガシゴリラの分岐時期は175万年前くらいで、その後も遺伝子の交流は続き、ヒガシゴリラでは個体数の急減が起こったこともわかりました。
2012年3月10日土曜日
2012年3月9日金曜日
The Castroville Mammoth Project
先日スタンフォードの生涯学習の一環として開催されている講演会に行ってきました。このプロジェクトは研究費を獲得して行われたものではなかったため、研究成果だけではなく、発掘の過程で様々な苦労があったことも紹介されていました。
The Castroville Mammoth Project
Castrovilleはシリコンバレーから数十分の距離にある海岸近くの田舎町です。2010年12月にとある農家の兄弟がアーティチョーク畑の開墾の途中に大きな骨を発見したのが事の発端です。ググってマンモスの骨だとわかった後、彼らは二人じめにするのではなく、科学者を呼んで研究する道を選びました。それだけでなく、アーティチョーク畑を広げるのも中断し、研究のために様々な道具を提供しました。発掘はStanford大学も含めた地元のいろいろな大学の有志により手弁当で行われました。そのための研究費があるわけではなく、学生のボランティアと近所の農家やレンジャーの寄付によって成立したプロジェクトでした。
発掘されたマンモスの種類はコロンビアマンモス(Columbian mammoth, Mammuthus columbi)です。コロンビアマンモスはいわゆるイメージされるところのマンモスであるウーリーマンモスとは異なり、短毛の象でした。このマンモスの体毛も見つかり、DNAの抽出ができるかどうか現在試みられているそうです。
The Castroville Mammoth Project
Castrovilleはシリコンバレーから数十分の距離にある海岸近くの田舎町です。2010年12月にとある農家の兄弟がアーティチョーク畑の開墾の途中に大きな骨を発見したのが事の発端です。ググってマンモスの骨だとわかった後、彼らは二人じめにするのではなく、科学者を呼んで研究する道を選びました。それだけでなく、アーティチョーク畑を広げるのも中断し、研究のために様々な道具を提供しました。発掘はStanford大学も含めた地元のいろいろな大学の有志により手弁当で行われました。そのための研究費があるわけではなく、学生のボランティアと近所の農家やレンジャーの寄付によって成立したプロジェクトでした。
発掘されたマンモスの種類はコロンビアマンモス(Columbian mammoth, Mammuthus columbi)です。コロンビアマンモスはいわゆるイメージされるところのマンモスであるウーリーマンモスとは異なり、短毛の象でした。このマンモスの体毛も見つかり、DNAの抽出ができるかどうか現在試みられているそうです。
2012年3月8日木曜日
白亜紀のノミ
大昔のノミ、体長は2センチ 英科学誌に発表
白亜紀のノミは、体長がメス1.4-2cmでオスが0.8-1.4cmあったそうです。確かに哺乳類ではなく、鳥類や恐竜に寄生していそうですね。
でもニュース記事ではよくわからないので、原文を当たってみました。いつもどおりAbstractだけですが。
Diverse transitional giant fleas from the Mesozoic era of China
ノミはシリアゲムシやハエの仲間と近縁なことが知られているが、確かな中生代の化石は見つかっていなかった。この論文では、白亜紀の地層から、確実なノミを報告している。このノミは跳躍のための後脚は発達していない原始的な特徴を示しているが、サイフォンのような細長い吸血用の口を既に持っている。これは細長いサイフォンの形をした口を持つシリアゲムシからノミが派生したことを示唆している。
白亜紀のノミは、体長がメス1.4-2cmでオスが0.8-1.4cmあったそうです。確かに哺乳類ではなく、鳥類や恐竜に寄生していそうですね。
でもニュース記事ではよくわからないので、原文を当たってみました。いつもどおりAbstractだけですが。
Diverse transitional giant fleas from the Mesozoic era of China
ノミはシリアゲムシやハエの仲間と近縁なことが知られているが、確かな中生代の化石は見つかっていなかった。この論文では、白亜紀の地層から、確実なノミを報告している。このノミは跳躍のための後脚は発達していない原始的な特徴を示しているが、サイフォンのような細長い吸血用の口を既に持っている。これは細長いサイフォンの形をした口を持つシリアゲムシからノミが派生したことを示唆している。
2012年3月7日水曜日
孤島のナナフシ
ビデオが衝撃的だったのでNPRの記事を紹介します。
Six-Legged Giant Finds Secret Hideaway, Hides For 80 Years
オーストラリアの沖合にLord Howe Islandという島があります。ここにはかつて12センチにもなるナナフシDryococelus australisが生息していました。ところが、1918年に座礁した船に乗っていたネズミが上陸したことで1920年には一頭も見られなくなってしまいました。
Lord Howe Islandから13マイルほど離れた小島Ball's Pyramidは700万年前に噴火でできた火山島です。島とはいうもののあまりに小さく、荒れ地に一握りの植物が生えているだけです。ところが、2001年にオーストラリアの研究者David PriddelとNicholas Carlileがこの島からDryococelus australisを再発見したのです。一つの植物に24頭が群がっていました。採集の許可が下りた2003年に4頭をオーストラリアに持ち出し、そのうち2頭(一つがい)の繁殖に成功したため、現在では700頭以上に増えており、現在はこれらの飼育個体を野生に戻すため、Lord Howe Islandのネズミを駆逐してDryococelus australisを放す試みが行われています。
さて、衝撃的だったのは、ナナフシが卵からふ化する過程をとらえたビデオです。小さな卵の中から、驚愕する長さのナナフシの幼虫が出てきます。
Six-Legged Giant Finds Secret Hideaway, Hides For 80 Years
オーストラリアの沖合にLord Howe Islandという島があります。ここにはかつて12センチにもなるナナフシDryococelus australisが生息していました。ところが、1918年に座礁した船に乗っていたネズミが上陸したことで1920年には一頭も見られなくなってしまいました。
Lord Howe Islandから13マイルほど離れた小島Ball's Pyramidは700万年前に噴火でできた火山島です。島とはいうもののあまりに小さく、荒れ地に一握りの植物が生えているだけです。ところが、2001年にオーストラリアの研究者David PriddelとNicholas Carlileがこの島からDryococelus australisを再発見したのです。一つの植物に24頭が群がっていました。採集の許可が下りた2003年に4頭をオーストラリアに持ち出し、そのうち2頭(一つがい)の繁殖に成功したため、現在では700頭以上に増えており、現在はこれらの飼育個体を野生に戻すため、Lord Howe Islandのネズミを駆逐してDryococelus australisを放す試みが行われています。
さて、衝撃的だったのは、ナナフシが卵からふ化する過程をとらえたビデオです。小さな卵の中から、驚愕する長さのナナフシの幼虫が出てきます。
2012年3月6日火曜日
トウモロコシ
トウモロコシは転移因子の研究者にとっては特別な生き物かもしれません。なぜなら、転移因子がBarbara McClintockによって最初に発見されたのはトウモロコシからだからです。テオシンテという種の数の少ない野生種から、人為選択によって種のたくさん付く系統が選ばれて出来たのがトウモロコシであると考えられています。
以下の論文によると、トウモロコシがテオシンテよりも頂芽優勢が強いことの理由の一部がteosinte branched1(tb1 )の調節領域に挿入されているレトロトランスポゾンHopscotchのエンハンサー活性によって説明できるそうです。HopscotchはCopia型のLTRレトロトランスポゾンです。またこの変異は1万年以上前に起こっていました。つまり、栽培の過程で新規に突然変異が起こったのではなく、もともと野生種に出来ていた多型を人為選択していくことでこの転移因子の挿入がトウモロコシで固定されたのだということがわかりました。
Identification of a functional transposon insertion in the maize domestication gene tb1
Studer A, Zhao Q, Ross-Ibarra J, Doebley J.
Nat Genet. 2011 Sep 25;43(11):1160-3. doi: 10.1038/ng.942.
以下の論文によると、トウモロコシがテオシンテよりも頂芽優勢が強いことの理由の一部がteosinte branched1(tb1 )の調節領域に挿入されているレトロトランスポゾンHopscotchのエンハンサー活性によって説明できるそうです。HopscotchはCopia型のLTRレトロトランスポゾンです。またこの変異は1万年以上前に起こっていました。つまり、栽培の過程で新規に突然変異が起こったのではなく、もともと野生種に出来ていた多型を人為選択していくことでこの転移因子の挿入がトウモロコシで固定されたのだということがわかりました。
Identification of a functional transposon insertion in the maize domestication gene tb1
Studer A, Zhao Q, Ross-Ibarra J, Doebley J.
Nat Genet. 2011 Sep 25;43(11):1160-3. doi: 10.1038/ng.942.
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