gene body methylationとはプロモーター領域ではなく、遺伝子のmRNAとして転写される領域がメチル化される現象です。これは動物でも植物でも見られる現象ですが、その役割はよくわかっていません。
The evolution of invertebrate gene body methylation.
Sarda S, Zeng J, Hunt BG, Yi SV.
Mol Biol Evol. 2012 Aug;29(8):1907-16. Epub 2012 Feb 10.
PMID: 22328716 [PubMed - in process]
この論文ではミツバチ、カイコ、ホヤ、イソギンチャクの4種の無脊椎動物のメチル化を解析し、タンパク質配列が保存されている遺伝子ほどgene body methylationが起こっている事を明らかにしています。これらの遺伝子には転写や翻訳に関わるhouse keeping geneが多く含まれていました.一方で昆虫の進化の過程でメチル化されなくなった遺伝子には、シグナル伝達や生殖に関わる遺伝子が多く含まれていました。
2012年9月25日火曜日
2012年9月20日木曜日
子宮内膜でのプロラクチンプロモーターは転移因子由来
プロラクチンは下垂体前葉から分泌されるホルモンで、乳汁合成や妊娠維持など様々な機能を制御する。また胎盤や子宮でも産生されることが知られている。
Convergent Evolution of Endometrial Prolactin Expression in Primates, Mice, and Elephants Through the Independent Recruitment of Transposable Elements
Emera D, Casola C, Lynch VJ, Wildman DE, Agnew D, Wagner GP.
Mol Biol Evol. 2012 Jan;29(1):239-47. Epub 2011 Aug 2.
PMID: 21813467 [PubMed - indexed for MEDLINE]
ヒトを含む霊長類で子宮内膜でのプロラクチン産生を制御するプロモーターは内在性レトロウイルスのMER39に由来する。しかし霊長類以外でもプロラクチンを子宮内膜で合成するものは存在する.この研究では、子宮内膜でのプロラクチン産生は哺乳類共通の特徴ではない事を明らかにしている。子宮内膜でのプロラクチン産生はウサギ、ブタ、イヌ、アルマジロでは起こらない。起こるものでも、プロラクチンの子宮内膜での合成を制御するプロモーターは霊長類、マウス、ゾウでそれぞれ異なっていた。クモザルではヒトと同じMER39、マウスでは別の内在性レトロウイルスMER77、ゾウではnon-LTRレトロトランスポゾンのL1-2_LAから派生した配列がプロモーター機能を担っていた。従って、子宮内膜でのプロラクチン産生は別々の転移因子が取り込まれてプロモーター活性を提供する事で独立に進化して来た事がわかる。
Convergent Evolution of Endometrial Prolactin Expression in Primates, Mice, and Elephants Through the Independent Recruitment of Transposable Elements
Emera D, Casola C, Lynch VJ, Wildman DE, Agnew D, Wagner GP.
Mol Biol Evol. 2012 Jan;29(1):239-47. Epub 2011 Aug 2.
PMID: 21813467 [PubMed - indexed for MEDLINE]
ヒトを含む霊長類で子宮内膜でのプロラクチン産生を制御するプロモーターは内在性レトロウイルスのMER39に由来する。しかし霊長類以外でもプロラクチンを子宮内膜で合成するものは存在する.この研究では、子宮内膜でのプロラクチン産生は哺乳類共通の特徴ではない事を明らかにしている。子宮内膜でのプロラクチン産生はウサギ、ブタ、イヌ、アルマジロでは起こらない。起こるものでも、プロラクチンの子宮内膜での合成を制御するプロモーターは霊長類、マウス、ゾウでそれぞれ異なっていた。クモザルではヒトと同じMER39、マウスでは別の内在性レトロウイルスMER77、ゾウではnon-LTRレトロトランスポゾンのL1-2_LAから派生した配列がプロモーター機能を担っていた。従って、子宮内膜でのプロラクチン産生は別々の転移因子が取り込まれてプロモーター活性を提供する事で独立に進化して来た事がわかる。
2012年9月19日水曜日
RNAウイルスが宿主から取り込むRNA
Host RNAs, including transposons, are encapsidated by a eukaryotic single-stranded RNA virus
Routh A, Domitrovic T, Johnson JE.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Feb 7;109(6):1907-12. Epub 2012 Jan 24.
PMID: 22308402 [PubMed - indexed for MEDLINE] Free PMC Article
エンベロープを持たないRNAウイルスのflock house virus (FHV)を精製し、RNAをシーケンスしたところ、その1%は宿主に由来するRNAであった。リボソームRNA、mRNA、non-coding RNAと転移因子由来のRNAが含まれていた。これらのRNAは水平伝播する可能性がある。また、医療にウイルスを利用する際には、このような宿主由来RNAの存在は無視できない問題となるだろう。
Routh A, Domitrovic T, Johnson JE.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Feb 7;109(6):1907-12. Epub 2012 Jan 24.
PMID: 22308402 [PubMed - indexed for MEDLINE] Free PMC Article
エンベロープを持たないRNAウイルスのflock house virus (FHV)を精製し、RNAをシーケンスしたところ、その1%は宿主に由来するRNAであった。リボソームRNA、mRNA、non-coding RNAと転移因子由来のRNAが含まれていた。これらのRNAは水平伝播する可能性がある。また、医療にウイルスを利用する際には、このような宿主由来RNAの存在は無視できない問題となるだろう。
2012年9月18日火曜日
Neoavesの初期進化
Retroposon Insertion Patterns of Neoavian Birds: Strong Evidence for an Extensive Incomplete Lineage Sorting Era
Matzke A, Churakov G, Berkes P, Arms EM, Kelsey D, Brosius J, Kriegs JO, Schmitz J.
Mol Biol Evol. 2012 Jun;29(6):1497-501. Epub 2012 Jan 3.
PMID: 22319163 [PubMed - in process]
鳥類は恐竜類の一部から白亜紀に派生したと考えられています。しかし、鳥類内部の系統関係は一部を除いてあまり明らかになっていません。この論文では、レトロトランスポゾンの挿入を指標にして鳥類の系統関係を解析しています。しかし、Neoaves(現生ではダチョウの仲間、キジの仲間、カモの仲間を除いた全ての鳥類)の初期分岐については、共有する挿入相互に矛盾が見られることから、ほぼ同時期に多数の系統が分かれた事が示唆されました。
これは真獣類の3大系統間の関係とも類似していますが、鳥類の分岐の方がかなり新しいようです。
Matzke A, Churakov G, Berkes P, Arms EM, Kelsey D, Brosius J, Kriegs JO, Schmitz J.
Mol Biol Evol. 2012 Jun;29(6):1497-501. Epub 2012 Jan 3.
PMID: 22319163 [PubMed - in process]
鳥類は恐竜類の一部から白亜紀に派生したと考えられています。しかし、鳥類内部の系統関係は一部を除いてあまり明らかになっていません。この論文では、レトロトランスポゾンの挿入を指標にして鳥類の系統関係を解析しています。しかし、Neoaves(現生ではダチョウの仲間、キジの仲間、カモの仲間を除いた全ての鳥類)の初期分岐については、共有する挿入相互に矛盾が見られることから、ほぼ同時期に多数の系統が分かれた事が示唆されました。
これは真獣類の3大系統間の関係とも類似していますが、鳥類の分岐の方がかなり新しいようです。
2012年9月17日月曜日
三畳紀末の大量絶滅と硫化水素汚染
Hydrogen sulphide poisoning of shallow seas following the end-Triassic extinction
Sylvain Richoz, Bas van de Schootbrugge, Jörg Pross, Wilhelm Püttmann, Tracy M. Quan, Sofie Lindström, Carmen Heunisch, Jens Fiebig, Robert Maquil, Stefan Schouten, Christoph A. Hauzenberger & Paul B. Wignall
Nature Geoscience 5, 662–667 (2012) doi:10.1038/ngeo1539
三畳紀末の大量絶滅の時期には、火山の大噴火とその後の森林火災により大気中の二酸化炭素濃度が非常に高かった事が知られています。この論文では、テチス海の浅瀬に由来する岩石を解析することで、大絶滅に続くジュラ紀初期に緑色硫黄細菌が大量増殖していた事を明らかにしています。これはこの時代に硫化水素が大気中に大量に存在していた事を示しています。また緑藻も大量に生育しており、低酸素状態であったことも示唆されます。以上からは、大量絶滅後の残存硫化水素の毒性と低酸素状態が生物相の回復を遅らせたと考えられます。
Sylvain Richoz, Bas van de Schootbrugge, Jörg Pross, Wilhelm Püttmann, Tracy M. Quan, Sofie Lindström, Carmen Heunisch, Jens Fiebig, Robert Maquil, Stefan Schouten, Christoph A. Hauzenberger & Paul B. Wignall
Nature Geoscience 5, 662–667 (2012) doi:10.1038/ngeo1539
三畳紀末の大量絶滅の時期には、火山の大噴火とその後の森林火災により大気中の二酸化炭素濃度が非常に高かった事が知られています。この論文では、テチス海の浅瀬に由来する岩石を解析することで、大絶滅に続くジュラ紀初期に緑色硫黄細菌が大量増殖していた事を明らかにしています。これはこの時代に硫化水素が大気中に大量に存在していた事を示しています。また緑藻も大量に生育しており、低酸素状態であったことも示唆されます。以上からは、大量絶滅後の残存硫化水素の毒性と低酸素状態が生物相の回復を遅らせたと考えられます。
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